東京都医師会災害医療研修部会部会長で「平成立石病院」副院長の大桃丈知氏が6月28日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。新型コロナウイルスに対する医療現場の状況について解説した。
飯田浩司アナウンサー)東京都医師会、災害医療研修部会部会長で「平成立石病院」副院長の大桃丈知さんをお迎えいたしました。先生、おはようございます。
大桃)よろしくお願いいたします。
飯田)先生は新型コロナウイルスが日本に入って来たところから、一貫して奔走していらっしゃいます。まず武漢から日本への帰国便の対処に始まって、ダイヤモンド・プリンセス号の船内活動、都内のホテル療養の指揮、そしてご自身の病院での感染者の治療など、ここまで最前線で治療されて来ました。最近の状況も刻一刻と変化していますが、ここへ来て、ワクチンは広がりつつあります。
大桃)諸外国のワクチンの接種率と比較すると、やはり日本はスタートダッシュが遅れたことは否めませんが、いろいろな先生方のご尽力や周りで支えてくださる方々のご尽力によって、高齢者の接種率も50%を超え、かなりいいところまで来ているのではないかと思います。そしていま若い方にもワクチン接種が広まりつつあるので、ここで一気に集団免疫の獲得というところまで行けたらいいと思っています。
医療現場はまだ落ち着いてはいない
飯田)ワクチン接種によって、基本的には、まず重症化の予防が確実になるだろうと。この辺りはどうでしょうか。ベッドのひっ迫具合などに変化は出て来ていますか?
大桃)実際には、ある一定の陽性者のなかで中等症化、重症化する方々はいらっしゃいます。理屈では全体数が減れば、当然総数も減って来ると思います。しかし、日々、診療現場で見ている限り、いまだに中等症の方々は一定数存在していますし、私たちがいる医療機関でも日々、入院しながら病気と闘っている方々がいらっしゃいますので、まだ確実に落ち着いたという言葉は申し上げられないと思います。
感染力の強いデルタ株~これまでと同じスピードでの対策では追いつかない
新行市佳アナウンサー)インドで確認された変異ウイルスのデルタ株も心配されていますが、こちらはどのようにご覧になっていますか?
大桃)海外からの報告を見ますと、我々のところでは、従来株から英国株と言われるものへの切り替わり、そして今後はデルタ株へ切り替わって行くことが予測されます。何が違うかというと、やはり感染の拡がりだと思います。英国株は1.45倍、デルタ株に関しては1.8倍と言われていますので、この数字を見ると、いままでと同じ速度で対策を打っているのでは追いつけない。倍のスピードということになります。医療側としては、いつ何時、感染者が増加に転じても、それを受け止められる準備を日々継続しなくてはいけないという状況です。取り越し苦労で終わってくれるのがいちばんいいですが、我々としては、臨戦態勢で準備をしているところです。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます