『見える子ちゃん』原菜乃華主演、怖いのに笑いが込み上げてくるホラーエンターテイメント

By -  公開:  更新:

Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね【第1254回】

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。

今回は、6月6日に公開された『見える子ちゃん』と『国宝』 をご紹介します。

(C)2025『見える子ちゃん』製作委員会

画像を見る(全13枚) (C)2025『見える子ちゃん』製作委員会

『見える子ちゃん』霊から逃げるには、スルーするのがイチバンです!?

第1話がSNSに投稿されるやいなや瞬く間に大反響を呼び、以降、多くの読者に愛され続けている「見える子ちゃん」。霊が見えるようになってしまった女子高生が、その存在に怯えながらも霊を“無視し続ける”というホラーコメディ。

そんな人気漫画が、実写映画としてスクリーンに登場しました。ユニークな設定に映画オリジナルの要素が加えられ、個性あふれる全力無気力系エンターテイメントが誕生しました。

(C)2025『見える子ちゃん』製作委員会

(C)2025『見える子ちゃん』製作委員会

『見える子ちゃん』のあらすじ

平穏な学校生活を送る普通の女子高生、四谷みこ。彼女の生活は、ある日突然、霊が見えるようになってしまったことで変化してしまった。家の中、通学路、学校の教室や体育館。いたる所で霊に遭遇するみこが取った対策は、見えてないふりをすること。そう、スルーするのだ。

「見えてるんでしょ」と話しかけられても、全力疾走で追いかけられても、平静を装って無視。もしも彼ら(!?)に“見えて”いることを悟られてしまうと、何が起こるか分からない。

しかし、親友の百合川ハナが霊に取り憑かれたようで、さすがに幽霊たちの存在を無視できない状況となり……。

(C)2025『見える子ちゃん』製作委員会

(C)2025『見える子ちゃん』製作委員会

『見える子ちゃん』のみどころ

主人公・四谷みこを演じたのは、原菜乃華。連続テレビ小説「あんぱん」やドラマ&映画「推しの子」など話題作への出演が絶えない彼女ですが、意外にも本作がメジャー映画単独初主演。突然見えるようになってしまった霊の存在に翻弄される女子高生を表情豊かに体現しています。

共演には久間田琳加、なえなの、山下幸輝、堀田茜、高岡早紀、滝藤賢一といったバラエティ豊かな顔ぶれが集結。

さらに、SixTONESのメンバーで映画・舞台で活躍する京本大我が、みこが通う高校の教師役を好演。物語の鍵を握る重要な役どころを、ちょっぴりミステリアスに演じている姿からも目が離せませんよ。

(C)2025『見える子ちゃん』製作委員会

(C)2025『見える子ちゃん』製作委員会

巧みなホラー表現が印象に残る本作において、とりわけ興味深かったのが心霊に対する描写です。

本作には、鮮明に見える幽霊とぼんやりと見える幽霊とが登場。これはラジオのチューニングのように、周波数がピタリと合うとはっきりと見えて、波長が合わないとボヤけて見えるという説があることから、こうした描写を採用したとのこと。私たち観客も、本当に“見えて”いるかのようなゾワッとした感触を味わうことが出来て、なんとも言えない恐怖に身の毛がよだつことでしょう。

またストーリー全体に、細かな伏線がいくつも張り巡らされていて、ミステリー要素が楽しめるのも特徴のひとつ。ホラーやミステリー作品を得意とする中村義洋監督の演出力の高さに唸らされるばかりです。

怖いのに、思わず笑ってしまう。新感覚のホラーエンターテイメントをスクリーンで堪能して。

(C)吉田修一/朝日新聞出版 (C)2025映画「国宝」製作委員会

(C)吉田修一/朝日新聞出版 (C)2025映画「国宝」製作委員会

『国宝』 彼らは何故、それでも舞台に立つのか……

任侠の一門に生まれるも、数奇な運命をたどり、歌舞伎役者の家に引き取られた立花喜久雄。名門の跡取りとして歌舞伎役者になることを運命づけられ、幼い頃から芸の世界に生きてきた大垣俊介。境遇も才能も異なる二人は、ライバルとして互いに切磋琢磨し合いながら芸の道を究めていく……。

芥川賞をはじめ、数々の受賞歴を持つ吉田修一による同名小説を映画化した『国宝』。美貌の歌舞伎女形の一代記を壮大なスケールで映し出した芸道映画です。吉沢亮演じる喜久雄と横浜流星扮する俊介の女形姿は、思わずため息が出るほどの美しさ。

歌舞伎の演目を通じて、芸の道に人生を捧げる者たちの葛藤や絶望が浮き彫りとなっていくストーリー展開も秀逸の一言。「第78回カンヌ国際映画祭」でも絶賛を浴びた話題作です。

(C)2025『見える子ちゃん』製作委員会

(C)2025『見える子ちゃん』製作委員会

<作品情報>
見える子ちゃん
2025年6月6日(金)から全国ロードショー

出演:
原菜乃華
久間田琳加 なえなの 山下幸輝
堀田茜 吉井怜 / 高岡早紀 京本大我 滝藤賢一

原作:泉朝樹「見える子ちゃん」(MFC/KADOKAWA刊)
脚本・監督:中村義洋
音楽:堤博明
主題歌:BABYMONSTER「Ghost」(Sony Music Labels Inc.)
製作幹事・配給:KADOKAWA
制作プロダクション:ツインズジャパン
(C)2025『見える子ちゃん』製作委員会
公式サイト https://movie-mierukochan.jp/

(C)吉田修一/朝日新聞出版 (C)2025映画「国宝」製作委員会

(C)吉田修一/朝日新聞出版 (C)2025映画「国宝」製作委員会

<作品情報>
国宝
2025年6月6日(金)から全国東宝系にてロードショー

出演:
吉沢亮
横浜流星 / 高畑充希 寺島しのぶ
森七菜 三浦貴大 見上愛 黒川想矢 越山敬達
永瀬正敏
嶋田久作 宮澤エマ 中村鴈治郎 / 田中泯
渡辺謙

原作:「国宝」吉田修一著(朝日文庫/朝日新聞出版刊)
監督:李相日
脚本:奥寺佐渡子
音楽:原摩利彦
主題歌:「Luminance」原摩利彦 feat. 井口理(Sony Music labels Inc.)
製作幹事:MYRIAGON STUDIO
制作プロダクション:CREDEUS
配給:東宝
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(日本映画製作支援事業)、独立行政法人日本芸術文化振興会
(C)吉田修一/朝日新聞出版 (C)2025映画「国宝」製作委員会
公式サイト https://kokuhou-movie.com/

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

Page top