税外収入が1200億円減っているのは「おかしい」 ~107兆余りの新年度予算が成立

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月23日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。3月22日の参議院本会議で可決された新年度予算について解説した。

税外収入が1200億円減っているのは「おかしい」 ~107兆余りの新年度予算が成立

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

107兆余りの新年度予算が成立 ~追加経済対策検討へ

過去最大の107兆5964億円を計上した新年度予算が3月22日、参議院本会議で自民、公明両党と野党の国民民主党などの賛成多数で可決、成立した。政府・与党は今後、ロシアのウクライナ侵略に伴う物価高などの状況を見極めながら、追加の経済対策を検討する。

飯田)「過去最大だ」という話と、「物価が」という記事が新聞に出ております。

高橋)物価ではなく、個別価格が上がる対策が必要なのです。需給ギャップが残っているから、そう簡単に物価は上がりません。過去最大ということですが、人口が高齢化しているので、社会保障費などが増えるのはある程度仕方がないですね。

飯田)自然に伸びて行くということですよね。

防衛費は伸ばしてもいい ~ウクライナはGDP比4%

高橋)防衛費はもっと伸ばしてもいいのではないでしょうか。だいたいGDP比2%というのが相場です。ドイツなどは1.5%から1.2%くらいに下げるという話だったのが、2%に引き上げるということですから。もちろんすぐではないにしても。

飯田)そういう意思を示しましたよね。

高橋)はっきりしています。NATOの標準がGDP2%なのです。実はウクライナは4%もあるのだけれど、ロシアに侵攻されてしまったのだから、いろいろ考えた方がいいです。日本も対岸の火事ではないですからね。

国債費はそれほど増えていないはず ~税外収入に日銀納付金をカウントしていない

高橋)国債費が過去最大だと言いますが、国債残高が増えれば払う利払い費が増えるのは当たり前なのです。その一方で、日銀が持っている国債については納付金という形で、日銀が持っている国債に対して利払いをするのですが、それは戻って来ます。さらに日銀の保有残高も大きくなっているから、ネットで考えるとたいしたことはないはずなのです。

飯田)ネットで見れば。

高橋)予算を見ると税外収入というものがあって、新年度予算だと1200億円減ってしまうのだけれど、なぜ減るのかなと思います。税外収入は日銀納付金が入っているはずの数字なので、大きくなるはずなのです。

飯田)税外収入は。

高橋)日銀納付金を考えた国債費というのは、そんなに増えていないはずです。今回の予算はそこが少し甘いのかなと思います。

飯田)日銀納付金がどこかに消えてしまっているということですか?

高橋)おそらくきちんとカウントしていないのでしょう。よくある話なのです。よくある話ではいけないのですが、税外収入の項目を見る人がいないから、適当にやるのですよ。

飯田)見る人がいない。

高橋)だから政府のプライマリーバランスの計算のときに、いつも間違っているのです。プライマリーバランスの計算をして「大変だ」と言いながら、税外収入を入れずに「大変だ、大変だ」と言うのですよ。予算の方の目から見ると、こんなところはすぐにわかりますから、やめた方がいいと思います。

飯田)なるほど。その税外収入の部分で、あとから「こんなものが出て来ました!」と言って、収入として計上されるのですか。

高橋)簡単に計算できてしまいます。税外収入の大半は日銀納付金です。日銀の持っている国債と、日銀に対する利払い費はすぐに計算できるので、税外収入でほとんど戻って来ます。

税外収入が1200億円減っているのは「おかしい」 ~107兆余りの新年度予算が成立

2022年2月27日、記者の質問に答える岸田総理~出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202202/27bura.html)

税外収入が前年度よりもマイナスであることはおかしい

飯田)こういう収入部分が消えているというのは、「あとで予備費で出そう」というような思惑ですか?

高橋)消えているだけなので、見積もりを低くして「大変だ」と言うだけなのです。でも、あとで結果として出て来るため、よくわかってしまいます。

飯田)補正のときの財源などに「シレッ」と入っていたりするわけですか?

高橋)いろいろなときに入って来るので、税外収入が前年度よりもマイナスであれば、それだけでおかしいとわかりますよ。

30兆~40兆の補正がなければ経済状況は改善しにくい

飯田)追加経済対策の検討などという話も出て来ましたが、先ほどもおっしゃっていた需給ギャップから見ると、規模は相当大きくなければいけない。

高橋)本当は需給ギャップを埋めるだけだから、30兆~40兆円くらい必要なのです。それがないと多分、一般物価は上がりにくい。個別物価だけが上がって、コストプッシュも上がるという感じになります。そうなると、あまり物価が上がらず、かつ賃金も上がらないのです。いい経済状況にはなりにくいですね。直ちに30兆~40兆円規模の補正を打たないと大変です。

思い切った景気対策が必要

飯田)ところが諸外国の例、アメリカなどの例を挙げて、コロナ禍で押さえつけられていた需要がこれから爆発するのだから、補正予算などをつけたらインフレになってしまう、と言う人もいますが。

高橋)爆発してくれればいいですけれどね。日本は海外と比べて、行動規制をいちばん長くやっていましたから、爆発……。どこまでするのかなという気がしますけれども。

飯田)そもそも爆発できるだけの需要というか、余力があるのかという。

高橋)そのために引火剤のような、少し大きめの景気対策をすればいいのです。

飯田)呼び水的な。

高橋)それをやらずに爆発を期待するというのは、「甘いのではないか」という気がします。

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