ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月16日放送)に数量政策学者・内閣官房参与の高橋洋一が出演。中国のウイグル政策がアメリカにジェノサイド認定されたことによる北京五輪への影響について解説した。
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中国は2020年10月14日午前、広東省深セン市で深セン経済特区〈SEZ〉設置40周年を祝う盛大な大会を開いた。習近平共産党総書記・国家主席・中央軍事委員会主席がこれに出席し、重要演説を行った。〔新華社=中国通信〕写真提供:時事通信社
中国のウイグル弾圧を米がジェノサイド認定
米のポンペオ氏によってジェノサイド認定された中国のウイグル政策だが、バイデン政権もこれに同意しており、2022年の北京冬季オリンピックに欧米各国がボイコットする可能性が出ている。
高橋)日本は森さんの話で大騒ぎしているけれど、世界の方は全然違う動きになっていて、中国はいま厳しい立場なのです。「中国のウイグル政策がジェノサイドだ」とアメリカのポンペオさんが認定しました。バイデン政権がそれを引き継ぐということです。
飯田)そうですね。次期国務長官のブリンケンさんもね。
高橋)ジェノサイドということになれば、平和の祭典の北京オリンピックと真逆になりますので、北京オリンピックはボイコットということになります。
飯田)2022年の北京冬季オリンピック。
高橋)あと1年です。いまヨーロッパなどでもウイグルの話は話題になっていて、ジェノサイド認定だということで、「ボイコットすべき」という意見が多いのです。イギリスでは、それをBBCでずっとやっているから、中国では放送禁止になってしまったでしょう。
飯田)BBCは今年(2021年)、強制収容所で性的暴行が行われているのではないかということを報道しました。
高橋)イギリスの外相もボイコットはありうるという表現もしています。ヨーロッパからすると1936年のベルリン五輪のトラウマがあるのです。あのときにジェノサイドを隠してオリンピックをやって、終わったあとにドイツはホロコーストをしてしまったでしょう。そういうことがあって、ヨーロッパではこのことに関心があるのです。冬季オリンピックは極端に言うと、ヨーロッパと北アメリカからしか出ないのです。雪がないところは出られないから。基本的に北欧諸国が中心なのです。そこは人権にすごく厳しいです。これは北京オリンピックをやるにあたって、中国のアキレス腱になると思います。東京オリンピックで話題になっていることとは違う次元の話です。ジェノサイドと言われたら平和の祭典は絶対に無理なのです。
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新疆ウイグル再教育キャンプと思われる施設=2019年6月2日 写真提供:時事通信
日本は国内法を整備してジェノサイド条約に入ればいいだけのこと
飯田)日本に関して言うと、「ジェノサイド条約に入っていないから、何も言えないのだ」というようなことを外務省が言うようですが。
高橋)それは逆に言うと、国内法が整備されていないだけのことです。国内法を整備して入ればいいという、それだけです。こんなものは「国内法の整備なんて簡単でしょう」で終わってしまいます。外務省は「法律がないから」と言うけれど、法律をつくればいいのです。
飯田)条約の批准等々というのは、基本的に国会の権能の1つです。
高橋)国内法を整備すれば、簡単なことです。議員立法で、「ジェノサイドの法律整備で反対する人なんていないでしょう」で終わりです。たまたまいままで考えていなかったからそういう法律がなかったというレベルです。