東京都医師会理事で順天堂大学総合診療科教授の小林弘幸氏が5月24日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。肺を鍛えることで免疫力が上がるメカニズムについて解説した。
飯田浩司アナウンサー)先生は3月末に、アスコムから『最高の体調を引き出す超肺活』という本を出版されています。肺を鍛えるとすべてが変わる、ということですが。
小林)人間には重要なものが2つあり、それは食事と呼吸です。これがないと生きて行けない。呼吸を司るのは肺ですが、その肺を鍛えることで、血液の質も上がります。免疫力も上がるし、悪いものは外へ出て行くため、体にとっていいことばかりなのです。何となく皆さんもイメージが湧くと思います。
飯田)肺が呼吸を司るというのは、イメージとしてはありますよね。どう機能しているのか、改めて教えていただけますか?
小林)コロナ禍で、「エクモ(ECMO)」という言葉を聞く機会が増えたと思います。「体外式膜型人工肺」というものです。なぜエクモを使うかと言うと、自分の肺が活動していないので、代わりに人工肺を利用して、ダメになっている肺が復活するまで頑張ってもらうのです。二酸化炭素の多い血液を人工肺で酸素化して、きれいな血液として戻してあげるのです。
飯田)呼吸は普段の習慣というか、ほとんど意識していませんが、少し意識するだけでも変わって来るのですか?
小林)そうですね。よく患者さんにも、コロナ禍では「ハードとソフトの両方を鍛えて欲しい」と話しています。ハードとは、いわゆる「マスクをつける、3密を避ける、手洗いや消毒をする」ということです。それに対してソフトですが、この部分がとても重要で、「いかに質のいい血液を十分に流すことができるか」ということです。ここを鍛えなければいけません。皆さんハードの方はやっているのですが、感染しても重症化しないようにする努力は、あまりされていません。質のいい血液を十分に流せるようになると、最も影響を受けるのは免疫です。感染しにくくなって来る。そういう状態にしてあげることが重要で、それが肺を鍛えることにもつながると思うのです。
新行市佳アナウンサー)肺を鍛えることが、免疫力アップにつながるのですね。
小林)基本的には、細胞の1つ1つが十分な酸素を取り込むと、栄養のある血液が流れ込みますので、免疫細胞も活性化する。そういう意味では、「肺を鍛えれば免疫力が上がる」というのは理にかなっていると思います。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます