自治体はワクチン接種券の「郵送」へのこだわりを捨てよ~職場接種開始もボトルネックになる恐れ

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月9日放送)に数量政策学者の高橋​洋一が出演。6月8日に申請受付が始まった新型コロナワクチンの職場接種について解説した。

自治体はワクチン接種券の「郵送」へのこだわりを捨てよ~職場接種開始もボトルネックになる恐れ

ワクチンの高齢者優先接種に向け、愛知県豊川市が発送準備を進めている接種券やチラシが入った封筒=2021年3月23日 写真提供:共同通信社

職場接種受付開始~初日の申請414件

政府は6月8日、新型コロナウイルスワクチンの職場接種の申請受付を始め、JR東日本や丸紅など、大企業や大学が相次いで申し込み、申請件数は414件にのぼった。政府は21日から職場や大学などでのワクチンの職域接種を始める方針で、まずは1000人以上の規模の企業などからスタートすることにしている。

飯田)自治体の接種と合わせて、ワクチンの早期普及を目指すとしています。いろいろと報道されていますが、自分のところの職場だけではなく、周りの下請け等々の関係者、または一部地域の方々を対象としてもいいのではないかということも出て来ています。

住んでいる自治体によって接種券が届かずに職場で打てないケースも出る可能性が

高橋)職場接種となると、高齢者ではないですよね。若い人が職場にいるわけですから。そうすると接種券がどうなるのか気になります。接種券を前提としたシステムになっているので、接種券がないと事務手続きが面倒くさいのです。接種券を配るのは自治体です。それが遅れると、そこがボトルネックになってしまいますね。

飯田)職場は都心を中心にあるけれども、各々の家から通って来ているので、住んでいるところによって変わってしまう。

高橋)自治体によっては、65歳以下にも接種券を出しているところもあるし、そうでないところもあるので、どこに住んでいるかによって違うのです。自治体によっては、ゆっくりしたペースで接種券を出しているところもありますから。

飯田)そうですよね。

高橋)そうすると、職場接種があっても「自分は接種券が来ていないからできない」となる可能性もあります。この際、接種券がなくてもワクチンがあれば打ってしまうという方法もありますけれどね。

飯田)接種券がなくても。

高橋)予約という感じで、「接種券はあとで来るでしょう」と。どうせあとで来るのは間違いないのだから。

なぜか配布に時間がかかる接種券~ネットからプリントアウトしたものでも可能では

飯田)接種券というのは、そんなに配るのに時間がかかるものなのですか?

高橋)住民票に印刷して配るだけですから、役所仕事的にスケジュールを守ってやるところがあるのだけれど、接種券が先に来ても悪くないのだから、前倒しすればいいと思いますけれど。別に時間を守ることはないでしょう。先に来たら来たで安心するだけではないですか。

飯田)そうですね。なくしたら再発行してもらえばいいというような。

高橋)難しくないです。単に番号がくっついているだけだから。

飯田)名前と番号が紐づけてあるだけですよね。

高橋)あとはバーコードがあるだけの話なので、「インターネットからプリントアウトしてください」ということができるレベルだと思います。航空券だって、チケットがなくてもプリントアウトすれば搭乗できるではないですか。あれと同じです。

飯田)「どうしてできないのだろう」という話に。

高橋)郵送にしているからでしょう。IDがきちんとしていれば、インターネット上でプリントアウトしたら終わりだと私は思いますけれど。接種券がなくてもプリントアウトしたものを持って行けばいい。そういう制度もあり得ると思います。そうやって柔軟に考えられるかどうかの問題だと思います。

飯田)「接種券の最初の対象者が65歳以上だったから」ということもあるかも知れませんが、システム的には選挙のときの投票用紙と同じではないですか。だったら最初からばら撒いてしまえばよかったのでは。

高橋)そういう考え方もあります。

「大企業優遇ではないか」との批判も出るが~柔軟にやるべき

飯田)職域接種が出て来ると、「大企業優遇ではないか」とか、「格差が」という話が出て来ますが。

高橋)でも、大企業の周りにいる人もやってくれるのでしょう。別にいいではないですか。ある程度大きいところでないと、管理がしにくいし、産業医というのは事業所で50人以上でしょう。ある程度限定されてしまうのは、仕方ないのではないでしょうか。大企業もワクチンを余らせるわけにはいかないから、「どうぞ」と言えば、いろいろな人がその利益を受けられるではないですか。こういうことは柔軟にやればいいのです。2回打てばいいと誰でもわかっているわけで、4回も5回も打つ人はいないはずです。先に打って、あとから手続きをしてもいいような感じですよね。

飯田)そうですね。既に柔軟にできる自治体やクリニックは、接種証明のようなものを仮で出して、「接種券があとで届いたらうちに来てくださいね、手続きしますから」というようなところもある。

高橋)行政の方の接種券が遅いからですよ。

65歳以上でも接種券が届いていない人がいる

飯田)自衛隊が運営している大規模接種センターは、東京と大阪でやっています。あそこも絶賛予約受付中ですが、来週分がまだ12万件以上空いているという報道もあります。

高橋)どんどんやればいいと思うのですが、接種券が来ていないのでしょう。65歳以上でも接種券が来ていないという人がいるのです。それならばプリントアウトでもいいのではないですか。

飯田)バーコードで最終的に管理するのであれば、スマホに落とすということでもいいですよね。特に現役世代の接種を考えると、そう思いますけれど。

高橋)紙にこだわって「郵送しないといけない」と思いこんでいるのではないかという気が多少しますね。

飯田)最終的には自治体の予防接種台帳、紙で管理するものに落とし込むからそうなるのですか?

高橋)バーコードでやるから、紙は必須ではないと思いますよ。

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