菅総理が「消費税減税」に踏み込めない自民党内の「ある存在」
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月7日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。菅総理が12月4日の記者会見で語った新型コロナにおける経済対策について解説した。
菅総理~新たな経済対策を閣議決定へ
菅総理)国民の命と暮らしを守る。そのために雇用を維持し、事業を継続し、経済を回復させ、新たな成長の突破口を切り開くべく、来週早々には経済対策を決定します。
菅総理は12月4日に行われた記者会見のなかで、今週(12月7日の週)早々にも経済対策を閣議決定し、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う厳しい状況を乗り越えて、経済回復の足掛かりにしたいと述べた。規模については、総額を含めて政府内で検討していると述べるに留めている。
目に見える金額が出て来ない経済対策に残る不満
飯田)経済対策のメニューはいろいろと出て来ましたが、どうご覧になりましたか?
須田)経済対策ということですが、その裏付けになる財政、「お金は十分に確保できるのか」というところに、強い疑問を感じます。この経済対策は、新規支出を狙っている第3次補正予算と本来であるならば、対になるべきものなのです。「こういう補正予算を組んで、その裏付けとして経済対策を組みます」というところで強いメッセージになるでしょうし、国民の間に安心感も広がるのではないでしょうか。特に今回は、年末年始を控えています。事業者や働いている人たちにどうバックアップ体制を敷いて行けるのかというところがポイントだったのですが、その辺が非常に心許ない。スピード感に乏しいというところと、金額ベースでも目に見えたものが出て来ないというところに、不満が残りますね。
飯田)会見のなかでいろいろとメニューが並べられていましたが、緊急でコロナ対策と言うと、地方創生臨時交付金を1兆5000億円確保することと、ひとり親世帯に支給ということは出ているのですが、言ってみれば「その程度か」ということですね。
須田)マクロ的に見ても4~6月で大きく落ち込んで、7~9月に若干回復した。では「10~12月はどうなのか」というところが大きなポイントだったのだけれども、それに対するカンフル剤が見当たりません。資金繰りに困っているような事業者には対応していますが、そこだけが問題なのではありません。先行き見通し不透明だから、「この際、事業を閉じてしまおう」と、廃業する事業者が多く出て来ることが予想されるのです。そうなると、この経済はシュリンクしてしまいます。そういうところに対して、どうお金を流して行くかというところが問われていたのです。ですから、資金繰りを付けてあげれば何とか持つのではないかというのは、少し甘い考えではないかなと思います。
「消費税減税」を行えないもう1つの大きな理由
飯田)資金繰りの面で言うと、個々の融資などは1月までの期限のものは延長するという話ですけれども、具体的に「どういう需要を起こして、経済を回して行くか」ということが視点としてあまりなかったということですか?
須田)零細事業者などに話を聞くと、資金繰りを付けてもらっても、借りたものは返さなくてはならないのですと。先行き、返済の見通しが付かなければ、借りても返せません。「であるのならば、この際閉じてしまおう」というところが多いのです。この際だから、「消費税減税」という大きなカンフル剤を打つべきだったのではないかなと思います。菅さんの周辺の国会議員にもそう感じている人たちがいるのです。いろいろと意見具申も行われているようなのですが、それが具体的になって行かない。もちろん財務省が大反対しているのですが、もう1つ、自民党の二階幹事長が首を縦に振らないというか、振るつもりもないようだというところで、この消費税減税については、可能性としては極めて低いと思います。
飯田)なるほど。経済指標を見ると、内需が落ち込んでいるというのは目に見えている。それを支えるために、いちばんいいのは減税をして可処分所得を増やせば、その分、消費に回るのではないかということは考えられるはずですよね。
消費を喚起してテコ入れするにも「消費税減税」が必要なのだが
須田)加えて、この消費税減税というのは、結果的にお金を使って消費をしたことに対する補助金、お金を使わないともらえない補助金というところで言えば、消費拡大にもインパクトを持って来るのではないかと思います。もちろん、これだけですべてOKということにはなりません。ただ、消費を喚起してテコ入れするという点では、大きなインパクトを持っているのではないかと思います。それが議論の俎上にも載らないというところが、おかしいのではないかと思います。
飯田)確かに自民党の部会などでそういう議論が巻き起こっているかと言うと、税制改正大綱をこれからやるというのに、全然なかったですね。
須田)そうなのです。年末は税制改正ですから、そういう議論を少しぐらいしてもいいのではないかと思うのですが、ありません。
今回の臨時国会のテーマとして議論されるべきであった「第3次補正予算」
飯田)今回のこの経済対策、「閣議決定は今週早々」ということですが、実際に予算が付くのは通常国会ですよね。1月18日辺りが召集日だと言われています。大分遅くなりますよね。
須田)そうですね。年末から年明けにかけて、第3次補正予算を組んでおくべきだったのです。この臨時国会のテーマとして、国民がいちばん期待したのは、第3次補正予算です。「これは間違いなく編成されるだろう。規模は一体どの程度なのか」ということが言われていたのです。この番組でも議論して来たではないですか。ところが、第3次補正予算そのものが影も形もないというのは、どう考えてもおかしい。野党の方も会期末ギリギリになってそのことを言い出しているのだけれども、もっと早く突き上げるべきです。与野党共に何を考えているのでしょうか。
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