バイデン大統領が菅総理を「初の対面首脳」に選んだ2つの理由
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月16日放送)に経済アナリストのジョセフ・クラフトが出演。菅総理が日米首脳会談のためにワクチン接種を受けるというニュースについて解説した。
日米首脳会談を前に菅総理大臣がコロナワクチン接種へ
政府は菅総理大臣が3月16日午前、新型コロナウイルスのワクチンを接種すると発表した。これは4月前半にアメリカで予定されている日米首脳会談のためで、およそ3週間の間隔を空けて2回目も接種する。
飯田)アメリカ製薬大手ファイザー社製の新型コロナワクチンを接種する、その模様は報道陣にも公開するということです。首脳会談はバタバタと決まったような感じがありますが。
アメリカ政府から求められたワクチン接種
クラフト)日本のアジアにいる立ち位置や対中を考え、最初に対面で会う首脳ということではありますが、政府関係者から聞いた話だと、今回はコロナの影響が非常に大きい。アメリカはバイデン大統領の年齢からなのか、世間体を気にしてなのか、コロナの情勢をとても気にしています。日本はアメリカから見ればコロナ感染が非常に少ない状況です。それでもアメリカ側は神経質になっていて、実は日本政府からアメリカへ毎週国内のコロナデータを送っているのです。そんななかで、今回急に会談が決まり、おそらくアメリカ側からワクチン接種を求められたのだと思います。
飯田)なるほど。
クラフト)これは菅総理だけでなく、同行する80人~90人、全員がワクチン接種をすると思います。当初、私が聞いていたのは、日本側は首脳会談開催を4月末くらいにしようと模索していたのが、今回はアメリカ側の事情で前倒しになり、慌ててワクチン接種ということになったのだと思います。
菅総理を初めての対面首脳会談に選んだ2つの理由
飯田)例年ゴールデンウィーク辺りですものね。アメリカは感染が拡大していますからね。ホワイトハウスに直に招くとなると、なかなか招きづらいということがあるのでしょうか?
クラフト)バイデン大統領はコロナ対策を「一丁目一番地」にしているわけですから、そこはある程度世論を気にして、日本は感染率が低く、なおかつ大国であるということでしょう。またバイデン政権は、「どちらかというと欧州に寄っているのではないか、中国やアジア重視ではない」という批判もあるので、そこに対して「まずアジアをやります」という意思表示にもなります。でもコロナの影響が大きいと考えられますね。
同盟国連携が意味する2つのこと~対中国と自己防衛の責任負担
飯田)昨日(15日)、オースティン国防長官とブリンケン国務長官も来日されました。この初海外出張が日本になったことも絡んでいるのでしょうか?
クラフト)間違いなく絡んでいると思います。当然そうなのですが、今回あまりメディアで取り上げられないポイントが、バイデン政権は「同盟国との連携を強める」ということで連盟国に歓迎されていて、日本からも頼もしいとされていますが、実は日本政府は必ずしも、両手を挙げて喜べる状況ではないのです。同盟国連携が意味することが大きく2つあります。1つは反中国の踏み絵を踏むこと、これをする場合は中国からの経済制裁を受けるリスクがある。もう1つは自己防衛の責任負担をより持って欲しいということがあります。つまり、「思いやり予算」を増やすのではなく、集団的自衛権を拡充する、またアメリカがミサイル予算を増やしたけれど、そのミサイルを「日本に配備させてくれ」と言って来る。こうした責任分担の議論が、今回ブリンケン国務長官、オースティン国防長官との間でどこまでされるかが興味深いですね。
飯田)トランプさんのときから言っていますが、「国防費を2%くらいにしろ」というのはヨーロッパを中心に言われていました。日本に対しては安倍さんとの関係もあってか声が小さかったのですが、その辺もですね。
日本により責任負担を求めるバイデン政権
クラフト)トランプ政権では、ボルトン安全保障担当がいろいろと言っていましたが、トランプ大統領自身はあまり求めていなかった。安倍さんとの関係もありましたし、日本はNATOに比べると予算を払っていたということで、あまり圧力をかけなかった。しかし、バイデン政権では、むしろそういう予算よりも、「より責任の負担をして欲しい」というメッセージが送られて来ています。
飯田)行動で示せということですか?
クラフト)これは日本にとって非常に難しい問題です。
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