ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月4日放送)に朝日新聞編集委員で元北京・ワシントン特派員の峯村健司が出演。東京五輪・パラリンピック開催に向けて開かれた橋本聖子大会組織委員会会長、小池百合子東京都知事、バッハIOC会長らによる5者協議について解説した。
東京オリンピック・パラリンピックの海外客受け入れ3月中に判断
東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて3月3日、大会組織委員会の橋本聖子会長や東京都の小池百合子知事、丸川珠代オリンピック・パラリンピック担当大臣、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長、国際パラリンピック委員会(IPC)のパーソンズ会長よる5者協議が開かれた。協議の結果、海外からの観客受け入れについて3月中に判断することで合意している。国内も含めた観客の上限は4月中に決める方針である。
飯田)スポーツ新聞は各紙一面トップでという感じで伝えておりますが、やるかやらないかも含めて、いろいろな意見が飛び交っています。峯村さんはどうご覧になりますか?
海外からの選手を迎え入れる体制が取れるのか~それまでにコロナを抑えられるのか
峯村)コロナの状況で、観客がどうなるかという問題もありますが、そもそも選手ですよね。200ヵ国、約1万5000人と言われていますが、迎え入れる体制が取れるのか、それまでにコロナを抑えられるのか、というところがすべての鍵だと思っています。やはり欧米メディアでもネガティブな報道が出ていて、イギリスのタイムズ紙は「今年の東京五輪を中止すべきときが来た」と報じています。3月中とは言っていますが、あと残り3週間、いずれにしても、科学的にも説得力のある決定をすることが、日本の最大の責任だと思っています。
飯田)数字を見ると、海外と比べて感染者数も2桁少ないなどがある一方で、海外にそれが正しく伝わっているかというと、かなり誤解されているのではないかと思うのですが、どうですか?
峯村)そこはあると思います。「日本はまだ大変なのではないか」と中国やアメリカの知人からも言われたりします。一昨日(2日)、ロサンゼルスにいる元ホワイトハウスの知人と電話で話したのですが、「1ヵ月前と比べると収まっている。ワクチンの接種が進んでいるので、少しよくなって来た」と言っていました。
ワクチンがアフターコロナの世界の覇権争いに利用されている
飯田)日本もワクチンの接種は医療関係者を中心に始まっていますが、ここの争奪戦がヨーロッパではえげつなくなって来ているようですね。
峯村)なっていますね。確保して、他の国に出さなくなっています。「COVAX(コバックス)」という、「ワクチンを共同購入して途上国に提供しましょう」と国際的な枠組みをつくったのですが、そのコバックスでも全然足りていない。そんなところに中国製・ロシア製のワクチンがどんどん途上国に入って行くというような、「国際的な影響力をどっちが取るのだ」という話になって来ていますね。
飯田)そうすると、純粋に医療や人道というよりも、覇権争いのようになって来ていますね。
峯村)「コロナという戦いが終わったあとの国際秩序を誰が描くのか」というフェーズに変わって来ていると言ってもいいと思います。
飯田)なるほど。太平洋会議のようなものをやっているという、そういうフェーズになりつつあるのですね?
峯村)太平洋会議のような構図というより、各国が勝手にやっている状況ですよね。
IOCと日本側での押し付け合いになっている~このままでは次の五輪にも影響が
飯田)オリンピック・パラリンピックもそうですし、他のスポーツイベントなども「これからどうする」ということになっています。日本としては、「誰が情報発信してリーダーシップを取って行くのか」というところが見えなくなりつつあるのですか?
峯村)オリンピックの一連の流れを見ていると、「誰がイニシアティブを取って決めているのか」が見えない不安は正直ありますね。
飯田)IOCは「開催国と開催都市が責任を取るんでしょ」という感じで言うのですかね。
峯村)JOCの関係者に聞くと、押し付け合いですよね。2枚しかないトランプのカードがあって、ババ抜きのババがどっちかに入っていると。「お前が引け」みたいな、そういう押し付け合いのようなイメージを受けました。
飯田)そこに放映権が絡んで来るという話も、まことしやかに言われているではないですか。やはり影響するのですか?
峯村)大きいと思います。しかし、すべての原因はコロナというまさに未曽有の疫病ですよね。日本の責任ではないのですから、皆さんで話し合って、新たな規則をつくるなどということを考えないと、次のオリンピックにも影響するのではないかと危惧しています。
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