ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月24日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。再審を認めないとした「袴田事件」の東京高裁の決定を最高裁判所が高裁に差し戻したニュースについて解説した。
袴田事件~最高裁が再審認めない決定取り消し、審理差し戻し
昭和41年に静岡県で一家4人が殺害された強盗殺人事件、いわゆる「袴田事件」で死刑が確定した元プロボクサーの袴田巌さんについて、最高裁判所は12月23日、再審開始を認めないとした東京高等裁判所の決定を取り消し、審理を高裁に差し戻した。
飯田)犯行時の着衣と認定された衣類に付着している血痕の色の変化について、検討が不足していると判断したということです。
裁判の仕組みを考え直さなければいけない
鈴木)とにかく相当前の話ですから、実際に物証の鑑定をやって来ているけれども、科学的な根拠についても、当時の科学レベルの問題などがあります。それを40年経って、再検証はできない。ある意味では水掛け論のようになって来る。そういうなかでの再審ということでいろいろ問題がありました。特に、新しい証拠の開示に関しては検察に委ねられていたこともある。これは裁判の仕組みの問題になって来ますが、ここを考えなければいけないでしょう。いまは科学捜査が進んでいますが、残されたいくつかの疑わしき「冤罪ではないか」というものがあるわけです。それはここまで大騒ぎにならないもので、同様なケースが他にもあるのです。私は裁判の仕組み、制度を司法に関係している人たち当事者が考えなければいけないのだと思います。
飯田)袴田さんご自身も84歳、やがて85歳になるというところですので。
鈴木)お姉さんが喜んでおられましたよね。「クリスマスプレゼントだ」とインタビューに応じていました。
座間9人殺害事件~裁判を通じて社会や行政が考えなければならない「自殺、SNS」
鈴木)また、裁判で言うと座間の事件もあります。
飯田)座間9人殺害事件、白石被告が控訴を取り下げたということです。
鈴木)皆さんも「極刑は当然」だと思うのでしょうが、何か、すっきりしません。遺族の方たちの思いというのはもちろんあるのだけれども、依頼されて殺人を犯したのか、そうではないのか。本当はそうではないのだけれど、もう早く終わりたいから控訴をしないのか……。さらに、自殺願望、「もう死にたい」というSNSでのつぶやきの問題。特に今年(2020年)はコロナで自殺者の問題が出ているわけです。SNSでお互いにつぶきながら死を選んだ若い人たちがかなりいます。そういうSNS、そして自殺。コロナでそういうものが顕著になった。この辺りも裁判を通じて、社会や行政が考えなければいけないことではないでしょうか。
飯田)「手っ取り早くお金を稼ぐためだ」というようなことを被告本人は言っているようですが。
鈴木)この事件は、いろいろなことを私たちに突きつけると思います。それが単に裁判の手続き上、ここで死刑が確定して「はい、終わり」というのではいけない。袴田事件と同じ裁判でも、それぞれに考えなければいけない問題があると思います。
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