中国が人権問題に関して「強硬に反発する意味」~米中外交トップ会談

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月22日放送)に政治学者・大和大学准教授の岩田温が出演。平行線に終わった米中外交トップ会談について解説した。

中国は2020年10月14日午前、広東省深セン市で深セン経済特区〈SEZ〉設置40周年を祝う盛大な大会を開いた。習近平共産党総書記・国家主席・中央軍事委員会主席がこれに出席し、重要演説を行った。〔新華社=中国通信〕写真提供:時事通信社

米中外交トップ会談は平行線に終わる~次回協議の目途立たず

アメリカと中国の外交トップによる、バイデン政権発足後初の直接会談が3月18日~19日の2日間にわたって行われ、人権や安全保障の双方の主張は平行線を辿った。台湾、ウイグル、チベット、香港などの人権問題で中国は譲らず反発。気候変動問題や貿易、ハイテク分野でも隔たりがあり、次回の協議の目途は立っていない。

バイデン次期米大統領(ゲッティ=共同)、中国の習近平国家主席=2020年12月2日 写真提供:共同通信社

人権問題についてここまで中国が反発をすることは初めてのこと

飯田)日本が重視する沖縄県・尖閣諸島周辺の領海侵入も取り上げられたということで、日本には協議内容が後日伝えられるということです。かなり大きなニュースだと思いましたが、岩田さんはどうご覧になりましたか?

岩田)非常に大きなニュースだと思います。いままでの中国のあり方が大きく変わったという、ある種、歴史的な瞬間に立ち会ったのかなという気もします。アメリカが人権の問題でいろいろなことを言うのは、これまでにもありましたが、これに対して、ここまで中国が強硬に反発をするということは、いままでは控えていたわけです。ところが、今回はこれを堂々と世界の前でやったということは、中国が自分たちに自信を持っているということで、非常に危うい傾向だと思います。

飯田)しかも、それをマスコミが出て行ったあとの密室のなかでやるのではなく、メディアもいたところでやっています。

北京から世界経済フォーラム(WEF)のオンライン会合に参加する中国の習近平国家主席=WEFのウェブサイトより=2021年1月25日 AFP=時事 写真提供:時事通信

建国100周年の2049年までに世界1の覇権国家になりたい中国

岩田)「見ろ」ということです。アメリカもバイデン政権としては、「自分たちは弱腰外交ではない」ということを何とか示さないといけない。そういうパフォーマンスの部分と、同盟国に対して、「我々は強いアメリカを維持して行くのだ」という思い。それから中国に対しては、「俺たちは本気だ」という、いくつもの意味があったと思います。ところが中国の方は、国内に向けてのメッセージ性が強いと思います。「我々は偉大な国なのだ」と。今年(2021年)は共産党結党100周年です。そして2049年には建国100周年になります。ここまでに、世界1の覇権国家になりたいというのが中国の目標なのですけれども、これに向かって邁進しているという感じがします。普通の国が大きくなって行くのは、人口も多くて仕方ないかなと思える部分もあるのですが、こと中国に関しては、自由と民主主義を根底から否定するような価値観を持っています。これを「大きくなってよかったですね」と諸手を挙げて賛成は絶対にできないのです。日本は厳しい選択を迫られていると思います。

習近平氏、長江経済ベルト全面的発展推進座談会で重要演説=2020(令和2)年11月14日 新華社/共同通信イメージズ

世界的な脅威になりつつある中国を無視できなくなったヨーロッパ

飯田)世界の目も変わって来ています。あれだけ無関心だったヨーロッパの国々が、艦艇を差し向けて来たりしています。

岩田)それは「中国いかんぞ」というような人権に対する道義的な部分でやっているところもありますが、このまま放置すると、本当に中国が覇権を握りかねないという脅威も感じつつあるのです。中国は大きくなった。いまやアジアのなかでの軍事力はアメリカよりも優位になりつつある。これは世界的な危機だと考えているからこそ、ヨーロッパも無視できなくなって来たということです。

台北市の総統府で記者会見する蔡英文総統=2020年1月15日(共同) 写真提供:共同通信社

台湾を傘下に収めることが中国共産党の野望

飯田)しかも、その正面にどこが当たるのかと考えると、残念ながら南シナ海はもう拠点までつくられてしまった。そうすると、東シナ海や台湾・尖閣ということになります。

岩田)率直に申し上げると、中国が悲願としているのは台湾です。台湾を自分たちの傘下に収めたい。これは長年の中国共産党の野望であるわけです。これまでは実力がなかったから、アメリカが抑え込んで来た部分があり、我慢して来たわけです。彼らはやり方として、香港で一国二制度というものを導入しました。一国二制度で、「50年間、高度な自治を認める」と言いながらも、香港の自治というのは2020年から今年にかけて、ほぼ自由がなくなり、民主主義もなくなるという状況をつくり出した。考えておかなければならないのは、一国二制度というのは、最初に台湾に提案したものなのです。ということは、台湾がもし政権がふらふらしていて、一国二制度というものを受けていたら、あの香港の状況は台湾で起こっていたということになるわけです。そう考えると、非常に恐ろしいと思わざるを得ないですね。

李登輝総統就任式典 あいさつする台湾の李登輝総統  撮影日:1996年5月20日 撮影場所:台湾  桃園県立体育館 写真提供:産経新聞社

中国を大きくしてしまった責任の一端は、餌を与え続けた西側諸国にある

飯田)総統選を民選にした李登輝さんは巧みにやったし、その危機感がやはりあったということなのですか?

岩田)李登輝さんは、20世紀で最も尊敬する政治家の1人です。ただ、その李登輝さんもできたのは、あのタイミングだったということはあると思います。中国がいまのように大きくなってしまう前だったから、比較的強気に行けた。台湾の方が圧倒的にお金があったという状態でしたから。いまは中国の方が伸びている。残念ながら、猫に見えていたライオンに餌を与え続けたのは日本でありアメリカであり、ヨーロッパなのです。西側諸国が「中国も頑張りなさい」ということでやっていたら、どんどん大きくなって、「これは猫ではない」と。これはもう虎、虎どころではない、巨大な人食い虎になってしまって、恐ろしい状態になった。でも、その責任の一端は西側諸国にあったということだと思います。

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