更迭に相当する矢野財務次官の「バラマキ合戦批判」

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月12日放送)にジャーナリストの有本香が出演。矢野財務次官が『文藝春秋』に寄稿した「バラマキ合戦批判」に松野官房長官が「私的な意見」との認識を示したというニュースについて解説した。

衆院予算委員会で答弁を行う財務省・矢野康治主税局長=2020年2月10日午後、国会・衆院第1委員室 写真提供:産経新聞社

矢野財務次官の「バラマキ合戦批判」に松野官房長官が「私的な意見」との認識を示す

財務省の矢野康治事務次官が、月刊誌『文藝春秋』に寄稿した論文で与野党の政策論争を「バラマキ合戦」と批判したことについて、松野官房長官は10月11日の記者会見で「私的な意見として述べたものだ」との認識を示した。

飯田)更迭の可能性については「答えを差し控える」と述べるにとどめた、ということですが。

「田母神論文」の場合とどう違うのか ~これは「更迭相当」

有本)これは「更迭相当」だと思います。行政の事務方トップが、こうした政治的発言をわざわざ商業誌でするということは、「個人的な意見だからいい」という問題ではないと思います。完全に職業としての矩(のり)を踰(こ)えています。これを「いいのだ」とするのであれば、2008年に当時、航空幕僚長であった田母神さんが「田母神論文」と言われるものを発表して、結局、更迭されたではないですか。

飯田)そうでしたね。

有本)「それとはどういう釣り合いが取れるのですか」という話です。

飯田)あれも私的な意見だったと。

有本)発言の内容、あるいは発言の正しさですね。「正しさ」というのは内容だけではなく、立場的にどうなのかということを考えたとき、「どう処分するか」ということに釣り合いが取れないと、おかしな状態になりますよね。

飯田)ダブルスタンダードになってしまいます。

有本)そうです。そういう意味で、松野官房長官は更迭すべきだと思います。

飯田)矢野財務次官を。

高市早苗氏の「総裁選出馬宣言」に続いて今回も『文藝春秋』

有本)最近、月刊『文藝春秋』が政界を揺らしていますね。

飯田)そうですね。

有本)8月には高市早苗さんが「総裁選に出ます」と、『文藝春秋』で第一声を上げたわけです。高市さんの経済政策はまさに、矢野さん的に言うのであれば、「バラマキだ」という話です。

飯田)名指しでこそないけれども、それに近い形で書いています。

有本)書いていますよね。雑誌にはいろいろな意見が載ってもいいし、雑誌そのものが強烈にイデオロギーを持つ必要はないですけれども、このような騒ぎの元をつくっていて、ある意味、雑誌としてはすごいなとも思いますが。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

官僚としての矩を踰えている ~更迭するべき

有本)ただ、これは官僚としての矩を踰えていると思いますから、更迭するべきだと思います。

飯田)その政策を決める、最終的に判断を下す政治家の方々というのは、基本的に主権者の束を背負っているわけです。

有本)そうです。国民に選ばれたのです。

飯田)他方、行政官の方々は、その洗礼、選挙の洗礼を浴びたものではない。

有本)違います。ですから選挙の洗礼を浴びた政治家が政策の方向性を示して、それを着実に遂行するのが官僚です。

飯田)政治主導というものがこの20年~30年、朝日新聞や毎日新聞なども含めて、高々に言われていたのはそこの部分です。

有本)そうですね。

政治そのものの威信が問われる

飯田)「官僚支配を打破しよう」という動きがあった。それに逆行しますよね。

有本)官僚組織がかなりの政治的意思を持って、つまり「官僚支配と呼ばれる状況がある」とされて来ましたが、ここまでそれをあからさまに出して、政治側が「個人的意見でしょう」とヘラヘラしているというのは、政治そのものの威信が問われますし、「国民が1票を投じて意思を示したのは何だったのだ」ということになります。

飯田)このなかで激烈に怒りを表明しているのが、まさに高市さん。

有本)当然だと思います。これに対してメディアから非難の声が上がっていないのが不思議です。それこそ、よくリベラル系のメディアの人たちが言うところの戦前そのものでしょう。

飯田)政治の統制、シビリアンコントロールが効かなくなって、関東軍が暴走した。

有本)暴走したというのと同じです。これは軍事の話ではありませんが、同じ構図ですよね。

コロナ禍で「バラマキ」という言葉が出て来ることはどういう認識なのか

飯田)高市さんは「基礎的な財政収支にこだわって、困っている人を助けないのは馬鹿げた話だ」と。

有本)まったくその通りですね。

飯田)マクロの経済政策で、人の生き死に関わって来るのだと。

有本)このコロナ禍ではね。

飯田)当然あり得るわけです。

有本)だいたいコロナ禍において、「バラマキ」などという言葉が出て来ること自体、「どういう認識なのだ」と思います。日本のトップであるエリートが「この認識でいるのか」と、がっかりさせられる出来事ですね。

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