「思いやり予算」とセットで日米地位協定の見直しを
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月9日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。在日米軍駐留経費の日本側負担、いわゆる「思いやり予算」について解説した。
在日米軍駐留経費の日本側負担
日米両政府は、2022年度から5年間の在日米軍駐留経費の日本側負担、いわゆる「思いやり予算」をめぐって、1年あたり2100億円以上、総額で1兆円以上の規模とする方向で最終調整に入った。過去5年の実際の支出と比べて、約500億円の増額となる。2022年1月に予定している外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)に合わせた署名を目指す。
飯田)「ホスト・ネーション・サポート」という言われ方もしますが、光熱費なども含めてどちら側が負担するのかという。
鈴木)そこまで負担するのが果たしてどうなのか、という根本的な議論や意見もありますが、私は少し違う見方をしています。今回、これまでの5年間に比べて、総額約500億円増える。この500億円増えるということがどうなのか。対中国ということも考えて、「いろいろ手を打っておかなければいけない」ということはあると思います。ある程度それに伴ってお金がかかるし、額も増えるのだろうなと思います。
お金を出すだけではなく、セットで「地位協定の見直し」をするべき
鈴木)私がいつも思うのは、根本的にはお金の思いやりの話かも知れません。向こうがやってくれていることに対して、こちらがお金を出しますと。しかし、「ありがとうございます」と言って、お金をあげて終わってしまったら、もったいないと思うのです。
飯田)もったいない。
鈴木)向こうが何かをやってくれた。「ありがとうございます」とお金を出したけれども、「すみません。今回、色をつけてお支払いしましたよね」と。「その分、これをやってくれませんか」と、さらに次の要求に持って行くようなしたたかさが必要ではないかと思うのです。
飯田)したたかさが。
鈴木)「したたか外交」とよく言いますが、合わせて地位協定の見直しをやって欲しい。運用を変えるのではなく、根本的に見直すべきところがあるのではないかと思います。
疫病や感染症に関して「日本が制約できる権限」を持つべき
鈴木)特にここ1年~2年で感じたのは、コロナに関する問題です。アメリカの兵隊さんたちがコロナに感染して、日本に入って来たというケースがありましたよね。これも普通なら水際なのです。成田空港や羽田空港から入って来るのだから、そこで検査して、陽性ならば隔離などの対応をすることになります。
飯田)そうですね。
鈴木)しかし、米軍基地は治外法権だから、パスポートも何もないわけです。勝手に入って来ることができる。入って来たら、兵隊さんたちも外に出るわけでしょう。そこでコロナ対策はどうなっているのか。この問題もかなりもたつきました。
飯田)初期にはありました。
鈴木)地位協定のなかにコロナ感染という項目はないけれど、疫病や感染症について、もう少し日本にある種の主導権というか、「制約できる権限」を持つべきではないでしょうか。そういう意味では、少しは直ったけれど、横田基地があるために日本の飛行機のルートが迂回しますよね。
飯田)東京の上空、いわゆる横田空域という。
鈴木)個人的な話なのですが、毎週、福岡に仕事で通っているのです。飛行機なのですが、房総半島の上を行って、「どこを飛んでいるのか」と思ったら、左に旋回して。
飯田)横田基地があるために、西から直接羽田には降りられない。
鈴木)風向きもありますよ。あるけれど、やはりそのときに思うわけです。やっと最近、一部では都心を飛べるようになったけれど、羽田には常に横田があったなと。
見直すところが多い地位協定
鈴木)日米安保は基軸ですし、重要だと思うのだけれど、地位協定には見直すところがたくさんあるのではないでしょうか。お金を出すところで終わりではなく、お世話になったからお金を出して、「実は少しプラスしたのですよ。その分は言わせてもらいますよ」と言って、そこに地位協定を持って来る。そのようにセットでやって欲しいと思います。セットにできるきっかけになるではないですか。
飯田)日米安保が大事だということは、日本もアメリカ側も思っているところですし、日本国民を含めて日本国内の信頼がないと機能しない。そこに不平等感があると、何か引っかかるところがある。
鈴木)地位協定での見直しということがあれば、それはそれで必要経費かなと。そういう理解にもつながる可能性がありますよね。他の国、韓国だってそうでしょう。「言うべきことは言いますよ、国内法で」という。そこが課題です。
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