最終的にはウクライナが「緩衝地帯」に落ち着くか ~米露首脳会談、オンラインで開催

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月8日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。オンラインで開催されたアメリカのバイデン大統領とロシアのプーチン大統領による米露首脳会談について解説した。

最終的にはウクライナが「緩衝地帯」に落ち着くか ~米露首脳会談、オンラインで開催

バイデン米大統領(左)とロシアのプーチン大統領(アメリカ・ワシントン)=2021年3月17日 AFP=時事 写真提供:時事通信

米露首脳会談、オンラインで開催

アメリカのバイデン大統領とロシアのプーチン大統領は、日本時間2月8日午前0時過ぎから、オンライン形式で会談を行った。主要な議題はウクライナ国境地帯でロシア軍が部隊を増強している問題で、緊張緩和の糸口を見い出せたかが焦点となっている。

飯田)直接対話は、7月の電話協議以来だということですが、報道によれば17万人以上をウクライナとの国境周辺に集結させているという話が出て来ています。

高橋)俯瞰して見ると、ウクライナの体制が強くはないということがありますが、ウクライナをどちらに引き入れるかという国際政治のゲームです。不謹慎な意味ではなく、戦略的な交渉という意味ですが。

飯田)どちらが獲るかと。

高橋)ロシアから見れば、そこは自分の方に入れたい。政権が悪いときに、「クーデターを仕掛ける」などと言って、それに乗じるのはよくあることです。ところが、アメリカや西側諸国からしてみると、ウクライナをEUというか、NATOに入れるという話があるでしょう。

ウクライナがお互いの緩衝地帯になるように慎重に交渉を進める

高橋)NATOに入れるとなると、ロシア側の方に「グッ」と入るわけです。そうなれば当然、奪い合いになります。両方ともわかりながらやっていて、ゲーム理論と呼ばれますが、「どこが均衡点になるのか」を探すのです。最終的には、ウクライナが緩衝地帯になり、「どちらにも属さない」ということになりがちです。そこに持って行ければいいのですが、持って行き方が上手く行かずに、どちらかのものになった場合は大変なことになります。

飯田)どちらかが獲ってしまうと。

高橋)そういうせめぎ合いをしているのです。プーチンさんが、「ウクライナがNATOに入ったらレッドラインだよ」と言ったら、バイデンさんの方も「レッドラインは超えないよ」と言いつつ、緩衝地帯に落とそうと思っているわけです。しかし、落とそうと思っている途中に突発的なことが起こると、「どちらかが」となってしまうのです。だからそこは、出方を見ながら慎重にやっている最中ではないでしょうか。

ウクライナにとっても緩衝地帯になった方がいい

高橋)ロシアの方から見ると、バルト三国が入ってしまっているから、かなり厳しいのですよ。そこでウクライナも入ってしまうと、両面が挟まれてしまうのです。それはアメリカもわかっているから、たぶんウクライナについては、そこまでしない。「ここは緩衝地帯にしよう」と。昔もフィンランドがソ連との間で緩衝地帯になったことがあったでしょう。でも緩衝地帯になった方が、ウクライナはハッピーなのですよ。両方からいただけるから。

飯田)緩衝地帯になれば。

高橋)それが世の常なので、ウクライナもハッピー、ロシアもそこそこ満足、そして西側も満足という方向を目指している最中だと思います。

飯田)かつてフィンランドは西側の自由主義・資本主義を維持しつつ、ワルシャワ条約機構にも入っていたというような。

高橋)微妙な話になるとね。両方に入るというのは、その国にとって悪い話ではないのです。どちらかになれば戦場になるかも知れないですから。

飯田)蹂躙される可能性があると。

高橋)そのため、ここを緩衝地帯にするということは安定解なはずなのです。みんなそこはわかっているなかで、「どうやって自分が有利になるか」というゲームをやっているのです。

飯田)ウクライナは地理的に見ると、南は黒海に面していて、真ん中に大きな川が流れ、そこから西と東でかなり色が違う。東側はロシアに近く、ロシアからすれば、「ここを自分たちの勢力圏に入れながら、西半分を緩衝地帯にしたい」と思う。

高橋)いろいろ思うでしょうね。

飯田)NATO側からすると、西半分を勢力圏にしながら、東半分を緩衝地帯にしたい。

高橋)最後は緩衝地帯をつくらないと、どちらも不満ですよね。だから緩衝地帯になるのではないかと思います。ウクライナがまとまっていれば、大きな緩衝地帯になるはずなのです。

飯田)国家としてまとまっていれば。

最終的にはウクライナが「緩衝地帯」に落ち着くか ~米露首脳会談、オンラインで開催

ロシアのプーチン大統領(ロシア・モスクワ)=2021年10月13日 AFP=時事 写真提供:時事通信

NATOが「戦力を注ぎ込んで」となると欧州にシフトを戻さざるを得ないアメリカ

高橋)日本としてもそちらの方がいいと思います。こういう国際紛争の話はあまり飛び火しないのです。要するに「どっちもどっち」ということで、安定的になるしかない。片方が一方的に勝ったりすると、不安定になるので。

飯田)ここでNATOが戦力を注ぎ込むようなことになれば、東アジアにシフトするはずの米軍がまた欧州にということになります。

高橋)そうですね。だから「やるぞ、やるぞ」と言いつつ、安定的なところで収めてもらった方がいいのです。

最終的には緩衝地帯を使う方向に

飯田)米露首脳会談のあとに、バイデン大統領はヨーロッパの同盟国との間で電話協議をしたということで、その概要が出ておりますが、ほとんど何を言ったということもなく。

高橋)もうやりあっているのでしょう。

飯田)やりあっている最中だから情報が出て来ない。

高橋)言えないでしょうね。ロシアもインドを引きこみたいので、プーチン大統領がモディ首相に会いに行ったでしょう。

飯田)行きましたね。

高橋)それぞれが多数派工作をして、少しでも自分が有利になろうと思っているのですが、最終的には、緩衝地帯を使うという方向に行くと思います。「何が起こるかわからない」という怖いところもありますが。

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