ジャーナリスト・須田慎一郎が3月14日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送『須田慎一郎のスクープ ニュース オンライン』に出演。医療新興企業アンジェスによる期待の“国産ワクチン”の研究開発について自身の取材をもとに解説した。
臨床試験の結果を発表しようとしていたアンジェスだが、厚労省が止めていた
大阪大学発の医療新興企業アンジェスは、去年実施した新型コロナウイルスワクチンの第1段階の臨床試験の結果について、現在実施中の第2段階の結果と合わせて、今年6月頃に発表することを明らかにしている。世界でワクチン争奪戦が激化し、各国の囲い込みにより供給が滞る事態が懸念されるなか、国際ワクチンの実用なるか注目だ。
須田)今回はさらっといきますけれども、実はけっこう特ダネ含みの話になってくるかと思うのです。6月に成果公表ということになっているのですが、第1段階の臨床試験の結果についてこれを発表しようとしたのですが、厚労省が止めたのですよ。実を言うと。
新行)どうしてですか?
須田)いろいろとハレーション……つまり日本はファイザー社を中心として海外の製薬会社メーカーからどんどんワクチンを入れているという状況になっていて、そういったワクチン接種になんらかの影響を及ぼしかねないということで、厚労省が待ってくれということで、ペンディングにしていた。これはが、第2段階と合わせて6月頃だったらいいんじゃないの、ということになってきているのですね。
アンジェスのワクチン開発を巡ってはですね、有望視する専門家と、「あんなの箸にも棒にも掛からないよ」という否定派が大バトルを、いま水面下で繰り広げられているのですけれども、どうも取材をしてみるとですね、これはけっこう有望みたいなのですよ。
新行)そうなのですか!?
須田)このベンチャー企業アンジェスだけで進めているわけではなくてですね、協力している企業、製薬会社がですね、けっこう大所が揃っているのですよ。アンジェスはそれを開発して量産生産体制に入るとですね、こうやって製薬会社が全面バックアップ体制を敷くのですけれども、そういった流れを見ているとですね、これは年後半にはもしかすると国産ワクチンが市場に出てくる、あるいは接種が始まる可能性が、高いのではないかと私は思いますね。
日本国内の接種スケジュールが見えないのは、外国にワクチンを依存しているため
須田)ファイザー社のワクチン、あるいはアストラゼネカのワクチンが欧米で相当程度の効果がわかってきたのを受けてですね、各国でワクチン争奪戦になってしまって。バイデン政権もですね、とにかく早期にワクチンを全部確保するぞ、みたいな方針を打ち出しているし、ヨーロッパ勢はヨーロッパ勢でもそう。
やはり国産ワクチンを作っていないというところが日本にとって最大のウィークポイントである。そしておそらく最後までどういうスケジュール感でいくのかが見えない。最初に医療従事者に接種をして、次が高齢者。そして基礎疾患を持っている人、そしてそれにあたらない一般の人と続いていくのですけれど、最終的にこの一般の人に接種し終えるのはいつ頃になるのか、まったく目途が付いていないじゃないですか。
新行)そうですね。
須田)ですから目途が付いていない、あるいは計画が見えていないというのは、全部これを外国にワクチンの生産等々を依存しているからなのですよ。それでもう1点言うと、これは意外とあまり指摘されない話です。この新型コロナウイルスというのは去年2020年の年初から感染拡大していって問題視されたわけですよね。
新行)はい。
須田)年明け、約1年で、中国も欧米もワクチン開発し終えたのですよ。早すぎるのですよ。
新行)早いですね。
須田)なぜこんなに早かったかというと、やはりSARSやMERSの経験を踏まえて、ずっと基礎研究をやってきたから。それが新たな感染症、新たなコロナウイルスが出てきたときにすぐにワクチンの生産に入れるように、欧米や中国やロシアなどはですね、基礎研究をずっと10年近くやってきたわけですよ。日本はまったくやってないですよ。
新行)SARSは、そこまで日本国内では大きくなっていなかったですよね、当時。
今後の新たな感染症対策としても国家戦略で基礎研究を
須田)ええ。だからあまり切迫した危機感がなかったのでしょうけれども、やはり国家戦略として万が一のことを考えて、やはり国が主導する形でやはりお金を出してそういった研究をしておくべきだったのではないかなと。
ですから今回はアンジェス社が開発し、大手製薬会社が生産するという体制ではうまくいったとしてもですね、次に繋げて、新たな感染症が出てきたときに、日本としてどうするのかという戦略を考えて、やはり常日頃から基礎研究に対するバックアップ体制を敷いておくべきだろなと。今回のことでそういったことを学ばないと、これは何の意味もないなと思いますけれどね。
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