ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月14日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。6月16日に会期末を迎える通常国会について解説した。
通常国会~会期延長をめぐり与野党が攻防
6月16日に会期末を迎える通常国会、野党側は3ヵ月の会期延長を求めていて、延長に応じなければ内閣不信任決議案の提出も視野に入れている。一方、与党側は、不信任案が提出された場合には否決し、会期延長を拒否する構えだ。
飯田)これがどうなるのかということと、審議中の法案をどこまで成立させられるのかというところにかかるようですが。
須田)私は基本的に、通常国会は会期延長をすべきだと思うのです。新型コロナウイルスショックで、景気や経済が大きく冷え込んでいるというところで、野党が言うように第1次補正予算案を編成して成立させておくべきだろうと思います。それをやっておかないと、何か不測の事態が起こって景気対策、経済対策をやろうと思っても、次の臨時国会まで、つまり補正予算の成立まで待たなくてはいけない。それを考えると、確かに予備費として5兆円のうち1兆円を使いましたから、まだ4兆円ほど残っているのですが、それでも夏の経済を考えると、しっかり補正予算案を組んでおいた方がいいだろうと思います。
蜜月状態にある自民党と立憲民主党の国対~「55年体制」に戻ってしまったのか
須田)しかし、そのことと内閣不信任決議案を提出することは、また別問題なのではないかと思います。いまの自民党と立憲民主党の国対は、誤解を恐れずに言うならば、蜜月状態なのです。いい関係にあるのです。相手の顔を立てつつというところで、本気でぶつかり合っているわけではなく、ある種プロレス的な動きをしている。両方の顔が立つような決着の付け方はどうなのかという感じはします。
飯田)その感じが、昔の社会党と自民党がやっていた「55年体制」に戻ってしまったのかという気がします。「取引、取引」というように。
須田)明らかに戻ったと言ってもいいのではないかと思います。立憲民主党は野党第1党の地位に安住してしまって、居心地がいいのです。政策を実行したり、責任を果たしたりすることもなく、批判さえしていればいいという状況。ある程度の議席を確保して、野党陣営のなかでリーダー役を務めることができる。居心地がいいので、「本気で政権を奪取する」というところに動いていないということが、緊張感のなさにつながって来ているのでしょう。
馴れ合いの構図になっている現在の与野党
飯田)かつての金融国会のときなどは、与野党ともに案を出し合って、結果として小渕政権は、当時の野党・民主党でしたが、案を丸呑みする形で「これもいいから取ろう」ということになった。あのような政策議論が、いまの国会でできているのかというところですよね。
須田)あのときは、金融機関、金融システムに関する我々の税金の投入という議論で、野党の案を丸呑みと。結果的に、その丸呑みはよかったのではないかと思います。しかし、いまは対案を出すという動きになっていない。そういう意味では、いまの与野党は馴れ合いの構図になっているのではないでしょうか。
飯田)馴れ合い。
須田)しかも、内閣不信任決議案を出せば、間髪入れずに「解散するぞ」と二階幹事長が言いましたが、幹事長がそれを言っていいのかなと。もし解散にならなかった場合、その責任をどう取るのかというところでも、非常に不可解でした。与党側も緩んでいるのではないかという感じがしますね。
飯田)55年体制のもう1つの弊害の部分として指摘されていますが、「総理が最後の権限を持っているのか、あるいは党なのか」というところが空洞化してしまった。誰が責任を取るのかわからなくなったというのも、あの当時言われたところです。それがあるから官邸の機能を強化しようという話も出て来たのですが、そこも含めて戻ったのでしょうか?
須田)先祖返りしつつあるのかなと思いますね。自民党内も一枚岩ではなくて、二階さんを牽制しようという動きや、安倍さん、麻生さんの動きなども見受けられます。
土地利用規制法案の成立も不透明に
須田)しかし、そのなかで土地利用規制法案はある種の対決法案になっていて、共産党が大反対で、立憲もそれに引きずられているという状況がありますが、本当にこれは成立しなくていいのかと。いまの国会スケジュールから考えると、内閣不信任決議案を出して、それが国会で評決を取るまでは、国会の審議はすべて止まってしまいます。そうすると、この法案の審議時間をしっかり確保できて、採決まで行きつくのかどうか。それが不透明になってしまいます。本当にそれでいいのかというところですね。
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