芸能リポーター・石川敏男氏が12月27日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に生出演。数々の大物タレントの番組の終了や降板が2022年春に行われることを受け、その背景について解説した。
辛坊)いっぱい稼いでいる人たちが次々テレビを去っていくというのは、やはりテレビ局にギャラを払うだけの余裕がなくなったということですか。
石川)そういうことですね。いちばん大きいのはそこです。
辛坊)もともと給料の高い局員が、すごく給料の安い番組制作会社のスタッフと仕事をしてというのが一時期のテレビ局の構造だったのだけれども、いまは給料が下がっているテレビ局員がより給料の少ない制作会社と、と全体が落ちてきていますよね。日本の経済の構造と本当によく似ている。みんなで貧乏になっていっているという。そういう意味では石川さん、いい時代でしたね。それで、ビートたけしさんとか、坂上忍さんとか、上沼恵美子さんとか、大物タレントの方々が降板。これはどうなのですか?
石川)テレビ局が、本人が言ってくれるのを待っているという状況ですよ。なぜかというとスポンサーがつかない。SNSとかの方が若い子が見てくれたりするから、そっちにスポンサーがついてしまうのですよ。そうするとテレビ局のスポンサーにいままでなっていた会社が、どんどん若いところで商売をしたがっているからテレビ局につかない。でもテレビを見てくれる人はわりと年配者なのです。その差みたいなものがどんどん開いています。
辛坊)そうなのですよね。スポンサーがつかないから。若手が見てくれる番組だとスポンサーがつくかもしれないといって、若年層の視聴者を取りに行こうとするのだけれども、そもそも若年層はテレビを見ないのです。ですから魚のいない池で釣りをやっているような感じですよね。
石川)そうですね。
辛坊)厳しい時代になってきた。
石川)これからも高額の出演料を取っているタレントさんは使われにくくなりますよね。いまは恐らく日本でドラマに出ていていちばん高いのは、渡辺謙さんと吉永小百合さんです。吉永さんは代わりがいないのです。
辛坊)吉永小百合の代わりはどこにもいない。
石川)いないのです。
辛坊)吉永小百合は吉永小百合なのか。
石川)そして渡辺謙さんはハリウッドの大スターですから。その差はちゃんと歴然とあります。
辛坊)アメリカの俳優のギャラというのは、日本からは考えられないような高額ギャラなのですよ。日本もあちらの方向に行くのかなと思っていましたけれども、ついにいかなかったですね。
石川)いかないです。
辛坊)それがいいことだとは言わないけれども、アメリカで例えばプライムタイム、夜のいい時間にやっている30分のシチュエーションコメディというのがありました。30分のシチュエーションコメディというのは昔で言うとルシル・ボールとかが出ていた『アイ・ラブ・ルーシー』とか、テレビ東京でよく再放送をやっていましたよね。
石川)やっていました。
辛坊)『奥さまは魔女』とか、ああいうのをシットコム、シチュエーションコメディというのですけれども、私がアメリカでメディア研究をしていた1998年とか、いまから二十数年前ですよ。ギャラは30分番組の主演、それは4人主役のシチュエーションコメディだったのですけれども、それぞれ1本当たりのギャラが1億円なのです。
増山)1本?
辛坊)30分1本1億。
石川)それで毎週ですものね。
辛坊)毎週です。だから年50本だったら50億、×4人。桁が違いますよね。それからすると日本の芸能人は単価が安くて可哀想だなと思っていたのだけれども、ついにそうはならなかったですね。ベースの経済力が違うのと人口が違うのがあるけれども、それにしても違いが大きすぎるというか、日本の芸能人が可哀想だなと思います。
石川)だから渡辺謙さんはハリウッドで結構取るのですよ。ハリウッドでも。
辛坊)まあハリウッドならそうでしょうね。
石川)ところが日本へ来ると、そういう土壌がないから仕方ない。
辛坊)ゼロが2つくらい違ってくるのではないですか。
石川)それでも高いと言われるのだから。
辛坊)だから日本の芸能人はそれで芸能リポーターに追いかけ回られるし。私は日本の芸能人はすごく可哀想だと思います。
石川)いまはそんなに追いかけませんよ。なぜかというとリポーターが記者ではないですもの。タレント崩れがリポーターやっているくらいだから。
辛坊)あれだけテレビに出ていたら取材には行けないだろうという人もなかにはいますよね。
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番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)