Gグラブ賞初受賞 巨人・岡本和真が「いちばん欲しい賞」と言う理由

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話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、ゴールデン・グラブ賞を初受賞した巨人・岡本和真選手のエピソードを紹介する。

Gグラブ賞初受賞 巨人・岡本和真が「いちばん欲しい賞」と言う理由

プロ野球 巨人対DeNA 巨人・岡本和真 37号ソロ本塁打 原監督越えの東京ドーム67号=2021年9月15日 東京ドーム 写真提供:産経新聞社

12月16日に表彰式が行われた「三井ゴールデン・グラブ賞」。守備の名手を讃える名誉ある賞で、今年はセ・パ合わせて6名の初受賞プレーヤーが誕生しました。その1人、巨人・岡本和真は開幕前から2021年の目標は「ゴールデン・グラブ賞」と宣言。まさに「有言実行」の受賞でした。

『たくさんの指導者の方々に指導をしてもらい、たくさんの方にサポートしていただいたおかげです。現役のうちに1度は取りたいと思っていた賞ですし、なによりも欲しい賞だったので、評価していただけたことがすごくうれしいです』

~『日刊スポーツ』2021年12月2日配信記事 より(岡本和真 ゴールデン・グラブ賞受賞時のコメント)

今季、ホームラン39本、打点113で、2年連続本塁打王・打点王の2冠に輝いた岡本。ヤクルト・村上宗隆と最後まで2つのタイトルを争い、本塁打王は同数で分け合いましたが、打点王は単独で獲得。巨人で「2年連続2冠」を獲ったのは1976年・1977年の王貞治以来、実に44年ぶりの快挙でした。

しかし、12月14日に発表された「ベストナイン」の三塁手部門に岡本の名前はありませんでした。こちらは、ヤクルトの日本一に貢献した村上が受賞。本塁打・打点の2冠王がベストナインを逃した例は過去4回しかなく、2010年のラミレス(巨人)以来のことです。

セ・リーグの全日程が終わり、2冠王が確定したとき、岡本はこうコメントしています。

『毎日毎日チームの勝利のためになんとかしようとした結果だと思います。打点については、みなさんが僕にチャンスでたくさん回していただいたおかげなので、ほんとうに感謝しかないです。ただ、優勝出来なかったので、貢献できたとは思っていません。CSを勝ち抜いて日本一になれるように頑張ります』

~『スポニチアネックス』2021年11月1日配信記事 より(岡本和真 ゴールデン・グラブ賞受賞 発表時のコメント)

「チームを優勝に導いてこそ、真の4番」という岡本の思いを感じるコメントです。しかし岡本はクライマックスシリーズ(CS)を前に左脇腹を痛め、CSを全試合欠場。主砲の離脱は大きく、巨人はファイナルステージでヤクルトに1勝もできず敗退しました。

ベストナインに岡本が選ばれず、村上が選ばれた理由は「優勝への貢献度」であり、肝心なときにチームを離れたことには、本人も忸怩たる思いがあったでしょう。

ただ、故障者が相次いだ今季(2021年)の巨人において、岡本は唯一レギュラーシーズン全143試合に出場。しかも全試合「4番・サード」で先発出場です。シーズンを通じて主砲の座と、サードのポジションを明け渡さなかったことは本人にとって大きな自信になったはず。打つだけではなく守備でも貢献しないと、本当の意味でチームを牽引することにはなりません。

2019年まで、チーム状況に応じてファースト・サード・外野を守って来た岡本は、2020年からサード一本に固定されました。「ホットコーナー」と呼ばれ、強烈な打球が飛んで来ることが最も多いサード。内野のなかでは一塁までの距離が最も遠いため、サードゴロを処理する際には、素早い動きと肩の強さ、正確なスローイングが要求されます。

ホームランを量産する一方で、ホットコーナーも完璧に守る……これがいかに難しいかは、過去、同じ年に本塁打王とゴールデン・グラブ賞を同時受賞した三塁手がセ・リーグでは掛布雅之(阪神、1979年・1982年)だけ、という事実を見てもわかります。

長打力と守備力はまったく別の能力ですが、岡本は「守備力の向上が打撃向上にもつながる」という考えを持っています。

『下半身を使いますし、細かい動きもやる。僕は打撃に生きると思ってやっている。継続してやっていきたい』

~『日刊スポーツ』2021年12月2日配信記事 より

岡本がゴールデン・グラブ賞を「いちばん獲りたい賞」と常々口にしていたのは「攻守は表裏一体」という意識があるからです。今季は三塁手としてリーグトップの守備率・9割8分8厘をマーク。失策はわずか4で、タイムリーエラーは0でした。188票を獲得、2位の宮﨑敏郎(DeNA)に151票差をつけて受賞できたのは、この上ない喜びだったでしょう。

ちなみに、本塁打・打点の2冠王がゴールデン・グラブ賞を受賞したのは、2006年の小笠原道大(日本ハム)以来15年ぶり。巨人では2002年の松井秀喜以来、実に19年ぶりのことでした。

『まだまだ下手くそなので、これからもしっかりと練習をして頑張ります』

~『日刊スポーツ』2021年12月2日配信記事 より

念願の賞を受賞しても満足せず、さらに上を目指す岡本。飽くなき向上心で、2022年、V奪回と10年ぶりの日本一を目指します。

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