東京都医師会会長の尾﨑治夫氏が3月8日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。新型コロナウイルス感染者の現状と、対策の最新情報、終息に向けて求められることについて解説した。
飯田浩司アナウンサー)1都3県に関して、緊急事態宣言は延長ということになりました。緊急事態宣言が発令されてからのこの2ヶ月間の取り組みについて、どう感じていらっしゃいますか?
尾﨑)2月の初め頃までは順調に感染者数が減って、増加率が3割程度下がっていたのですが、ここのところは下げ止まりの状態が続いています。入院している患者さんの数が約1500人、重症者の方が約50人、自宅療養をしている方が約1000人です。数としては、かなり減っています。
ただ冷静に見てみますと、11月の中旬あるいは下旬頃と同じくらいの数字までいっています。11月から12月、1月と増えてきましたので、このままの状態で緊急事態宣言を解除してしまうと、また同じようなことが起きる可能性があります。早期にリバウンドしてしまう可能性もあるので、そういった意味では、緊急事態宣言を延長していただけるということは、いいことだと思っております。例えばファイザー社のコロナワクチンをしっかり打てる体制を作ったり、あるいは最近問題になっている変異株というものにどう対処するかを考えたり、そういったことも必要ですので、いまはもう一度感染を抑えるために、皆で頑張らなければならない状況だと思います。
飯田)そのメッセージの出し方についてはある意味政治の責任も大きく、数字の根拠がどこまで示されているのかと疑問に感じてしまう方も多いと思います。医療の現場にいらっしゃると、数字についてはいろいろ思うところがあるのではないでしょうか?
尾﨑)いま医療サイドだけではなくて、いろいろな経済学者の方々からも、この程度の感染で数を抑えていけばこうなるといったデータはたくさん出てきています。そのデータ1つ1つの検証というのは必要かもしれませんが、例えば100人を割る数字にまで抑えることができれば、リバウンドもせずにしばらくいい状態を保つことができ、いずれ波が来るにしてもかなり抑えられるということは、おそらく皆さん共通しているところです。そういう数値を出しながら、これを行えばこういう良い状態がしばらくは続くといったメッセージを、しっかりと国民の方々に示していただきたいです。そうしていただければ、もう少し引き締めて我慢してみようと思えるのですが、そういうメッセージがなく、ただ2週間延長しますということでは、なぜ延長するのかがわからないという話になってしまいます。その辺りの訴えというものが、必要なのだと思います。
飯田)緊急事態宣言が解除されても、コロナがなくなるわけではないので、気持ちの部分での感染予防は、この先も続けていかなければいけませんよね?
尾﨑)そうですね。ワクチンができて、ある程度重症化の予防に有効な薬ができていけば、それなりに落ち着いてくる可能性はありますけども、それにはどうしても、まだ1~2年かかります。そういう長期戦を戦うにおいて、どういう目標で頑張るのかということを、国全体で考えていくことが必要だと思います。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます