ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月21日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。12月21日に閣議決定された2021年度の予算案について解説した。
来年度予算案~過去最大106兆円越え
政府は2021年度の予算案を12月21日に閣議決定した。新型コロナウイルスに対応するため、一般会計の総額は過去最大の106兆6100億円程度にのぼる。令和2年度第3次補正予算案と合わせて、2021年の通常国会に提出し、早期の成立を目指す。
飯田)新型コロナ対応の予備費を5兆円積んでおくというようなことも出ています。
須田)次年度予算というのは特別でして、15ヵ月予算編成という方向性を目指しているのです。これは2021年1月から翌年の3月までです。一般的には、4月から3月なのですけれども、それに3ヵ月プラスして15ヵ月予算編成。これは、よく景気・経済が大きく落ち込んだときに取られる手段です。言うまでもなく新型コロナウイルスで経済が大きく落ち込んでいるので、このような対応が取られています。来年(2021年)の1~3月期に使うお金としての第3次補正予算、これをプラスして73兆円の総合経済対策が取られました。そこにもう既にコロナ対応の予算が10兆円程度盛り込まれているというところもあって、通常予算に対して、10兆円もプラスされていると考えてもらっていいと思います。財政支出を伴う真水の部分が10兆円積まれているということです。
「将来この借金が返せるか返せないか」などと議論すること自体がナンセンス
須田)このような大型の予算が出て来ると、すぐメディアは「借金返済できるのか」と報道します。「国債が過去最大になりました」というような議論になるのだけれども、この新型コロナウイルス対策で失敗してしまうと、日本経済は大きく落ち込んでしまいます。税収は減ってしまうし、国民経済も大きく毀損してしまうということを考えると、いま何としても下支えしなければならないのです。そのときに、「将来この借金が返せるか返せないか」などと議論すること自体がナンセンスだと思います。財務省が心配するのはわかりますが、それにまんまと乗っかる必要はありません。
飯田)見出しに「過去最大」とありますが、毎年物価は上がっているのだから額面で増えるのは当たり前だと。過去最大でなかったら、むしろおかしいということですね。
須田)いまきちんとした対策をしなければ、経済は大きく失速してしまいます。むしろ、積めるだけ積んで、「政府の覚悟」を示すべきではないのかと思います。逆に「106兆円で足りるのかな」と私は思います。
飯田)当初予算で見ると、2019年も100兆円は超えていたということですね。4兆円くらいのプラスにしかなっていないと。
イージス艦のための要員確保はできるのか? そのための予算は確保されているのか?
須田)状況次第では、さらに補正予算が必要になって来るのではないでしょうか。加えて心配なのは、今回の予算で、政府が閣議決定したイージス・アショア代替案から2隻建造というところが出て来たのだけれども、この予算が入っているので防衛費も大きくなっています。しかし、船だけつくっても意味がないのですよ。本来であれば、イージス・アショアの建造ではなくてイージス艦の建造に動くべきだったのに、それができなかった。なぜかと言うと、海上自衛隊の要員が足りなかったからです。だから陸上の方にシフトしたのです。では海上自衛隊の要員確保はできるのか? そのための予算はついているのか? 船だけつくっても意味がないのです。
飯田)おっしゃる通りです。海というのは、1回航海に出てしまうと1ヵ月~2ヵ月出てしまうので、若い人の募集が大変なのだということです。ではリクルーティングに多くの人を張り付けられるかというとそうでもなく、自衛隊の自衛官たちがローテーションで来たりすると。そういうところも考えると、人が足りないと言われています。
須田)国家公務員ですから、給料の基準は設定されているのでしょうけれども、給料も含めて、その処遇というのは必ずしも恵まれていないですよね。海上自衛隊員だけでなく、陸・空も。
飯田)その上、定年が早いですからね。警察・消防と並べて自衛官も検討している人にとっては、親から「定年が早い」と言われるのだそうです。「他ならば60歳まで働けるのに、自衛官は50歳ちょっとで退官しなくてはいけないでしょ」と。
須田)待遇面も含めて、きちんと処遇する必要性がある。処遇するためには、それなりの予算が必要です。そこにスポットを当てて行くべきだと思います。なぜ人員確保というところの議論が始まらないのか。不思議です。
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