筋肉注射である理由 新型コロナワクチンのメリット
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東京都医師会副会長で感染症を担当する「角田外科消化器科医院」院長の角田徹氏が2月10日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。新型コロナウイルスワクチンの特性について解説した。
飯田浩司アナウンサー)日本には3種類のワクチンが入ってくるというお話で、それぞれ違いがあるということですが。
角田)とりあえず最初は、ファイザー社のワクチンが全国で初になります。おそらくその後、武田薬品工業、モデルナ社製のワクチンがきて、3番目にアストラゼネカ社製のワクチンになると思います。
飯田)それぞれ打ち方なども異なってくるのですか?
角田)筋肉注射という面では同じです。間隔の違いはありますが、2回打つということも同じですね。
飯田)そもそも、ワクチンを打つという目的の部分のお話なのですが、改めて、これはどういったことになりますか?
角田)1つは病気にかからないようにするという感染予防です。もう1つは重症化予防で、かかってしまった後に肺炎になるなどの重大な合併症が起こらないようにすること。この2つが大きな目的です。
飯田)今回いろいろなワクチンのお話が出てきましたが、かつてワクチンというと、いろいろな報道が行われ、誤解やデマもありました。そういったことにより、ワクチンに嫌悪感を抱く方もいらっしゃると思います。副反応があるなどいろいろなことを言われているなかで、メリットとデメリットを天秤にかけたときに、やはりメリットのほうが大きいと先生はお考えですか?
角田)私は本当によく効くと思いますし、メリットはすごく大きいと思っています。今回の、この新しいファイザー社とモデルナ社のワクチンは、メッセンジャーRNA(mRNA)という全く新しいワクチンなので、そういう面では、打った後の健康観察はしっかりしなければいけないと思います。また一方で、新しいワクチンに対して、やはり国民の方々は不安を持っていることでしょう。しかし、今までのデータを見ると、感染を予防する確率が95%ですから。普通のインフルエンザのワクチンだと、感染予防率が大体60%程度なので、まずこれがすごい。
それと、どうしても打った後に発熱や筋肉痛が出ます。これについては、逆にそのぐらいのほうが、体が反応しているということになり抗体ができるので良いのです。ただ、2回目にワクチンを打った後に、38度以上の熱が出る方が結構います。1回目の後という場合もあるのですが、2回目の後のほうが多いようです。それはもう、当然のことだと認識していただきたいです。アナフィラキシーという重大な合併症を起こす頻度は、大体9万人から10万人に1人ぐらいなのですが、私たちは、そのことに対する対応もしっかり行いながら打ちますので、ぜひ安心してもらいたいと思います。
新行市佳アナウンサー)インフルエンザのワクチンを打つときは、皮下注射のイメージが強いのですが、筋肉注射をする理由というのはあるのでしょうか?
角田)本当は、予防接種というのは筋肉注射が基本なのです。筋肉内の方が、抗体がよくできやすいので、通常は筋肉注射です。日本の場合は、皮下注射のワクチンが流行っており主流なのですが、筋肉注射がそれほど痛いわけではないと思います。私は実際に、インフルエンザのワクチンを打つ際にも筋肉注射でやっていますから。新型コロナウイルスのワクチンに関して言うと、筋肉注射のほうがあとになって腫れるなどの症状は少ないです。皮下注射のほうがすごく大きく入れてしまうので、しっかりと筋肉内に注射することが重要ですね。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます