「変異種」と「変異株」の違い……新型コロナの今後
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東京都医師会副会長で感染症を担当する「角田外科消化器科医院」院長の角田徹氏が2月12日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。新型コロナウイルスの変異株と後遺症について解説した。
飯田浩司アナウンサー)今回は、変異株と後遺症と呼ばれる症状について伺っていこうと思います。ひと頃では「変異種」という言葉を使っていましたが、現在では「変異株」と呼ぶようになっています。変異種と変異株という2つの言葉は、元々概念として違うのでしょうか?
角田)変異種ですと、全く違ったウイルスという意味になってしまいます。ウイルスというのは、感染していく中で何度も増殖していくと、コピーミスによって少しずつ遺伝子が変わってくるのです。それが変異株で、ウイルス自体が変わるものではありません。一部の顔つきが変わるようなものです。
飯田)イギリスの変異株というものが日本に入ってきて、大変だというニュースがありました。いまは、その辺りの流行というのはどうなっているのでしょうか?
角田)イギリスの変異株のほうが、少し感染力が強く、プラス70%と言われています。英国から帰ってきた方たちや濃厚接触者を調べると、この株に感染していることがあります。一般的に考えて、ある程度の変異株も、日本のなかに広がっていると私は思っています。
新行市佳アナウンサー)後遺症についても気になるのですが、そもそも後遺症というと、初めにどういったことが挙げられますでしょうか?
角田)欧米のデータですと、入院するような中等症以上の方々は後遺症のリスクが高く、76%、つまり4人に3人は後遺症に悩まされると出ています。一番多いのが、体のだるさです。あとは、力が入らないといった症状で、これが6割、重症者の場合ですと8割程が残ると言われています。ほかには、眠れなくなってしまう方が大体4人に1人、毛が抜けてしまう方が5人に1人、嗅覚障害が残ってしまう方が大体10~15%程いるようです。こういったことについては、周りの理解が極めて重要ですよね。
新行)そうですね。コロナが治ったから職場復帰するといっても、体にずっとだるさが残っている場合があるかと思います。そう考えると、周りがそれをきちんと理解をしてあげて、少しずつ社会復帰できるようにしてあげることが大切ですよね。
角田)本当にその通りです。感染症自体、かかった方が悪いといった風潮があるのですが、かかる可能性は誰にでもあるので、その辺りに関しては、しっかりとした社会の正確な理解と協力が必要ですよね。
飯田)感染経路の不明な方がこれだけ出てくるということは、本当に、誰がいつどこでかかってもおかしくない病気になっていると考えていいでしょうか?
角田)その通りですね。3密を避けることや、マスクとか手洗いなどの反省はもちろん必要ですが、誰でもかかる可能性があるということは、ぜひ認識してもらいたいと思います。
飯田)まず感染予防が大事ですが、運悪くかかってしまった場合でも、薬もあるし治療法もある。そしてワクチンもある。段々と光が見えてきたように感じますが、どうでしょうか?
角田)私たちの立場から見ても、今後に対する見通しがついてきました。ワクチンが出る。予防薬が出る。そして、皆さんにも感染予防の気持ちを高めていただいている。光が見えてきていると感じます。
飯田)お医者さんの立場でお答えいただきたいのですが、希望が見えてくると、病気に対しての対抗という意味でも良くなりますでしょうか?
角田)やはり気持ちの持ち方ってとても重要ですよね。例えば自粛も、先が見えない自粛というのは難しいかと思います。どこか明るい目標を見据えて、我慢や治療など、努力することは必要ですよね。
飯田)そういった意味では、あともう少しの辛抱ということでしょうか?
角田)そう思いたいです。ただ、この波はおそらく繰り返します。しかし対抗する方法も段々とわかってきているので、必ず克服できると思います。その辺り、しっかりとやっていきたいと思います。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます