ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月5日放送)に元内閣官房副長官で慶應義塾大学教授の松井孝治が出演。森喜朗東京五輪・パラリンピック組織委員会会長が評議会で語った不適切な発言について解説した。
森喜朗東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長、会見
森喜朗会長)オリンピック・パラリンピックの精神に反する不適切な表現であったと、このように認識いたしております。まず、深く反省しております。そして、発言をいたしました件につきましては撤回をしたい。
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が2月4日、「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」と評議会で発言した問題について会見を行い、「不適切な表現だった」と謝罪し発言を撤回した。
飯田)森さんは、83歳でいらっしゃいます。
松井)私は83歳だからといって、老害と言うつもりはありません。今回の発言については、私も全文を読みました。こういうことはときどき、変な切り取り方をされるので、そういうことがあってはいけないと思って読みましたが、やはり少しよくないですよね。
飯田)「女性だから長い」というように結論付けて。
松井)近所の人たちが居酒屋談義で言うのならばまだしも、ああいう公式の場ではっきりおっしゃっている。では、男性はどうなのかとか、空気を読んで黙っている人がいいのかとか。会議の参加の仕方という意味では、別に男女を問わず、空気を読めない人を「あいつは空気が読めないやつだ」と言うのと同じように、「女性は空気を読めない。あの人たちがいると話が長くなる」と性差で括るのは、やはりよくないですね。
毎日新聞の鈴木琢磨記者と森氏の関係
松井)森さんの発言は、2000年の神の国発言などもそうですが、「きちんと全体を聞くとわりとそんなに酷い発言ばかりではない」と、私たちが許して来たこともあったのです。「辞めろと言われるなら辞めざるを得ないかも知れない」という発言を取ったのは毎日新聞でしたけれども。
飯田)毎日新聞の夕刊で、森さんの去就について、単独だと思うのですが、コメントを取って来ているのですよね。
松井)これは、鈴木琢磨さんというすごい記者です。この人は読売新聞の渡辺恒雄さんに、「うちに鈴木琢磨のような人はいないのか」と言わせたほどの人で、いまのメディアにはこのような人はいませんよね。しかも「女房からはこう言われていて、娘からはこう言われている」というようなことまで喋らせて、そこも含めて辞意をほのめかすようなことを取って来たというのは、鈴木琢磨さんの森喜朗さんに対する愛情を感じましたね。
飯田)森さんへの愛情。
松井)この何段抜きにもなっている記事を、早朝の電話などで取材したのだと思いますが、森さんも鈴木さんの電話に出る関係性なのです。この人は政治部ではありませんから、番記者と政治家の関係ではありませんが、メディアと政治家が、ある種一体化してここまでの発言を引き出す。鈴木さんは森さんのためにこのように言った方がいいと思って引っ張り出しているのだと思います。
人情政治家としてのいい面もある森氏
松井)しかし、この関係が森さんを甘やかしているのかも知れません。要するにぶった切る人がいない。人情政治家なのですよ。民主党の鈴木寛という人が落選したときに、彼は菅直人さんに虐められていたのですよね。その彼に「大変だったね」と声をかけて、「能力はわかっているから自民党政権に付き合ってくれ」と彼を大臣補佐官に任命したのは、すべて森さんの仕掛けなのです。そういうことができる人でもあるのです。だから、この人が老害で、すべてが悪いかと言ったら、そうではない。いい面もあるから、ここまでいまだに活躍されているのですよね。ただ、今回言ったことは、全文読みましたが、やはりよくないと思いますね。
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