地政学・戦略学者の奥山真司が4月12日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。マクロン大統領とルペン候補による決選投票となったフランス大統領選挙について解説した。
フランス大統領選、マクロン大統領とルペン候補の決選投票に
4月10日に実施されたフランス大統領選挙の第1回投票は、即日開票の結果、現職で中道のマクロン大統領が得票率で首位、極右「国民連合」のルペン党首が2位となった。今回の投票では5割以上得票した候補がおらず、4月24日に両氏による決選投票が行われる。
飯田)3位が極左と言われるメランション氏で、22%とかなり迫っていました。
奥山)1ヵ月くらい前の時点で、ロシアのウクライナ侵攻が始まりました。あの直後に「これはマクロン氏の圧勝だな」と思い、コラムにもそう書きました。しかし、そのあとすぐにルペンさんが追い上げてきたので驚いています。なぜ一時期、マクロン圧勝とみられていたのかと言うと、話は単純で、マクロンさん自身が粘り強く、毎晩プーチン大統領と電話で話していたからです。
飯田)5時間~6時間話していたとも報道されました。
奥山)言い方がよくありませんが、プーチンさんは69歳で、ロシアの平均年齢からすると相当高齢なわけです。
飯田)マクロンさんは44歳と若い。
奥山)一時期、政治風刺の人が、マクロンさんはプーチンさんのヤングケアラーではないかと。頑固なおじいさんの話を聞いてあげて。
飯田)話し相手になって。
奥山)そのおかげで、マクロンさんは内政も経済的にうまくやっていたので、外交の方で得点を稼いでいるという印象はありました。
それまでプーチン大統領を利用していたルペン氏
奥山)それまで、マクロンさんのような中道やリベラルな候補者に対抗するために、ルペンさんなどは、プーチンさんのことを推していたのです。「決断できる強い男、プーチン大統領」と。「私はそのプーチン大統領との関係があり、我々には実行力があります」ということをアピールするために、プーチンさんを利用していたのです。
飯田)プーチンさんを。
奥山)実際にマリーヌ・ルペンさんは、自分の選挙ポスターのなかに、プーチンさんと握手している写真を入れてしまっていて、慌てて回収したのですけれども、120万枚も刷っていたという話です。
ロシアのウクライナ侵攻により、プーチン大統領推しの候補は厳しい立場に
奥山)他にも、極右派のゼムール候補が、反移民で反イスラム、親ロシアということで一時期話題になりました。しかし、ロシアのウクライナ侵攻によって、プーチンさん推しだった人たちが一気に干されることになりました。
飯田)ウクライナ侵攻が始まり。
アメリカでも同じ現象が起きている
奥山)アメリカでも同じような現象が起こっています。共和党の、特にトランプ派なのですけれども、その方々がプーチンさん推しでした。トランプ前大統領までが、前に出てきて言っていたのです。
飯田)アメリカでも。
奥山)実行力のあるプーチン大統領、独裁者としてのプーチン大統領はかっこいいよね、というところがあるようです。今回の侵攻によって一気にプーチン大統領は悪人になったのですけれども、それまで、いろいろな政治家が推していたというところに、現在の国際社会のねじれを強く感じます。
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