新しい防災気象情報 台風6号への対応は?【みんなの防災】
公開: 更新:
ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム「報道部畑中デスクの独り言」(第472回)
■新しい防災気象情報、実感では情報量はほぼ2倍に
5月29日に正式に運用が始まった新しい防災気象情報。河川氾濫や大雨、土砂災害、高潮に関する情報を5段階の警戒レベルに合わせて発表することを柱としたもので、5段階の警戒レベルは高い方から「レベル5特別警報」「レベル4危険警報」「レベル3警報」「レベル2注意報」などとなります。中でも「レベル4危険警報」を新設。小欄でも先日詳しくお伝えしました。

5月31日に気象庁で開かれた記者会見
本格的な警報発表は梅雨期に入ってもう少し先と思われましたが、意外にも早くやってきました。台風6号は6月2日に沖縄・九州南部・四国へと接近、3日早朝に和歌山県に上陸します。気象庁では5月31日午後に緊急の記者会見が開かれましたが、当初の予報円の中心に比べて北寄りを進み、統計開始以降4番目に早い台風の上陸となりました。
総務省消防庁によりますと、今回の台風で重軽傷者33人、家屋の被害はあわせて148棟で、埼玉県では床上浸水、鹿児島県で半壊した家屋がありました。亡くなった方がいなかったのは幸いでしたが、被害に遭われた方には改めてお見舞い申し上げます。
沿岸の海面水温が平年より高かったことから、勢力はあまり衰えず本州太平洋側に接近。和歌山県内の河川には初めての「レベル5氾濫特別警報」が発表されたほか、首都圏でも東京都心ほか各所で大雨・河川氾濫・土砂災害に関する「レベル4危険警報」の発表が相次ぎました。

増水する目黒川(6月3日内田雄基アナウンサーが安全確保の上、撮影)
ニッポン放送では新しい防災気象情報運用に対応した放送体制を整え、番組内で記者・アナウンサーによる現場レポート、警報、避難情報、ライフライン情報を細かくお伝えしてきました。私は本社で原稿作成など情報処理にあたりましたが、伝える情報量がほぼ2倍になったというのが正直な実感です。
これまで大雨警報は浸水害と土砂災害に分かれていたものの、区別なく伝えていました。それが大雨と土砂災害に明確に分離され、洪水警報が廃止される一方で、洪水予報河川を対象とする氾濫に関する警報が新設されました。さらに、レベル4相当情報はこれまで土砂災害警戒情報、氾濫危険情報だったのが、レベル4危険警報が新設されたことで、情報の切迫度は格段に上がった印象があります。

増水する多摩川(6月3日内田雄基アナウンサーが安全確保の上、撮影)
■避難情報は自治体で独自の判断も
一方、避難情報はこうした各種警報を目安として自治体が発令します。レベル3警報であれば高齢者避難、レベル4危険警報であれば避難指示、レベル5特別警報であれば緊急安全確保を出す判断の目安となります。
これらの避難情報について、内閣府の避難情報ガイドラインでは「避難情報の発令対象区域は可能な限り絞り込むことが重要」と記されています。発令対象区域を絞らず、災害リスクが想定されていない安全な地域の居住者等にまで避難情報を発令することで以下のことが起こり得るとしています。
(1) 安全な地域の居住者等までもが指定緊急避難場所に避難して混雑したり、交通渋滞が発生するおそれがある
(2) 立退き避難自体が身体的な負担になる高齢者等が不必要にも避難することで、一層身体的な負担となってしまうおそれがある
(3) 安全な地域の居住者等から避難の必要性に関する問合せが市町村に相次ぐおそれ等、様々な支障が生じると考えられる
(4) 「市内全域」といった発令は漠然としており、危険性が低いところまで対象地域としていると受け止められ、 避難情報に対する信頼性を損ねるおそれ
特に(4)に関しては、いわゆる「オオカミ少年」化のおそれがあります。映像がないニッポン放送では避難指示の対象地域を自治体単位で示した上で、ガイドラインが示すところの「災害リスクが想定される地域」=土砂災害警戒区域、洪水・浸水想定区域などをお住まいや職場のハザードマップで確認いただくよう呼びかけました。

一方、今回の台風で「全域」に避難指示を発令した自治体もいくつかみられました。このうち、東京・品川区は以下のような見解を示しています。
「品川区では区内全域で浸水被害が発生した令和7年9月11日の豪雨災害を踏まえ、レベル4大雨危険警報発表に伴い、区内全域に避難指示を発令することとしている。ただし、避難指示は必ずしも避難所への移動を求めるものではなく、自宅が安全な場合は屋内で安全を確保する「垂直避難(屋内安全確保)」も有効な避難行動の一つと考えられる」
過去の災害経験が、全域避難を指示する理由となっているようです。これについては、内閣府でも避難指示は自治体の責任と判断で発令されるものとして理解を示しています。
◇
新しい防災気象情報運用後の台風対応を受けて、情報というものは様々なパターンがあり、かつ刻々と変化する「生き物」であると改めて感じます。決して杓子定規ではないことを頭に入れて、今後の避難行動につなげていただきたいと思います。ニッポン放送でも正確な情報発信に努めてまいります。
(了)





