ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」（6月21日放送）にジャーナリストの須田慎一郎が出演。沖縄県を除く9都道府県で緊急事態宣言が解除されたニュースについて解説した。

【新型コロナ】東京・新橋の飲食店街ではマスク姿の人が行きかっていた＝2021年5月28日午後、東京都港区　写真提供：産経新聞社

緊急事態宣言、沖縄県を除く9都道府県で解除

新型コロナウイルス対策として10都道府県に出されていた緊急事態宣言が、6月20日を期限に沖縄県を除く9都道府県で解除された。このうち東京や大阪など7都道府県では、7月11日までの期間、「まん延防止等重点措置」に移行した。

飯田）北海道、東京、愛知、京都、大阪、兵庫、広島、岡山、福岡の9つが解除されたということであります。

須田）解除や緊急事態宣言の発出というところを考えると、ベースとしていくつかの指標があります。ステージ3、ステージ4相当になったら緊急事態宣言を適用、あるいはまん延防止等重点措置を適用となっていたのですが、その基準をまったく無視して発出されてしまったものだから、解除も「何をもって解除されたのか、どういう基準で解除になったのか」ということがさっぱりわからないところが、問題点として残るのではないでしょうか。

飲食店に関する意味不明なルール

須田）特にポイントになっているのは2つです。1つはアルコール類の提供をどうするのか。もう1つは、オリンピックも意識しているのでしょうけれども、大規模イベントの上限をどう設定するのかという点について。これらに関しても、「根拠が不明確な謎ルール」が横行して来ている。特に問題なのは、飲食店に関して、国が「同一グループの入店は原則4人以内にする」ことなど、いろいろ挙げているのですけれども、「4人がよくて5人はダメ」というのはよくわからないのですが、さらに強化するということで、東京都の場合は2人以下と。

まん延防止措置が解除されるまで休むかフルオープン～ルールを守る店には強い不満が

須田）どんどん状況が理解不能に陥っているのではないでしょうか。これを店側はどう受け止めているのか。大体大きく2パターンに分かれていて、1つはこういう状況でやっても、お客さんには受け入れられないだろうということで、まん延防止等重点措置が解除されるまで休むお店。

飯田）7月11日までお休みという張り紙もかなり見ますね。

須田）そしてもう1つが、東京都の要請に対応していると収集がつかなくなるから、「フルオープン」というところも、いくつも出て来ています。

飯田）すると、極端と極端の2つしかない。

須田）とは言っても、このルールを真面目に守ろうというところもあるわけですから、公平公正の原則からしてどうなのかなとも思いますけれども。

「やっています感」を出すためだけに決められたルール～しわ寄せは飲食店に

飯田）「2人で90分以内で、お酒を出すのは夜7時まで」となると、真面目にやっている飲食店はそれを守ったら採算が合わないから、閉めた方がまだいいとなってしまいますよね。

須田）しかも、家族だったらその限りではないとか。

飯田）ここをどう見るのかと。

須田）バラバラに来て、店内で合流するのはいいのかなど、政府も東京都も頭のなかだけで考えていて、実際にオペレーションするときの状況はまったく考えていないのだろうと思います。「やっています感」を出すためだけに、このようなルールが決められていて、そのしわ寄せがすべて飲食店に向かっている感じがします。

通達ベースで罰則規定がない～守らない方が得なのか

飯田）飲食店の判断でやるか、やめるかというところになりますが、「守られないルールなら、ルールの方がおかしいのではないか」という議論にどうしてならないのかと。

須田）そして、基本的に法律ベースではなく通達ベースですから、罰則規定がないという状況で、「守らない方が得なのか」ということにもなりますからね。

飯田）実際にそうやって、腹を括って開くという飲食店もありますし、それをやってしまうと、「真面目にやっている人たちが浮かばれない」と不満のメールをくださるリスナーの方もいらっしゃいます。

第5波の感染防止策を積極的に情報発信してルール化することが必要

須田）ワクチン接種率が上がって来ているから、第5波を回避はできなくても、山を低く抑えることはできるのではないかと言われています。「回避はできない」と思わず言ってしまいましたが、ウイルスの専門家に話を聞くと、「第5波は来る」と言うのです。

飯田）波が押したり引いたりするように来ると。

須田）来ることが前提で、ただその波を小さく、感染者数を減らして行く方策はいくつもあるということです。「感染をさらに抑えるためにはどうしたらいいのか」という、感染防止策を積極的に情報発信して、ルール化して行くことが必要だと思います。