「4つに分断する」アメリカ社会

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月13日放送)に外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦がリモートで出演。アメリカ社会の分断について解説した。

3日、米ホワイトハウスで演説するバイデン大統領(ロイター=共同)=2021年8月3日 写真提供:共同通信社

アメリカ社会の分断

ここでは1年5ヵ月ぶりにアメリカを訪れた宮家邦彦氏に、アメリカ社会の分断について訊く。

飯田)隔週で木曜日の産経新聞に「宮家邦彦のWorld Watch」という連載が載せられています。今回の書き出しが、「本稿は10日未明のワシントンで書いている」とありましたが。

宮家)久しぶりにアメリカに行って来ました。共和党ではトランプさんが再び表舞台に出て来て、党内でかなり揉めているということはわかっていたのだけれども、同じように民主党のなかにもリベラルな人たちと現実的な人たちがいます。しかし、民主党の方はバイデンさんである程度まとまっているいう気がしました。

バイデン大統領の次に誰が民主党をまとめられるのか

宮家)トランプさんが、カムバックするかどうかは別として、共和党の方はかなり厳しい状況なのですけれど、民主党も年齢的に考えて、次にバイデンさんが出るかどうかはわからない。もしかしたら別の人に代わるかも知れないという議論があるではないですか。それではいったい、民主党をまとめるのは誰なのだろうと。

飯田)誰が次のリーダーになるのかと。

宮家)左派の極端な意見の人たちもいます。もともと民主党は労働者や農民の党だった。新参移民の関係者も多かったのです。これに対し、共和党はエリートで大企業の人たちであるというイメージでした。しかし、どうも最近の状況を見ていると、これが逆転している部分があって、民主党支持者の方が平均収入も高いし、エリートが多い。

民主党も共和党も割れている

宮家)それに対して、共和党がトランプさんの支持者のように労働者で、白人で、男性で差別感を覚えている人たちの党になりつつある。そうすると、もともとエリートだったところにそういう人たちが入って来る共和党と、もともとは労働者の党だったものがエリート化している民主党となると、腸ねん転が起きているという言い方がいいかどうかはわかりませんが、要するに、民主党も共和党も、両方とも割れているのです。

飯田)両党とも。

宮家)単に2つに割れているのであれば、話がまだわかりやすいのですけれども、「4つに分かれていると見る人がいる」ということを聞いていました。現地へ行ってみると、やはりそのような感じがしました。

飯田)なるほど。

宮家)非常に難しい状況になっているなと思います。アメリカ社会がいままで綺麗に統一したことなど1度もないので、いま申し上げていることがそれほど新しいことだとは思わないけれども、民主党のなかには、やはりバイデンさんのあとをどうするのかという懸念の声もあるのです。

米上下両院合同会議で演説するバイデン大統領(中央)(アメリカ・ワシントン)=2021年4月28日 AFP=時事 写真提供:時事通信

バイデン大統領の次の候補の名前が挙がらない~民主党も共和党もバラバラ

宮家)今回、20人ほどの友人に会えたのですけれども、「ところでいまはいいけれども、もしバイデンさんが引退したら、次はどうなるの?」と聞くと、みんな黙ってしまうのですよ。

飯田)具体的な、それこそ副大統領の名前などは出て来ないのですね。

宮家)出て来ないのです。もちろん彼女(カマラ・ハリス氏)がダメだという意味ではないですが、バイデンさんがあの難しい民主党をまとめあげることができる、最後のジェネレーションの指導者かも知れないということです。サンダースさんやコルテスさんなどがいるではないですか。

飯田)オカシオ・コルテスさん。

宮家)彼らのような極端なことを言う人たちの声が大きくなって来ると、結局2つに割れてバラバラになってしまう。共和党もバラバラで民主党もバラバラだったら、アメリカ全体をまとめることができる政治指導者をどうやって養成するのか、どうやって輩出させるのかというのは大きな問題だと思います。それは単にアメリカだけの問題ではありません。日本も含めて民主主義国家というのは、独裁国家と比べれば、どう考えてもコストがかかるシステムなのです。

飯田)意思決定に時間もコストもかかりますからね。

宮家)そのなかで「立派なリーダーを輩出できるのか」という、極めて大きな問題を今回感じてしまいました。日本も対岸の火事ではありません。

民主党のなかでも極端なことを言う左派などに中道派が勝てない

飯田)共和党のなかも2つに割れ、民主党のなかも2つに割れると。お互いに中道的な考えの人たちが一緒になって、三極化するようなことはないのですか? 制度的に難しいということはあると思いますが。

宮家)アメリカでは予備選をやるでしょう。予備選挙をやると、だいたい極端な人たちが元気なのです。中道の人はサイレント・マジョリティーで静かなのです。

飯田)そうですね。

宮家)共和党で予備選をやります。そうすると、トランプさんの支持者が一気にやって来て、まともなこと言う人を蹴散らしてしまうわけです。同じように、民主党でも中道的なことを言う人よりも、極端な人たちの方が元気がいいし、動員力があるのです。

飯田)中道的ではぬるいと。

宮家)だから勝てない。予備選の段階で、私から言わせれば良質な人たちが淘汰されてしまうという危険が前から言われて来たのですけれど、ますますその傾向が高くなっているのではないかという気がしました。

アメリカで第3党は育ちにくい

飯田)二大政党制で、そこから代表を出そうするとそうなってしまうわけで、新たに党をつくるということはやはり難しいのですか?

宮家)日本と違って比例代表がまったくないところですから、第3党が出て来てそこで頑張る、というのはイギリスでは若干ありますけれども、小選挙区制を基盤とするアメリカやイギリスでは、なかなか第3党が育ちにくい。それがいいのか悪いのか、いろいろ議論はあります。ですが、やはり比例代表制をとらない以上、アメリカで第3党が出て来る可能性は、大きな流れにはならないと思います。

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