ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月8日放送)に政策アナリストの石川和男が出演。慶応大学で学生と職員など5万人に新型コロナワクチンの接種を行うことを発表したニュースについて解説した。
慶応大学が学生ら5万人を対象に新型コロナワクチン接種を6月21日から開始へ
慶応大学は学生と教職員らおよそ5万人を対象とした新型コロナウイルスのワクチン接種を、三田キャンパスで6月21日から始めると発表した。慶応大学病院の医師や看護師の他、医療系学部の卒業生が接種に協力する方針で、「授業や学生の活動が制限なく実施できるようになることを目指す」としている。
飯田)ある意味、職域接種の典型というような形ですが。
石川)慶応大学のような有名な大学がこういう動きをすると、他の大学、あるいは組織が追従するのでいいことだと思います。とにかくワクチンは1人でも多く普及させることが大事なので、いろいろな方法で1人でも多く打つということが重要です。
飯田)そうですね。
石川)でもたまに「余ってしまった」というニュースもある。これだけ人数が多いので、多少余るという齟齬は生じるのかも知れませんが、勿体ないと思います。なるべくそういうことのないよう、スマホなどを使って工夫して欲しいですね。
ワクチン接種のあとの経済活動についてのメッセージを出すべき
石川)「ワクチンを打ったあとの我々の活動はどうするのか」ということを、そろそろ日本政府は出した方がいいと思います。ワクチンを打った人は、マスクはするのでしょうけれども、「商店や飲食店などに行っても大丈夫」とか。あるいは飲食店など、自粛して来た分野に対して優先的に「みんな行こう」と、団体や組合、または担当の官庁が音頭を取るべきではないでしょうか。経済を回すことを次に考えなくてはいけないと思います。いまは余り動いていないけれども、「Go To キャンペーン」などでお金を回す。そういうもので経済と社会を戻して行くことをするべきです。不景気ですからね。
飯田)GDPの速報値を見ても、厳しい数字が並んでいます。
石川)どうしても「ワクチンが行き届くかどうか」と、そちらに話題が行きがちです。それも大事です。国民に対してメディアが広げるのは大事なことですが、一方で不景気だというところにも焦点を当てて、「ワクチンを打ったら次はお金を回すのだ」と。お金をばら撒いて、「みんなでやろうではないか」というところのメッセージが、まだ政治から出ていない気がします。
経済についての報道もするべき
石川)賛否両論ありますが、この勢いであれば、オリンピックはやるでしょうね。この勢いであるならばやって、同時に夏以降、きちんと経済対策を打つのだということをやらなければいけないと思います。いまの政権支持率はよくないですよ。それは国民が感じています。国民の生活をよくすることによって政権が安定して行く、政治が安定して行くというのは、国家のありようとして大事だと思います。「経済を回すぞ」というメッセージを出すべきです。私の周りでも商店街のシャッターが降りてしまっていますからね。
飯田)店が閉まってしまったら、そのあと「コロナが終わりました、経済を回します」と言っても、「お店がないよ」という状態になってしまいますよね。
石川)政府や自治体が経済対策や景気対策ということで、予算や税制などを整備して、財政出動をやらないといけません。お金は撒かなければ、経済の血液は流れて行きませんからね。
飯田)当初予算で予備費は積まれている。でも「どこまで使っているのか」という話と、経済を回す方面にはあまり使われていません。補償などに使われてしまっている。
石川)確かに感染者数が増えて、緊急事態宣言を出さないといけないような数字になってしまっているので、どうしても医療面の方に話題がシフトして行くのは仕方がないのですが。メディアの立場は中立であるべきだと思いますので、医療情報も提供するのだけれども、一方では経済の方も伝えるべきだと思います。数字で見ると本当に悪いですからね。
飯田)悪いですよね。特に個人消費というか、国内の需要が回っていないですよね。
石川)そういうところを「いつやるのですか」と。ワクチンが何のためにあるのですかと。それは「生活や経済を元に戻すためにやる」という部分もあるわけです。そこのメッセージを今後強く出して行くべきだと思います。
これから人事異動のある中央政府
石川)政府の日程を考えると、中央政府はこれから人事異動があります。
飯田)6月は人事異動が。
石川)人事異動にも善し悪しがありまして、シャッフルして新しい体制にするというフレッシュ感はあるのですが、ともすると、それまでやって来たことが「プツン」と切れてしまうことがあります。そういうところを、きちんと政治の方でウォッチして、「人が変わってもきちんとやれよ」と政府に指示しなければなりません。どうしても政治からの要請は、政府もやりやすいわけです。
飯田)言い訳が立つような。
石川)「与党に言われましたから」と。地元での窮状、苦しい状況を聞いて、「どういうところにニーズがあるのか」ということを国会議員の方はわかっているはずなのです。
飯田)いまは選挙が近いですからね。
石川)選挙が近いから、そういうものを出汁に使いながら、「こういう対策を打って行くぞ」という。ある意味で選挙というのは、予算をつくったり、ルールをつくり替えたりするのにいいチャンスなのです。そういうものを1つのきっかけとしながらやって行くべきです。本当に経済についてやって行かなければ、壊死する部分が増えてしまいます。
飯田)壊死してしまったものは、再生しない。
石川)1回閉じてしまったものを「もう1回やりましょう」と言っても、準備金もいるだろうし、期間もいるだろうし、気持ちの問題もあるでしょう。そういうところを鼓舞するのは、政治やメディアの役割だと思います。東京オリンピックを麾下として、そういうところに行って欲しいですね。
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