岸田総理が緊急事態宣言を発令しない「3つの理由」
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月1日放送)に経済アナリストのジョセフ・クラフトが出演。岸田総理が緊急事態宣言の発令に関して、「現時点では検討していない」と述べたというニュースについて解説した。
岸田総理大臣が東京都への緊急事態宣言について、現時点では検討していないと述べる
岸田総理大臣は1月31日の衆議院予算委員会で、東京都などへの緊急事態宣言の発令について、「現時点では検討していない」と慎重な考えを明らかにした。
政府に「緊急事態宣言」を発令する考えはない
飯田)重症者用の病床使用率は5.1%ということですが、全体としてどうご覧になりますか?
クラフト)昨日(1月31日)、政権幹部と話しましたが、政府はやるつもりはないと思います。
飯田)やるつもりはない。
まん延防止等重点措置の効果の見極め、重症者数が少ない、沖縄での感染者数が減少
クラフト)緊急事態宣言というのは、経済を犠牲にしてでも命を守るために行うものです。今回は、飯田さんがおっしゃったように重症者用の病床使用率はまだ5%程度です。まん延防止等重点措置が始まったばかりですから、その効果を見極めるということもあるでしょう。
飯田)効果を。
クラフト)そして、予想通り、沖縄で感染者が減って来ています。おそらく今週がピークで、東京や大阪でも減って来るのではないかという予想もできます。それらを見極めてから考えるということだと思います。ウィズコロナということも考えて、経済を回しながらやって行くのではないでしょうか。緊急事態宣言は発令されないと思います。
経済を止めてまで緊急事態宣言が必要か
飯田)都知事などは緊急事態宣言の発令基準を明確化して欲しいと、ある意味でジャブを投げていますけれども。
クラフト)岸田総理も言っていましたが、要請は構わないのですけれども、まん延防止等重点措置は自治体が決めて、緊急事態宣言は政府が決めるということです。基準を決めるのもいいですが、デルタ株とオミクロン株では感染力などが全然違う。同じ基準では計れません。その都度変えて、臨機応変に対応して行かなければなりません。今回は感染力がデルタ株の3倍だと言われていますが、重症化リスクは3分の1とも考えられています。果たして経済を止めてまで、緊急事態宣言が必要でしょうか。
「3回目のワクチン接種」「検査キットの増産」「治療薬」の3点セットを進める
飯田)世の中の空気が変わって来たところもあるのでしょうか?
クラフト)そこは政府も感じていると思います。強めるところは強めるべきだけれども、経済は回してもいいのではないかと。例えば外国人に対しては……。
飯田)水際対策で。
クラフト)水際対策は緩める必要はない。ただ濃厚接触者に関しては、もっと緩めてもいいのではないかという意見も多くあります。とにかく3回目のブースター接種と、検査キットの増産、そして治療薬。この3点セットを重点的に進めて行くのが、いまの政府の狙いではないかと思います。
第7波に向けて検査キットを潤沢に回して行く
飯田)大規模接種会場が東京でようやく再開しましたけれども、ワクチン接種がなかなか進んでいません。「前倒しできなかったのか」という指摘もありますが。
クラフト)もっと早くできるに越したことはありませんが、忘れてはいけないのは「2回の接種でかなり重症化が防げている」ということです。より保険を掛けるつもりで3回目接種は必要ですけれども、それほど焦る必要はありません。むしろ第7波です。
飯田)次の波に向けて。
クラフト)そこに向けて準備することが重要です。いまは検査キットを潤沢に回して行くべきだと思います。うまくやれるところと、やれないところが出て来ますので、一喜一憂せずにうまくみんなでやって行くべきです。
企業よりも失業した個人への支援を潤沢にするべき
飯田)事業復活支援金についても、昨日(1月31日)から申請受付が開始されました。お店に対して、最大250万円を支給するというものです。こういう支援策がどこまで拡充できるかですね。
クラフト)2020年の段階での支援策であれば、ある程度緊急なので理解できますが、欧米では企業に対しての支援よりも、失職した個人に対しての支援の方に重点を置いています。そうしないと、コロナとは関係なく、本来であれば存続が難しいゾンビ企業が生き延びて、経済の活性化につながりません。そういう意味では、個人への支援を潤沢にし、企業間には競争を促して行くべきだと思います。
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