ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月21日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。小此木国家公安委員長が横浜市長選に出馬の意向を示した背景について解説した。
小此木八郎国家公安委員長が横浜市長選に立候補~菅総理の意向も強く働いている
8月22日に行われる横浜市長選挙に、自民党の小此木八郎国家公安委員長が立候補する意向を関係者に伝えたことがわかった。立候補する場合は閣僚と衆議院議員を辞職することになる。
飯田)すでに菅総理や自民党、横浜市連、県連幹部らに出馬の意向を伝えているということですが、大物が出て来ました。
須田)現職衆議院議員で現職閣僚ということですから、相当な大物ですし、菅総理にとってみると側近中の側近と言ってもいい。先の総裁選では選対本部長を務めた方ですからね。菅さんは小此木八郎さんのお父さんである、彦三郎さんの秘書をしていたのです。ですから、この出馬には、菅総理の意向も強く働いていると考えていいと思います。
小此木氏の主張は「横浜市や神奈川県のカジノは反対だ」ということ
飯田)今回この報道がされたときに、横浜というとIR(統合型リゾート)、いわゆるカジノですが、これをどうするかということが争点になると言われていますが、小此木さんは「カジノ反対の意向だ」と報道されているのです。これはどういうことなのかと。菅さんはカジノ推進派ですが、その側近が反IRで出られるのかと驚いたのですが。
須田)正確に言うと、小此木さんの主張は「横浜のカジノは反対だ」ということです。
飯田)カジノ全体ではなく。
須田)ええ。横浜にカジノを持って来ることは反対だと。加えてIRについては、その限りではないと。
飯田)なるほど。IRというのは統合型リゾート、ホテルや見本市会場などを含めての開発と。
須田)国際会議場などですね。ただ、IRにとってカジノは必要不可欠で、IRの利益はカジノで稼ぐというのが基本ですから、「カジノを誘致しない」ということは、IRそのものも難しいということなのです。
飯田)事実上は。
須田)加えて、国や政府・与党が進めている、全国にIRを誘致するということに関しては反対しない。この問題は、横浜や神奈川県限定なのです。そこが大きなポイントです。
横浜港のドン・藤木幸夫氏の存在
須田)そしてもう1つは、横浜に、あるいは神奈川にカジノを誘致することについて大反対だった、その旗振り役というのが、横浜港のドンと言われている藤木幸夫さんです。藤木幸夫さんは横浜港運協会のトップにおられた方なのですが、いろいろな憶測を呼んでいて、「自分がその利権に噛めなかったからだ」などと言われていますけれど、そうではないのです。
飯田)そうではない。
須田)私もお会いして話をさせていただいたことがあるのですが、この方は港湾労働者や横浜港、横浜市の利益を最優先に考えておられる方で、お父さんの代から賭博については否定的でした。どうしてかというと、港湾労働者は大正や昭和の時代に、暴力団ややくざのやる博打場に引きずり込まれて大変な目にあったのですが、それと対峙して来た人たちなのです。目先の利益で賛成や反対をしているのではなくて、「市民を悪の道に導くことになるから絶対にダメだ」ということで、そこは変えようがないのです。
小此木八郎氏の父の彦三郎氏と藤木幸夫氏は親友同士
飯田)藤木さんは確かいろいろなインタビューに答えられていますが、賭博に関して、悪い筋のところに行ってしまう部下や働いている人がいて、それであれば「自分がやるしかない」ということで会長をしたと。酸いも甘いも噛んで来た人なのですよね。
須田)それは幸夫さんではなく先代です。賭博罪で逮捕されているのですけれども、先代がやった賭博というのは、寺銭を取っていないのですよ。やくざは寺銭を取りますからね。
飯田)開帳する場所代のようなものですよね。
須田)まったく取らずにやっていた。それについては自負を持ってやっていた部分がある。
飯田)自分が儲かるためにやるのではないと。
須田)おっしゃる通りです。だから、その辺りがはっきりしていて、一本筋が通っていると言ってもいいと。しかも、菅さんは出馬のときから横浜港のドンにお世話になって来たのです。そしてその人間関係が悪化している。ただ、小此木八郎さんのお父さんである彦三郎さんは、藤木幸夫さんとは親友同士なのです。
飯田)昔からのつながりがあるわけですね。
1年近く前に横浜のIR誘致は水面下で断念
須田)そういうところもあり、このまま行くと横浜市長選挙のみならず、横浜政界が与党にとって混乱する状況になると。だから、これについて、どこかで着地しなくてはならない。何とか藤木幸夫さんにカジノ誘致について首を縦に振ってもらいたいところだけれど、そうは言っても先ほど飯田さんもおっしゃったように、先代から博打について否定的な人ですから、そこは変えられない。であれば、横浜にカジノを誘致するのは断念しようということなのです。水面下でのことですが、実は1年近く前に断念という方向性は出ていたのです。私はそれを聞いていました。
飯田)カジノを管理するカジノ管理委員会なども、発足がコロナの影響で遅れている状況でもあるというところで、IR誘致は全国各地でも止まっています。これもある意味、作用した部分がありますよね。
将来の総理候補を抱える神奈川県~市民の反発を買うようなことはできない
須田)そうですね。そして横浜のドンや市民の大反対を向こうに回して、強引に開設しても、いろいろ問題が多かろうと。加えて神奈川県は河野太郎さんや小泉進次郎さんなど、将来の総理候補をたくさん抱えています、そういう問題もありますから、ここは市民の反発、反感を買うようなことはできないということで、昨年(2020年)の夏くらいに、横浜に誘致することを断念する方向に傾いて行ったのです。そこで、人間関係を修復する手打ちという言葉が適切かはわかりませんが、それなりの人物を横浜に送り込まなければならないと。
飯田)なるほど。そして藤木さんとも先代からつながりがあり、菅さんの側近でもあるという意味で、小此木さんは他にいないくらいうってつけの存在である。
須田)そうですね。この人を置いて他にはなかったのだろうと思います。とは言っても、現職閣僚、国会議員である人を送り込むということは、かなり思い切った決断です。横浜市長を何期かやっていただいて、将来は国政に復帰という流れだと思います。
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