ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月2日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。東京と沖縄に加え、新たに埼玉、千葉、神奈川、大阪が対象地域となる緊急事態宣言、また、北海道、石川、京都、兵庫、福岡の5道府県に適用されるまん延防止等重点措置について解説した。
緊急事態宣言で感染を抑えるという仕組みは限界を超えている~若者への具体的なワクチン接種スケジュールを出すべき
新型コロナウイルス対策で東京と沖縄に発令されている緊急事態宣言は、8月2日から埼玉、千葉、神奈川の首都圏3県と大阪も対象地域となる。また、北海道、石川、京都、兵庫、福岡の5道府県には、まん延防止等重点措置を適用。いずれも期間は8月31日までとなる。
飯田)対象地域が拡大、まん延防止等重点措置も5道府県に適用ということです。
須田)緊急事態宣言などの措置によって人流を抑え、感染を抑えるという仕組みが、もう限界を超えているのではないでしょうか。これについては、分科会の尾身会長も認めているところです。緊急事態宣言を発出することで、どれくらい抑えられるのかという目処がついていないではないですか。そういうなかで、これをやることの意味があるのだろうか。
飯田)そうですね。
須田)ワクチン接種には一定以上の効果が認められていて、本来であれば、心配されていた高齢者の感染も防ぐことができたし、重症化を抑えることもできた。いま中心となっているのは若い人たちということになるのだけれども、若い人たちへのワクチン接種がいつになるのか、そのスケジュールの目処についても、きちんと情報を出すべきですが、その辺りとの整合性がなかなか出て来ません。
飯田)抑えるための緊急事態宣言は出ても、「ワクチンが進めば」というところが見えて来ませんよね。
休業要請に従わない店と従う店に出る不公平感
須田)飲食店に対する休業要請は、あくまでも要請ですから、それに従うか従わないかという問題がある。あるいは、アルコール類の提供自粛についても、局長通達のようなものしか出ていなくて、法律になっていない。どこまで強制力が持てるのか。東京では、それに従わない店がどんどん出ていて、人がたくさん入り、売上も上がっている。そうなると、要請に従っている店と従っていない店に差が出て、不公平感が生まれている。これに対して、どう対応するのかという具体策が何もない。都道府県にもなければ、国にもないという状況で、「出したのだから勝手にやれ」と、どこか突き放したような感じになっていますよね。
飯田)そうすると、「もう勝手にやるぞ」という人たちが増えてしまいますよね。
全国知事会が「ロックダウン」も検討することを盛り込んだ緊急提言を政府に~ロックダウンをして飲食店が不利益を被れば提訴されてしまうことも
須田)そういうところに危機感を覚えたのでしょう。ここに来て全国知事会は「ロックダウン」のような強い措置の検討を盛り込んだ緊急提言をまとめましたが、「ロックダウン」といきなり言われてもと。
飯田)都市封鎖とも言われますが。
須田)強制力を伴ってやるのであれば、いまの法の枠組みのなかではできません。具体的に言えば、それをやろうとした場合、憲法違反になってしまう。特に憲法22条の、形式的には職業選択の自由なのだけれども、実質的には経済活動の自由ですから、そこに抵触してしまうのです。そこの整合性も考えないで、知事会は「ロックダウンを」と言う。その辺りをどう考えているのでしょうか。
飯田)そうですよね。いまの法体系のなかで、もしそれをやって具体的に不利益を被ったとなると、提訴できることになりますからね。そのときの宛先はどこなのかということで、都道府県知事がその相手になるのか、その覚悟があるのかと。
協力金が前渡しで飲食店に100万ドルが振り込まれるアメリカ
須田)一方で数日前に、アメリカのニューヨークのマンハッタンでレストランを経営している人と少し話をしたのです。やはり営業自粛を要請されて、「どうしようか」と迷っていたら、いきなり100万ドルが振り込まれて来たというのです。
飯田)そうなのですか。
須田)そして、余ったら返してくださいと。
飯田)前渡し方式ですか。
須田)前渡し方式で、十分過ぎるほどの額です。そうすると、「十分な補償を受けたから、やめておこう」となる。補償が不十分で金額的にもわずかであり、未だに振り込まれていないというのが日本の状況です。7月分は前倒しだけれども、それまでの分はどうしたらいいのかと。
飯田)営業の自由は当然、合衆国憲法にもあるし、そこの部分は徹底していますね。
須田)その辺り、日本政府は何をやっても「帯に短し襷に長し」のような状況になっているのではないでしょうか。
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