黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(10月7日放送)に俳優の村井良大が出演。俳優が演出する舞台について語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。10月4日(月)~10月8日(金)のゲストは俳優の村井良大が出演。4日目は、演出家・黒木瞳の演出について---
黒木)プライベートでもご一緒させていただくことがありますけれど、私が演出する舞台で主演をするというのはどんな気持ちですか?
村井)役者さんが演出される舞台というのは、あまり経験したことがないのですが、「役者が役者にダメ出しされる」ほど怖いものはないですよね。役者さんが「こここうだよ、こうして」ということを受け入れるために、こちらもしっかりビルドアップしておかないといけないと思います。通常の演出の方とは、目線がまた違うのではないでしょうか。
黒木)映画の監督をさせていただくときは、やはり役者の気持ちがわかるので、役者の方が、このような気持ちで演じているけども、それが映像に映っていなければもったいないではないですか。私はもったいないと思うので、いろいろアドバイスするのです。舞台も同じで、そのような気持ちでやってらっしゃるのでしょうけど、「それがこちらに伝わって来ないのはなぜだろう」と考えて、それでいくつか方法論を言うのです。
村井)「ここがこうで違うぞ」ということではなくて、「いまいいのにもったいないからもっとこうしたら」というような。
黒木)だってその方はそういう気持ちでやっていらっしゃるのは、こちらもわかるわけではないですか。それがお客様に伝わらなかったら、元も子もないではないですか。そうするとやはり「あの役者さんはこうね」とか言われるわけでしょう。それは演者の方に申し訳ないなと思うのです。制作側に立ったときにはね。ですので、「役者の方が輝いていられるように」ということだけを考えてつくっているのです。
村井)なるほど。
黒木)今回のこの『甘くない話』の脚本も最初に西田征史さんと……西田さんとは最初の映画の『嫌な女』でも書いていただいたのですけれども、「このテイストは西田さんだな」と思って、お願いしました。この舞台の企画書があるのですが、最初の企画書では、「ツインピークスみたいな始まりで、それで謎解きして、笑って、泣く」これしか言っていないのですよ。
村井)それだけで、これほどまでにできたのですね。こんなに大量の台本とキャラクターと。
黒木)そのうちに「こういうのはどうでしょう、こういうのはどうでしょう」というのが来て、それからは共同脚本に吉崎さんという方がいらして、吉崎さんと週一で本打ちをやっておりました。
村井)入り口は4つくらいの単語ですけれども、それであれだけの世界観が拡がるというのはすごいですよね。
黒木)約1分ほどでした。私のプレゼンは。
村井)すごい。
黒木)想いが伝わったというか。
村井)素晴らしい1分のスピーチだったのですね。
黒木)いえいえ、でも本当に書き下ろしですから、オリジナル台本ではないですか。やはりそれはね、難しいですし。見る方もどのような話だろうとまず思いますよね。
村井)何かを題材にされているということではないですからね。まったく知らない世界に飛び込んで行きますから。
黒木)でもツインピークスですから、デイヴィッド・リンチが撮った。1人の女性の死から始まるという。
村井)1人の女性の死から始まる。今回の台本もまさに1人の女性の死から始まりますものね。
黒木)でもただの謎解きではなくて、皆さまが本当に生き生きと輝いて、コメディゾーンもいっぱいありますので。
村井良大(むらい・りょうた)/ 俳優
■1988年6月29日生まれ。東京都出身。
■2006年、舞台『赤毛のアン』で俳優デビュー。
■2007年、テレビドラマ『風魔の小次郎』でテレビドラマ初出演・初主演。2008年、ドラマの舞台化作品『風魔の小次郎』で、舞台初主演。以降、数々の舞台・ドラマ・映画に出演。
■2021年11月3日からは、黒木瞳さん企画・演出の舞台、『甘くない話~ノン・ドサージュ~』に主演する。
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