3月27(日)、スポーツライター金子達仁がメインパーソナリティを務めるラジオ番組「The Deep」(ニッポン放送・毎週日曜20時~)が放送された。今回は、競泳五輪金メダリスト・荻野公介さんが出演。試合へ挑む時の心の持ち方について語った。
一流アスリートたちをゲストに迎え、スポーツの面白さや、アスリートの心の奥底にある想いを届けていく番組となっている、「TheDeep」。荻野公介が試合前のルーティーンや試合との向き合い方を明かした。
金子:萩野さんにぜひ聞きたいなと思っていたことがあって。験を担ぐ人ですか?
荻野:担ぎますね、はい。
金子:どういうふうに?
荻野:小さいころでいえば、必ず神社に行っておみくじを引くとか。大人になってからも、神社に行ったりもしましたし、あとはルーティンみたいなものが自分の中であるんですけれども。そのルーティーンが1つでも崩れてしまうと、「あれやってないけど、大丈夫かな……」みたいな気持ちになってしまう。別にそれが、ウォーミングアップをしないとか、そういうルーティーンではなくて。
例えば、入場する前にギリギリまで座っているっていうのが、僕のルーティンなんですけど。会場によってはそういう風に出来ない会場もあるわけですよ。泳ぐ前に、「あれ?椅子がないな。これ入場する前、立たなきゃいけないんだ。」と思ったら、僕の中での、ルーティーンが1個なくなるような感じです。
座って最後集中することが僕のルーティンで。ある意味で、まぁどうでもいい、そういうルーティーンが結構あって。そういうので、自分を落ち着かせるというか。
金子:水泳って、あくまでご自身の問題じゃないですか。タイムを出せば、大丈夫でここには相手ってあんまり絡んでこないじゃないですか。つまり、運、不運が介在する余地ってあまり大きくないと思うのですよ。それでも験を担ぐ?
荻野:簡単なものこそ難しいって僕は考えていて。誰にも邪魔されないわけですよ。スロープがあるからいきなり隣から誰かが殴ってくるわけでもないし、足を引っ張られて泳げなくなることはまずない。
だけど、例えば、オリンピックという場面になったとき。同じ50mのプール。プール環境としては何も変わらないわけなんですよ。だけど、そこに、例えば4年に1回ってものが付属されたり、メンタリティ的なところも入ってきたりとか。それって実力が100%出るんですけど、この実力を100%出すってことがすごく難しいんです。
金子:そこにはちょっと神様の力も必要だって考えたりする時もあるわけですね。
荻野:神様の力が必要っていうふうに考えはあんまりしないんですけど、何か自分にとって少しでも力になるものがあるのであれば、借りたいというか。
例えば僕がオリンピックでメダルを獲った、200m、400mって競技はまだ距離が長いから、1、2、3位と、結構タイムが離れていたりするんですよ。これが50mってすごく距離が短い競技になると、0.0何秒差かっていうのがあるわけです。
スタートして入水の角度がちょっと深かった、浅かった。一瞬で変わるんですよ。隣で泳ぎながら自分の泳ぎができればいいんだけど。例えば、頭1個ぐらい前に相手は出ていると思って、頑張んなきゃって思い、逆に遅くなるとか…こういうのが、ものすごくあるんですよ。
競泳界のレジェンドと称される、マイケル・フェルプス選手でさえ、決勝レースでタイムを落としたという話を引き合いに出し、試合で実力を出すことの難しさを語る場面も。その他、レース前後の栄養摂取についての話でも盛り上がった。金子は、競泳の奥深い話を聞き、競技や選手に対する尊敬が増したと感慨深い様子であった。
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番組情報
スポーツライターとして幅広く活躍する金子達仁が一流アスリートたちをゲストに迎え、“心の奥底にある想い”を聴くラジオ番組です。アスリートたちの対談を通し、ここでしか聴く事のできない“Deep”な想いと知られざるエピソードに迫っていきます。
また、オンエアでは聴く事ができなかった部分をディレクターズカット版としてPodcastコンテンツとして配信していきます。