スウェーデンとフィンランドの「NATO加盟申請」はロシアの「オウンゴール」

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経済アナリストのジョセフ・クラフトが5月17日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。スウェーデンとフィンランドのNATO加盟申請について解説した。

モスクワのクレムリンで、ベラルーシ大統領との共同記者会見に臨むロシアのプーチン大統領(ロシア・モスクワ) AFP=時事 写真提供:時事通信

スウェーデンとフィンランドのNATO加盟申請をめぐり、ロシア外務次官が「重大な過ち」と批判

スウェーデンとフィンランドは5月15日、北大西洋条約機構(NATO)への加盟を申請すると発表した。これを受けて、ロシアのリャプコフ外務次官は16日、「重大な誤りである」と指摘した。ロシアがどのような対応をするかは両国の加盟がもたらす結果次第だとし、NATO拡大で「軍事的緊張は高まり、予測可能性は下がる」と懸念を示した。

飯田)スウェーデンとフィンランドのNATO加盟は、ウクライナ情勢を受けてということですが、環境が大きく変わりますね。

クラフト)そうですね。この「重大な過ち」という発言は、そのままロシアに返したいですね。ロシアが引き起こしたことですから。

反対の意向を示すトルコを説得できるか

クラフト)ポイントになるのは、トルコの姿勢です。NATOは全加盟国の承認がないと成立しないのですが、エルドアン首相が今朝(5月17日)になって反対の意向を示しているので、どこまでトルコを説得できるかということが1つの焦点となります。

スイスも加盟か

クラフト)もう1つ面白いのが、スイスも加盟するのではないかという話があるのです。個人的には、スイスが加盟する必要はないと思うのですけれども、第二次世界大戦で中立国の象徴とされていたスイスがNATOに加盟することになれば、プーチン大統領のNATO阻止がいよいよ崩れ去るのでしょうね。

飯田)バルト海の周りがすべてNATO加盟国になると、完全に包囲される形になってしまいますよね。

1999年以降、NATO加盟国が急速に拡大

クラフト)歴史的に見ると、NATO加盟国が急速に拡大したのは1999年以降なのですよね。

飯田)1999年以降。

クラフト)99年以降に14ヵ国が加盟しているのですけれども、それ以前は(原加盟国を除いて)4ヵ国なのです。なぜかというと、99年にワシントンでNATO首脳会議が開かれ、そのときにメンバーシップ・アクション・プラン(MAP)、つまり加盟するための申請のプロセスや加盟のルールが設けられ、加盟が敏速に進むようになったのです。そこから各国が入るようになった。ですから、99年がNATOの拡大路線に拍車をかけたという歴史的ポイントですね。

かつて欧米がロシアへの対話、牽制を怠り、ジョージア侵攻につながった経緯も ~西側はウクライナ問題を総括して反省点を洗い出すべき

飯田)99年ごろの姿勢の変換は「ロシアに向けてやったのだ」と言う人もいますけれど、当時の情勢を考えると、コソボ紛争などがあり、NATOが拡大して対応しなければならないという危機感があったのですよね。

クラフト)そのような危機感はありました。しかし、プーチン大統領を擁護するつもりはないですが、当時の教訓としてあるのは、ロシアのNATO拡大の懸念に対して、対話や抑止、牽制を欧米、NATOが怠ってしまったという問題があると思います。

飯田)「それが主目的ではないからわかってくれるだろう」というようなところが。

クラフト)安易にね。特に2008年、ブッシュ政権がアルバニアやクロアチアの申請を支持するわけです。それを見たプーチン大統領が激怒して、ジョージアに侵攻するという経緯もありました。やはりそこは対ロシアとの対話、また牽制などが必要だったのだと思います。

飯田)ロシアに対しての。

クラフト)今後の中国を見据えて、ウクライナ問題の経緯を1回総括し、西側としての反省点は何なのかを洗い出すべきです。いつアジアで台湾有事が起こるかわかりませんので、教訓は学んでいくべきですね。

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