ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月8日放送)にジャーナリストで東海大学教授の末延吉正が出演。新型コロナワクチンを接種した30代女性が3例目となるアナフィラキシーを発症したというニュースについて解説した。
新型コロナワクチン、アナフィラキシー3例目
厚生労働省は3月7日、新型コロナウイルスワクチンを接種した30代の女性が、重い副反応のアナフィラキシーを発症したと発表した。7日にファイザー製のワクチン接種を受け、およそ5分後に息苦しさやのどの違和感などの症状が出た。女性は食物や動物、殺虫剤などによるアナフィラキシーの経験があったということである。
厚労省のワクチン行政の限界
飯田)5日までにおよそ4万6千人の医療従事者に接種されていたということですが、7日までに3人の女性のアナフィラキシーが報告されています。
末延)これは他のワクチンなどを考えても、きちんと情報公開していれば、この部分だけを取り上げて「ダメだ」とするべきではないと思います。日本のワクチン行政は大昔のままで、厳しいのはいいことですが、「一切間違いがあってはならない」ということで、薬の認可を含め、ワクチンそのものも国立感染症研究所1ヵ所だけに権限が集中していて、広がりを持てないのです。こういうなかで日本独自のワクチンの開発もできていません。政府が調達できると言っているものも「大丈夫なのか」という感じになっている。これは厚労省のワクチン行政に限界が来ているので、ワクチン行政そのものを広げて行くことが必要です。
国民だけが頑張って我慢しても、政府はいつも根拠を明確に示せない
末延)コロナ感染が拡大し始めて1年以上経ちますが、未だに保健所はファックスを使っています。総務省が中心になって改善しようとしていますが、日本はデジタル化が遅れている。韓国や中国でもデジタル化が進んでいます。データ処理もできるし、スピードも速い。気がついたら、先進国だと思っていた日本はファックスですから。
飯田)ファックスですものね。
末延)そんな考えられないことが起きている。総務省の問題もそうですが、厚労省が権限を一握りにしてしまって、日本の英知を集めて前に進むことができないといういまのシステムを変えなくてはいけない。国民だけが頑張って我慢しても、政府はいつも根拠を明確に示せない。産経新聞が3月7日の「主張」に、
人口約1400万人の東京で重症者が約50床を占めて「逼迫(ひっぱく)」状況になるのは情けないかぎりだ。
~『産経新聞』2021年3月7日配信記事 より
……と書いていましたが、その通りだと思います。小池さんは今回も政局的に仕掛けようとして、それを菅総理が逆転させて先手を打つというようなことをしています。弱気の政府も、政局に使おうとする都知事も、「もういい加減にしてもらいたい」と私は怒っています。
なぜ2週間延長なのか、根拠が示されていない
飯田)エビデンスがきちんと示されていません。
末延)「なぜ2週間なのですか」と学生に聞かれても、私は答えようがない。
飯田)総理もぶら下がりで、「何となく感染者の減りが悪いのではないか」というようなことをおっしゃったではないですか。かつて理由を聞かれて「腰だめだ」と言って辞めた総理がいましたよね。
自信を失って、修正点が違うところに行ってしまっている菅総理
末延)2週間の間にやることと、そのあとにやることをゴチャマゼで話して、話の根拠がはっきりしない。変に流暢に話さなくてもいいのです。菅さんらしく、誠意を持って、1つひとつ「政府としてはこういうことを考えている」と。なぜ2週間かと言うと、「みんなも限界があり、それ以上は難しい。そのために新しく蔓延(まんえん)防止等重点措置があり、解除後の措置として考えています」などと、周りにいる人がもう少し整理をしてあげて、それを訥々と1つずつ誠意を持って説明すればいいのです。仕事師内閣だと思っていたから、そこが残念だという感じがしています。この政権はもっとできるはずなのです。妙に自信を失って、修正点が違うところに行ってしまっている。
飯田)そういうところはペーパーを持ってやってもいいですよね。
末延)そうです、紙を読んでもいいのです。私が昔ニュースステーションという番組をやっていたときに、久米宏さんが、「ニュースを読むところはカメラ目線でなく、きちんと読め」と言っていました。「語りかけるところと読むところは分けた方がいい」と習いました。テクニックの話ではなく、「政府はこういうデータを持っていて、こう考えている」ということを、具体的にわかりやすく言うことです。そこは自信を持ってやってもらいたいですね。
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