ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月24日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。岸田総理が追加経済対策を指示する方向で調整に入ったというニュースについて解説した。
岸田総理、3月29日にも追加経済対策の指示へ
岸田総理大臣は3月23日、ウクライナ情勢を受けた原油などの物価高騰や新型コロナウイルスへの対応として、29日にも閣議で追加経済対策を関係閣僚に指示する方向で調整に入った。当面は予備費を財源に対策を講じ、2022年度補正予算案の編成を伴う経済対策は、6月に実施する「2段階」を想定している。
飯田)6月ということは、選挙が近いですよね。
参議院選挙に向けて動く政権
鈴木)政権内にいる人と話したのですが、政権はどうしても参議院選挙に向けて動くわけです。そういう意味では、6月にいろいろなものを集中して持って行きたい。「Go To トラベル」も、復活させるタイミングとしては選挙前と考えている。
飯田)だから「まず県民割をやる」というような話が出て来るのですね。
鈴木)「早ければゴールデンウィークに」と言う政権幹部もいましたが、とにかく参議院選挙に合わせて行く。そのなかで、「経済対策は新たに補正を組んで打ち出すことになるのではないか」とも囁いていました。飯田さんが指摘するように、「選挙前に」というのは既定路線です。しかし、それでいいのかという話です。
何のための経済対策なのか ~「コロナ対策」か「経済対策」かで建て付けが変わる
鈴木)もう1つ、気を付けなければいけないと思うのは、「何のための経済対策か」ということです。
飯田)何のための。
鈴木)コロナの問題は何も終わっていなくて、規制解除と同時にいろいろなことをやらなくてはいけないのです。そのなかで、「経済支援にもっとお金を使わなければいけない」ということを、条件として私はずっと言って来ました。
飯田)経済支援に。
鈴木)飲食店などを含めて、まん延防止等重点措置が解除になれば、夜中までやっていいということになる。地域によっては「2時間以内、同一テーブル4人まで」などという要請はありますが、がんじがらめに縛っている話ではありません。
飯田)そうですね。
鈴木)でも飲食店などは、コロナ禍で制限された期間に固定費を借金しているのです。それを今年(2022年)返済している。「まん延防止」が解除され、遅い時間までお酒が出るからといって、みんなが飲食店に押し寄せるのかどうか。夜の街を歩いていてもわかりますが、生活スタイルが変わっているから、前のようにお客さんが完璧に戻って来ているところはまだまだ少ないです。
飯田)まだ少ないですね。
鈴木)経産省の官僚も言っていましたが、やはりコロナ禍で受けた傷はこれから1~2年は続きます。飲食店だけではありません。他のあらゆる業種含め、支援が必要になります。まん延防止解除とともに、そういう対策の方向性を打ち出すべきだった。同じお金の支援だけれども、経済対策ではなく「コロナ対策」です。
飯田)確かにそうですね。
鈴木)子育て世代への10万円相当の給付のときに、「現金なのかクーポンなのか」という議論がありました。クーポンは絶対に使わなくてはいけないから、経済対策ではないですか。でも現金の5万円はまさにコロナ対策で、コロナで貯金を取り崩した人は何でも自由に使ってください、コロナ禍に起きた弊害を埋めてくださいというものでした。「コロナ対策」か「経済対策」かの違いで、建て付けが変わるのです。
コロナ後遺症に対する支援も必要
鈴木)今回の経済対策はどちらなのか。私は後遺症問題なども取材していますが、大変なのです。後遺症というのは医学的、科学的に立証されていません。コロナウイルスによって疲労感が残るということなどは立証されていないのです。
飯田)味覚がなくなるとか。
鈴木)つまり、普通の診療として皆さんお金を払っています。会社を休むにも、「コロナの後遺症で休みます」と言っても認められないようです。
飯田)「何を言っているのだ。治っただろう」という話になる。
鈴木)仕組み上は無断欠勤のようになってしまうのです。
飯田)有給を使い果たしてしまえば、そうなってしまうということですね。
鈴木)非正規の人は、休めば仕事がなくなってしまいます。そういうところへの支援も必要ですし、後遺症外来に対しても、病院の協力を得ながら補助金を出すなどの対応をしなくてはいけません。コロナ対策で出すべきお金があるのです。
コロナ対策の予備費はコロナに使うべき ~消費減税はコロナ経済対策にも通常の経済対策にもなる
鈴木)確認は取れていないのですが、報道されているところによると、今度の経済対策の原資にコロナ対策の予備費をまず使うということです。コロナ対策の予備費は、いま言ったようにコロナに使うべきものがたくさんあるのです。
飯田)議論になっている「年金生活者に5000円」の原資にも、この予備費が使われるかも知れないと言われています。それは筋が違うのではないかと。
鈴木)経済対策と言うけれども、その経済対策の建て付け、目標、何のために行うのかというところを明確にしなければいけません。
飯田)そうですね。
鈴木)国の支出だけではなく、経済対策として消費税を下げるとか、軽減税率のところを触るなど、そういうことも思い切ってやっていいと思います。消費税を下げるのはコロナ経済対策にもなるし、通常の経済対策にもなる。そのように建て付けをしっかりとやって欲しいと思います。「経済対策」と言っているけれども、私たちは中身を相当チェックしなければいけないと思います。
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