実は叫んでいないムンクの「叫び」

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黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(10月26日放送)に評論家の山田五郎が出演。自身のYouTubeチャンネルについて語った。

叫び(エドヴァルド・ムンク)

黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。10月25日(月)~10月29日(金)のゲストは評論家の山田五郎が出演。2日目は、YouTubeチャンネルについて---

黒木)山田さんは今年(2021年)1月から『オトナの教養講座』と題したYouTubeチャンネルを開設されたということですが、美術を中心にしたお話されているとのことですが、登録者数が25万人を超える人気チャンネルとなっているのですね。それぞれのテーマがおもしろいですよね。1回目は「ダ・ヴィンチ『モナリザ』はなぜ怖い?」というクエスチョンでしょう。

山田)美術室に飾ってあったモナリザの目が動いたとか、よく言うではないですか。

黒木)そういうお話をされる日もあったり、2回目では、「ゴッホ 『ひまわり』たくさん描いた悲しい理由」、これは?

山田)ゴッホの「ひまわり」は何枚もありますよね。しかもほぼ同じやつが2枚ずつあったりします。それはどうしてなのかということです。もともとゴッホはアルーというところに行って、「ここはヨーロッパの日本だ」と言って仲間たちに「みんなここに集え」と言ったのに、誰も来てくれなかったわけです。弟が必死に頼んで、やっとゴーギャンだけ来てくれたのだけれども、たった2か月で喧嘩して帰ってしまったのです。

山田五郎

黒木)質問してもよろしいですか? オーヴェル=シュル=オワーズの宿屋のすぐ近くに、ゴッホのお墓があるではないですか。弟さんと一緒に並んで眠っていらっしゃるのだけれども、弟さんはご家族がいたではないですか。奥さまも。なぜ、弟さん1人だけが一緒に眠っているのですか?

山田)この2人は、単に兄弟として支えたという以上の関係ですよね。ゴッホが亡くなった半年後くらいに弟さんも病気で亡くなられてしまいます。生中な関係ではないわけですよね。

黒木)なぜ弟さん家族がいるのに、オランダではないのだろうなと思うのですが。でも、それは誰も答えてくださらなかった。

山田)弟さんはテオというのですけれども、その人の奥さまが通称ヨーという人です。この人はゴッホが亡くなったことについて、責任感じるのです。多分なのですけれども、ゴッホが亡くなる少し前に、弟さんの家族を訪ねて行っているのです。そのときにゴッホはヨーに何か言われたのですよ。弟さんは結婚をして、子供もできて、勤めていた画商をやめるとかやめないとかいう話になっている。うちも暮らしが大変なのだと。いつまでも兄さんに金を送っていられないという状況で、もしかしたら奥さまが何か言ったのですよ。そのあとに亡くなってしまったでしょう。だから非常に責任感感じていた。

黒木)それで弟さんが駆けつけたという。

山田)弟さんが駆けつけて、弟も亡くなってしまう。奥さまはその辺に対してすごく責任を感じていて、だから、ゴッホの名誉回復みたいなことを一生懸命やったのです。亡くなったあとに、展覧会や手紙の出版をしていますが、尋常ではない頑張り方なのです。義理の兄ですよ。義理の兄について、どうしてこれほど頑張るのかというと、やはりそこには自責の念が……。

黒木)あったのでしょうね。

山田)「ではないか」という話です。

黒木)そういう話をYouTubeでやってらっしゃるのですね。いまの話は私の質問でしたけれども。

山田)そのような話もしました。

叫び(エドヴァルド・ムンク)

黒木)それから「ムンクの『叫び』は何を叫んでいるの?」。私、ムンクがいちばん好きなのですけれども。

山田)そうなのですか。

黒木)いちばん好きなのはお姉さんを描いた絵で、お母さんを早くに亡くして、お姉さんがお母さん代わりで、そのお姉さんが病気になって、病床のお姉さんをいっぱい描くのですよね。それがもう見る人に言うと気持ちが悪いというのですよ。死にかけたお姉さんの絵が。でも私はもう、ムンクの愛情とお姉さんの愛情をものすごく感じて、大好きな絵の1つなのですけれども。タイトルの「叫び」、私は少し知っているのですけれども、何を叫んでいるのか。

山田)叫んでいない。叫んでいないのです。

黒木)叫んでいないのですよね。

山田)叫びが聞こえているのですよ。

黒木)そうなのですね。聞こえているのだけれどもタイトルが「叫び」になっているから。

山田)こうやって口を開けているから、口を開けている方に目が行くけれども、よく見ると耳を塞いでいるという。

山田五郎

山田五郎 / 評論家

■1958年12月5日 東京都渋谷区生まれ。大阪府豊中市で育つ。
■上智大学文学部在学中にオーストラリア・ザルツブルク大学に1年間遊学。西洋美術史を学ぶ。
■卒業後、講談社に入社。「Hot-Dog PRESS」編集長、総合編纂局担当部長等を経てフリーに。
■これまで 西洋美術、まちづくり、時計、ファッションなど幅広い分野で 講演、執筆活動を続けているほか、テレビ・ラジオなどメディアでも活躍。
■主な著書に『知識ゼロからの西洋絵画入門』『知識ゼロからの西洋絵画史入門』『知識ゼロからの西洋絵画 困った巨匠対決』『知識ゼロからの近代絵画入門』など。

■2021年3月に 創元社から、アルケミスト双書『闇の西洋絵画史』シリーズを刊行。西洋絵画の「王道の裏面」、「闇」の側面をテーマにした著書となっている。これまで第1期として「黒の闇」篇5巻、来年1月以降に「白の闇」篇5巻を刊行予定。
■2021年8月には講談社から『機械式時計大全』という本も出版。機械式時計に関する山田五郎さんの教養を総動員した1冊。
■2021年1月からは公式ユーチューブ「山田五郎 オトナの教養講座」を開設。登録者数25.4万人。絵画の解説・疑問・裏話などを中心に話をされています。

番組情報

ENEOSプレゼンツ あさナビ

毎週月曜〜金曜 6:43 - 6:49

番組HP

毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳

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