ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月17日放送)に数量政策学者で内閣官房参与の高橋洋一が出演。政府が大枠を固めた2021年度の予算案について解説した。
2021年度の予算案、過去最大の106兆円台後半か
政府は12月16日、2021年度予算案の大枠を固めた。一般会計の歳出総額は106兆円台後半とする方向で調整していて、2020年度の当初予算102兆6580億円を大幅に超え、過去最大の更新となる。
飯田)過去最大の更新は当然だろうと。
高橋)新型コロナの感染は戦争みたいな状況ですからね。
飯田)戦力を逐次投入するということではなく、一気に投入しなければならないということですよね。
高橋)本当の戦争と違って、生産設備は破壊されていないので、対処は楽なのです。需要をつくればいいだけです。本当の戦争は生産設備がなくなってしまうので、需要を下手につくるとインフレになってしまいますが、その可能性はないのです。今回のコロナみたいに需要が喪失してしまっているので、ほとんどインフレにはならない。「大きいことの何が悪いの?」ということです。大きいと批判されますが、私は褒められているような感じが逆にしますけれどね。
飯田)小さいと言われた方が、よっぽど大変だと。
高橋)小さいと言われたら話にならないですよ。
9月に予備費から出した1兆2000億円弱が医療に行き渡っていない
飯田)それだけ大きな需要をつけようとすると、個々の使い道・用途というよりは、「ドン」と出す方が、ということですか?
高橋)需要をつけるときは簡単なのですけれどね。でもそういうときに行き渡らないという議論もあるので、そこはバランスです。需要をつけつつ行き渡らす、ということがいちばん難しいのです。
飯田)医療に対して、予備費から9月に1兆2000億円弱が出ていたはずなのですが、行き渡っていないというのは、制度の問題ということですか?
高橋)そうですね。その辺りの検証が必要なのですが、正直言うと、いまのこういうときになかなかやっていられないから、あとで事後的にやります。予備費も事後的に国会に報告するという制度があるのです。あとで会計検査院や国会の決算委員会できちっとやってもらいたいですね。
飯田)この予算の話はたくさん報道されるのですが、決算の数字は出て来ないですね。
高橋)こういうドタバタしているときに、いろいろやれと言われても大変なのですよ。
防衛予算が低すぎる~中国と装備を均等するべき
飯田)予算案の中身についてはいろいろと報じられていますが、防衛予算が過去最大で5兆3400億円ということです。大体GDPの1%凸凹です。
高橋)「まだ1%か」という感じですよね。10兆円くらいにしても構わないと思います。防衛費はお隣の国とか、いまある状況に合わせてやるという原則しかありません。例えば尖閣周りを見ても、中国の海警や海軍の装備と、日本の海上保安庁と海上自衛隊の装備を比べると、装備の質がまったく違います。10年くらい前は、まだいい勝負だったのですが。こういう状況は結構危ないのですよ。反撃の可能性がなければ、偶発的なものも含めて、攻撃されるというパターンです。こういうときには、目をつぶって同じ装備にしないとならないのです。そうしなければ、よからぬことを考えさせてしまうのです。
飯田)防衛予算を伸ばそうとすると、「軍拡競争に突入するのか」というような議論がありますが。
戦闘装備が不均等であれば戦争確立が高まる
高橋)アンバランスな方が危ないです。こういうものは軍事研究であるのです。アンバランスな方が戦争確率は高まります。
飯田)均衡していた方が、お互いにいいと。
高橋)その方が戦争確率は低くなる。こういうものはデータがある話です。そういうつまらない議論はしないほうがいいと私は思います。日本では、相変わらずそういう議論が多いのですよね。
飯田)いま、かろうじてバランスが取れているように見えるのは、後ろにアメリカ軍がいるから、「なかなか手出しはできない」と中国側が思っていると。
高橋)それだけであれば、アメリカ軍が手薄なときに狙われます。
飯田)まさにこの大統領選前後とかそういうところ。
高橋)「アメリカ軍がいるから」というように頼りにしていてはダメなのですよ。
飯田)主権国家として、他国頼りでよいのかと。
高橋)アメリカもすぐに来るわけではありません。より安全にするために装備を均衡させるということです。相手を上回って、侵略などはしてはいけませんが。とにかく同じように装備を増やす。そうしないと、よからぬことがあり得るということです。確率の問題ですよ。不均衡のほうが高まるのです。いまは不均衡だと思います。
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