ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月11日放送)に元内閣官房副長官補で同志社大学特別客員教授の兼原信克が出演。ワクチンの大規模接種が全国に拡大されるというニュースを受け、感染症対策のあり方について解説した。
ワクチンの大規模接種、対象を全国に拡大~64歳以下も検討
政府は自衛隊が東京と大阪で運営している高齢者向けの新型コロナウイルスワクチン大規模接種センターについて、64歳以下も接種対象とする方針を固めた。なお64歳以下の人については、今後の接種券の配布状況などを踏まえて予約開始時期を決めるようである。また防衛省は東京と大阪の両会場で設定している地域制限を撤廃し、全国の65歳以上の高齢者を対象として予約受付を開始したと発表した。インターネットでの予約専用サイトに加え、6月12日午前7時からは電話による予約も受け付けるとのことである。
■東京会場:0570-056-730
■大阪会場:0570-080-770
※受付時間は午前7時~午後9時(土日祝日含む)
※6月12日の午前7時から電話予約受付スタート
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飯田)感染症などに対する危機管理は「決められた項目をこなす」ということが第一の課目になるということです。それは感染症対策が久しぶりだったということが大きいですか?
新型コロナウイルスに対しては機能できなかった「新型ウイルス対策室」
兼原)100年ぶりなのです。SARSのとき、当時の民主党政権がつくった法律があります。「新型ウイルス対策室」があって、そこの危機管理チームが一気に動くことになっているのですけれど、頭のなかにあるのはやはりSARSなのです。今回のようなパンデミックは100年ぶりなので、「日ごろの練習のように」というわけには行かないのです。
飯田)SARSのときのものだったと。
兼原)この規模の練習はしていないのです。「外国から日本人を帰す」ということが頭のなかにいつもあったのです。だから武漢からすべて帰したでしょう。あそこまではきれいだったのです。そのあと感染が「ドン」と拡大してしまって、「これは来たな」という感じでした。
飯田)武漢からの日本人退去は早かったですね。
兼原)日ごろ動かしていない筋肉は動かないですよね。厚労省は旧内務省の一部なので、本当は骨のある国士のような人がたくさんいるところなのですけれども、保健所や民間のお医者さんを使って大規模に動員をかけるということはやったことがないのです。急にやれと言ってもなかなかできないですよ。そうして自衛隊が動くと、「さすが自衛隊だ」となってしまう。
権限をはっきりさせ、強権的にできるが、責任もその人が取るという体制が必要
飯田)お医者さんや保健所も含めて上から一気に動かすというのは、法律で動かせないのですか?
兼原)法律はないですね。戦後、民主国家になっているので、政府の権限が小さくなっているのです。昔は行政指導が効いたのですが、最近はそれも効きません。ですからやるところには、きちんと法律をつくって行かないといけません。お願いベースだと責任がはっきりしません。緊急事態では事故も起きるので、決めた人が責任を取らないといけないのです。だから権限をはっきりさせて、その人が決めたら強権的にやるけれど、責任はその人が取るということを決めておいた方がいいと思います。
飯田)結局、「緊急事態」と言いながら、要請ベースだと最後の責任の所在が要請しただけだというようになってしまうと。
兼原)それがよくないと思います。決める人が決めないと。
政治家が責任をもって決めるべき
飯田)「緊急事態」に国民が従って来たのは、ある意味、日本人のよさの部分があるかも知れませんが、その真ん中が空になってしまう無責任体制がある。
兼原)厳しいことをやらないと収まらないことはあるのです。「みんながハッピー」ということはあまりない。いまも飲食業の方が辛い目にあっています。だからと言って開けてしまうと、感染が拡大してしまって高齢者が危なくなる。ワクチンは副反応が出ますから、急いで認可すると副反応で危ない目に合う人がいるかも知れませんが、やらなければ感染して死ぬ人が出て来るわけだから、誰かが決めないといけないのです。決める仕組みをつくらず、みんなで「お願い」とやっていると、「誰が決めているのだ」となってしまう。
飯田)そこはやはり、私権の束を背負った政治家ということになるのですか?
兼原)政治家だと思います。国民から権力を預かっているわけですから。そのための権力ですからね。
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