ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月8日放送)に外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が出演。バイデン大統領と習近平国家主席が2021年内にオンライン形式で会談するというニュースについて解説した。
対面で会談するのであれば会談場所で揉めるはず ~機はまだ熟していない
10月6日にスイスで行われたアメリカと中国の高官による会談で、バイデン大統領と習近平国家主席が2021年内にオンライン形式で会談することが固まった。アメリカ側は対面での首脳会談実施を模索したようだが、新型コロナウイルスの流行後、習近平氏は対面外交を著しく控えていて、対面での外交は2022年2月の北京冬季オリンピック開催時になるとの観測が出ている。
飯田)アメリカのサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)と中国の楊潔篪氏が会談したということですが、首脳会談はオンライン形式になるようです。
宮家)二人は6時間くらい話したということですから、かなり詳細に米中関係全般を議論したのだと思います。確かに首脳会談が開かれていないので、いずれはやらなければいけないわけです。オンラインかどうかという問題よりも、通常、対面で行う場合には、「どこでやるか」という問題になります。習さんは最近外国に行っていないですし、もし行くとしても、遠くへは行きたくないでしょう。アメリカは「アメリカへいらっしゃい」と言うでしょうし、中国側は「北京へ来たらどうか」と言うと思うので、実現は難しいです。もし対面でやるのであれば、まず場所で揉めると思います。
飯田)対面でやるのであれば。
宮家)まだ機が熟していないということなのでしょう。仮にオンラインでやったとしても、どこまで突っ込んだ議論ができるのか。最近のアメリカの対中貿易に関する政策を見ていても、変わっていないですよね。トランプさんが相当、乱暴なことをやったのは事実だけれども、バイデン政権もまったく譲歩をしていない。中国側も仮に対話をするとしても、どこから始めていいのか、中国側は中国側で困っていると思います。あまり強気に出ても結論は出ないし、妥協もできない。オンラインでしかやらないというところを見ると、首脳会談をしてもどれだけ成果があるのかといわれれば、あまり期待できないかも知れません。
拡がる米中の対立エリア ~一朝一夕で修復することはできない
飯田)宮家さんは常々おっしゃっていますが、中国が首脳会談をやる場合、成功するのは確実だということです。
宮家)成功しかありません。失敗しそうになったらやめてしまえばいいのですから、羨ましいですよね。
飯田)つまり、オンラインに格下げするということは、成果も見込めない可能性がありますか?
宮家)「意見が違う」ということに「合意」するのだと思います。気候変動等で協力の余地があるかも知れませんけれども、これだけ拗れた米中関係を短期間で元に戻す、あるいは方向性を変えるのは難しいでしょう。軍事面でも経済面でも、そしてサイバーや宇宙等々でも、米中対立の領域が拡がっています。一朝一夕で直るようなものではないと思います。
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