元・ラジオ番組のディレクターで、現在はイラク北部で「国境なき医師団」のプロジェクト・コーディネーターを務める落合厚彦さんが、3月7日(日)に放送された、女優の戸田恵子がパーソナリティを務めるラジオ番組「戸田恵子 オトナクオリティ」(ニッポン放送・毎週日曜14時~14時30分)に、現地からリモートで出演。イラクでの活動やその思いを語るとともに、ラジオ番組作りとの意外な共通点も明かした。
国境なき医師団は、紛争や災害、貧困など、さまざまな理由で満足な治療を受けられない場所に、スタッフを派遣して支援する国際的な団体。プロジェクト・コーディネーターは、医者や看護師、施設や車両管理、上下水道、電気管理などさまざまな部門を統括する仕事で、現地の政府や警察と交渉したり、地域の治安や政治の状況をモニタリングしたりもするそうだ。
国境なき医師団となって13年目の落合さん。現在は、過激派に占領されて多くの人が虐殺された地域、イラク・シンジャールで病院を運営するプロジェクトに携わっているという。
戸田:ミッションによって関わる人数も変わるとは思いますが、大体どれぐらいの人数でやっているんですか?
落合:このイラクのプロジェクトは、海外のスタッフが12人、現地のスタッフが160人ぐらいですね。
戸田:すごい! 国籍はバラバラだと思うんですが……。
落合:バラバラですねぇ。
戸田:会話は英語ですか?
落合:ここでは英語ですが、行く国によってフランス語だったり、スペイン語だったり、大体3つの言語が仕事上の言語となります。
戸田:落合さんは元々、ラジオのディレクターをされていたということで、役立ったノウハウみたいなものはありますか?
落合:ラジオも、言ってみればプロジェクトみたいなものだと思うんですよね。一つの目標に向かって、いろんな立場の人が寄せ集め的に集まって仕事をしていく、そういう意味では国境なき医師団のように、世界各国からいろんな人が集まって、一定期間、一緒にモノを作っていく、仕事をしていくというのは似ていると思います。
戸田:そうですか。
落合:ラジオも特に生放送だと、時にはあまり確信が持てなくても、何かしらの決断をしなくてはいけないことがあります。戸田さんがやられている舞台も、何かあっても止めるわけにはいかないと思いますが、とにかく何か決断をして進まないといけないことがあります。
戸田:確かに。
落合:それは、今のプロジェクト・コーディネーターというのも、100%確信が持てなくてもどこかで決断して、それを自分が責任を取る度胸というか、ハッタリというか。そんな事もラジオで学んだかもしれません。
ラジオ制作の中で、100%の確信がなくても決断する度胸や、自分で責任を取る度胸を学び、それが国境なき医師団でも求められていると語った落合さん。
国境なき医師団は1971年にフランスで設立し、今年2021年で50周年を迎えた。落合さんは「これもひとえに皆さんのご支援の賜物だと思います。ありがとうございます」と感謝しつつも、「うれしく思う反面、僕達のような団体が50年経った今も必要とされる状況にあるというのはちょっと残念にも思いますし、憤りを感じます」とコメント。さらに続けて、「この後10年、僕達のような団体が必要とされない世の中になるように、みなさんと一緒に力を合わせてやっていけたらいいなと思います」と、切実な思いも語った。
番組情報
女優・戸田恵子が大人のクオリティ・オブ・ライフ(上質で豊な生活)をエンジョイするための「人・モノ・コト」にフォーカスする番組です。
大人の会話が弾むプチトリビア、大人が生活に取り入れたくなる情報をお届けする30分。ぜひお付き合いください。