日本は今後、中国にどう向き合うべきか
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月2日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。中国の人権状況に懸念を示す決議が衆院本会議で採択されたというニュースについて解説した。
衆院本会議で中国の人権状況に対する決議採択
北京オリンピックの開幕を前に、衆議院は2月1日の本会議で、新疆ウイグル自治区やチベット自治区など中国での人権状況に懸念を示す決議を、賛成多数で採択した。決議は自民党や立憲民主党などの国会議員が提出し、1日の衆議院本会議で採決が行われた結果、自民・公明両党や立憲、日本維新の会、国民民主党、共産党などの賛成多数で採択された。
日本維新の会と国民民主党は表現について不満を示す文章をそれぞれ発表
飯田)日本維新の会と国民民主党は、賛成はしたものの「日中関係に配慮して中国を名指ししていないではないか」と。「人権侵害という表現も見送ったではないか」と不満を示す文章を、それぞれ発表しています。
佐々木)難しい状態だと思います。確かにこれ以上、軋轢を増やさない方がいいだろうという判断はその通りなのですが、一方で、何も言えなくなるのは問題です。
飯田)かつては『「NO」と言える日本』という状況であったのに、ここまでとは。
ロシアとドイツの関係に似ている
佐々木)ロシアとドイツの関係に似ていると思うのです。ロシアがいまウクライナ国境に軍を集結させて、「戦争が始まるのか」という状況になっています。欧米では「ロシアに対して強く出なければいけない」という風潮が強まっているのだけれど、ドイツは例のノルドストリーム2という……。
飯田)ガスのパイプライン。
佐々木)ロシアが天然ガスのパイプラインを直接引いて開通させようとしているので、首根っこを押さえられてしまうと困る。ドイツは原発完全廃止の方向に進んでいるので、エネルギーを調達するには、再生可能エネルギーと天然ガスに頼るしかない。天然ガスはロシアから来ているので、ロシアからの天然ガスが止まれば、原発全廃の政策がストップしてしまう……というところで、ロシアに何も言えなくなってしまっているのです。経済安全保障の観点から言うと、エネルギーは大事です。
地政学的にはドイツよりリスクの高い日本
佐々木)日本はいまのところ、中国からエネルギーを輸入していませんが、経済的には密接な関わりがある。ドイツとロシアはだいぶ離れていますが、日本は中国とほぼ国境を接しています。
飯田)そうですよね。東シナ海を隔てるのみです。
佐々木)地政学的に言うと、リスクはドイツより高い。ウクライナとロシアぐらいの距離にあるわけですから。
飯田)目の前で対峙している。
佐々木)そこで今後、どうやって中国と向き合うのか。喧嘩するのはよくないのだけれど、かといって「中国にNOと言えない日本」になってしまったらどうなるのだろうということで、舵取りが難しい。特に、ウクライナ問題と比較して言われるのが、台湾侵攻です。
ロシアのウクライナ侵攻を参考にする中国
佐々木)この前も小泉悠さんというロシアの専門家の方が、アベマプライムで話されていました。例えば、ウクライナ問題でロシアがウクライナに侵攻し、それに対して西側が何もできないでいると、中国はそれを見て、「ロシアのように正面から戦争を起こしても、西側は何も言わないのだな。であれば台湾に侵攻しても大丈夫だろう」と思ってしまう可能性がある。だから、ウクライナに対してもきちんと向き合わなければいけない、ということをおっしゃっていました。確かにそれはそうだと思います。
飯田)そうですね。
佐々木)台湾侵攻がどうなるのか、現状ではわかりませんが、中国に今後どう向き合うのかということは、ますます重要な課題になります。
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