自民党総裁選へ向け、注目を集める党内若手が結成した「党風一新の会」の動きについて、9月16日のニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」でパーソナリティを務めた古舘伊知郎が、ジャーナリスト後藤謙次氏に訊いた。
後藤)決選投票はやっぱり河野(太郎)さんはぜひ避けたいと思いますよね。
古舘)やっぱり1回目で決着付けないと
後藤)1回目でつけないとやはり議員票でかないませんから。まあ過去にも福田赳夫さんとか中曽根(康弘)さんと争った河本敏夫さん、こういう人たちは1位が圧倒的にとったんでもうやめたんですよ。だから今回もそこに持ち込まないと、やっぱり河野さんの勝ち目はやや薄いかなという気がしますね
古舘)そこで鍵を握るのはといえば「党風一新の会」というね、若手70人が発起人で派閥横断で若い人たち3回生、2回生、1回生、そういう人たちがバッと70人、そして90人まで今いて。ここの層が2回目でまたそれぞれの派閥に戻るかもしれない、里帰りするんじゃないかと僕は思ってるんで。だから、1回目(の投票)で河野さんを支持する人が100人近くになったら河野さん強いし、逆に、それぞれ細田派とか麻生派とかの大派閥に1回目から戻っちゃうんじゃ意味がない。このあたり後藤さんとどうですか
後藤)世代間の戦いに河野さんが持ち込もうとしてましたが、今回の「戦(いくさ)」っていうのは、やはりですね、縦割りの派閥を壊して横串を刺して、そこに若者が連なると。幕末の、まさに「薩長同盟」をやりながら下級武士の反乱をやろうというのが今の構図の中にあると思うんですね。
ただ、この下級武士がどこまで根性があるか、ですね。結局親分衆の意向を汲んで「次のあのポストが来そうだ」なんてと思い出すと、グダググダとなってくると。ただ福田達夫さんが立ち上げた「党風一新の会」、これはかなり筋がいい会だと私は思うんですね。というはの福田さんのおじいさん、福田赳夫さんが今からもう60年前に「党風刷新連盟」というのを作って、それが今の清和会=細田派の源流になっているんですね。つまりその原点回帰、王道の政治をやろうというのがこの流れの中にあるので、となると、細田派の「クーデター」の芽が若干出たのかな、つまり安倍さんの“支配”に対するある種の「異議申し立て」が行われたのではないかと。そこは大いに注目したいんですが。
古舘)自民党というのは生存戦略がしたたかですごいなと。だから野党が束になっても今のところかなわないという印象になってしまっているのかなと。僕が、ある意味歯がゆい思いもしてしまうのは、やっぱりこの自民党は、したたかに政権をとってきたから。後藤さんは、ずっと見てらっしゃるから分かると思いますけど、こういう時に、例えば「自民党をぶっ壊す」とか言いながら小泉(純一郎)さんは全然ぶっ壊さないで“自分流”をやったわけで。良い悪いは別として。だから今回も、河野さんが出ようが何だろうが、自民党が新しくなるんだ、総裁選のお祭りやるんだ、っていうことで、やっぱり相当総選挙に有利な電波ジャック的なことをやって、今もこうして僕らも話している。
古舘)ということを考えるとですね、その「党風一新の会」が筋がいいとすれば、新しい世代がやるんだと、ある種のクーデター的な薩長同盟というな動きするんだったら、一発目でも二発目の決選投票だって「自分が支持してる河野さん」となっていちいち派閥への里帰りにならない、そのぐらいの意気や見せてもらわないと、何のためのこの集まりだと思うんですけどね。
後藤)本当にそう思いますよね。それはやはり、今の選挙制度が大きな要因ですよね。1人しか公認候補が出られない。執行部が生殺与奪権を全部握ってるわけですね。となると、どうしてもそこの意向を、顔色をうかがうと。ただ自民党っていう政党は古舘さんおっしゃったように政権というのが唯一の拠り所なんですね。誰よりも政権を大切にする。だから、かつて村山(富市)さん、社会党委員長と手を結んでしまう。今回も、菅さんではこの自民党が立ち行かなくなると言うことで、ある面で菅さんは、内部から引っ張られて退陣の道を選んだ。
古舘)それで一番目立ったのが小泉(進次郎)さんということですか。
後藤)それは小泉さんというか、声なき声というか。今、1回生から3回生まで126人いるんですけど、この人たちの最大の目的が生き残りになっちゃいましたから、菅さんの船じゃ沈没しちゃうねと。とにかくこの船を新しいのに変えようというのがあるんですけれども、当初はその沈没しそうな船の操舵室をみんなで争っていたんですね。
古舘)はい。
後藤)それではもう自民党はどんどん沈んでいく、ということになって、もう船ごとを変えましょう、船長も変えましょうというのが、今の自民党の状況だと思いますね。
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[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)