二分化するASEAN ~首脳会議にミャンマー欠席
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月27日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。ミャンマーが欠席となったASEAN首脳会議について解説した。
ASEAN首脳会議にミャンマー欠席 ~軍トップ招かれず反発か
東南アジア諸国連合(ASEAN)は10月26日午前、オンライン形式で首脳会議を開いたが、ミャンマーはミン・アウン・フライン国軍総司令官を招かなかったASEANの方針に反発し、首脳会議に現れなかった。加盟国が主要会議への参加を拒否するのは異例とのこと。
ミン・アウン・フライン国軍総司令官を招かなかったのはアメリカの意向を受けてのことか
飯田)バイデン大統領は、アメリカの大統領としては4年ぶりにオンラインで参加したそうです。中国に対して言及はなかったということですが。
高橋)ASEANにはもちろん中国も影響力を及ぼしているのだけれど、ASEANの会議の場が代理戦争のようになっている可能性があります。バイデン大統領が出席するということで、アメリカの意向を受けて軍部を呼ばなかったということかも知れません。
飯田)アメリカの意向を受けて。
高橋)バイデンさんが出るときに軍部の人が出て来たら、どのように言うかと困ってしまいますよね。
飯田)そうですね。
高橋)だから事務方に圧力をかけて、「絶対に軍の人は出すなよ」と言っていたのかも知れませんし。
飯田)ミャンマー外務省の高官を招いていたということですが。
高橋)それであれば無難でしょう。ASEANの事務局もバイデンさんが出るとなったら、「どうしよう。出席者は誰を選ぼう」と悩んだのではないでしょうか。
日米と中国のグループに二分されるASEAN
飯田)中国の軟化とクアッド等々の枠組み、東南アジア、ASEAN諸国が1つの焦点になりますか?
高橋)ASEANはアメリカ、日本のグループと中国のグループで完全に二分化されますよね。数的には拮抗しています。だから、いままでASEANにはあまり来なかったのですけれど、アメリカがオンラインで参加するという形になっています。それなりに顔を出して行かないとまずいということではないでしょうか。
中国にはハードルが高いTPP ~日本は「条件さえ整えば入れます」と言い続けるべき
飯田)ASEAN首脳会議について、
『中国、TPP加盟へ攻勢 「経済の融合」訴え秋波』
~『日本経済新聞』2021年10月27日配信記事 より
……と、ベトナム・マレーシアが焦点になるということで、日経新聞が国際面に大きく掲載しています。
高橋)ベトナムやマレーシアの賛同を得たいのだけれど、ベトナムは賛同するにしても、日本とオーストラリアがどうなるかがポイントですし、TPPは中国が入る前にイギリスも入りますからね。そうすると、全会一致でないといけないと言うのだから、中国にはハードルが高いですよね。
飯田)中国には。
高橋)中国では資本取引というところがネックになります。資本取引に関して、基本的にTPPは自由化ですから。ここがASEANのRCEPなどとは違う協定なのです。これを報道するときに、ものの関税の話をしてしまうと同じように見えてしまうのですが、まったく違います。TPPであれば、ものの関税などは20分の1くらいのウェイトしかないのです。他が大きいので、そこが「中国は本当に入れるのか?」 と疑問に思うところです。「では資本の自由化と為替の自由化をして来てください」と言われれば、中国は困ってしまうのです。
飯田)「条件さえ整えば入れますよ」と日本は言い続ければいいのですよね。
高橋)その通りです。
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