不可解な北朝鮮のICBMミサイルの「飛ばし方」 6000キロ飛ばせるものを500キロしか……

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軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏が5月26日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。5月25日に日本海に向けて発射した大陸間弾道ミサイル(ICBM)について語った。

不可解な北朝鮮のICBMミサイルの「飛ばし方」 6000キロ飛ばせるものを500キロしか……

極超音速ミサイルの発射実験=2022年1月5日(朝鮮中央通信=共同) 写真提供:共同通信社

北朝鮮、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を含むミサイルを断続的に発射

北朝鮮が首都平壌近郊から日本海へ向けて、弾道ミサイルを断続的に発射した。最初の1発は、新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)とみられる。日本の排他的経済水域(EEZ)外に着弾した。

飯田)5月25日、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)を含むミサイル3発を発射したということです。日本政府は「2発」と言っていて、いろいろな情報が出ています。どのような状況だったのでしょうか?

黒井)韓国が「3発」という発表をしているので、おそらく3発ではないかと思います。韓国の情報だと、2発目に関しては発射したあとに爆発したようです。北朝鮮上空でのことなので、日本からの確認は難しいのだと思います。

飯田)ある程度上がらないと、地球は丸いから、日本のレーダーには引っかからないということでしょうか。

黒井)そうですね。

最初の1発はICBMの「火星17」

飯田)3発のうち1発は失敗だったのではないかと言われていますが、北朝鮮としては何をしたかったのでしょうか?

黒井)これからニュースで北朝鮮が発表するのかも知れませんが、現時点ではよくわからないというのが正直なところです。最初の1発目はICBM「火星17」だったのですが、これはアメリカが偵察衛星で確認しているので間違いないと思います。ただ、「火星17」は1万5000キロぐらい飛べるICBMです。

6000キロ上空まで飛ばせるものをなぜ、500キロしか飛ばしていないのか ~1発目のICBM「火星17」

黒井)今回のような発射方法は、大きな山なりのロフテッド軌道というのですが、それだと大体6000キロほど上空まで飛ばせます。しかし、今回は500キロくらいなのです。

飯田)500キロ。

黒井)2月、3月にも同じように500キロほどの中途半端な高さで撃っているのですが、なぜそのような撃ち方をするのか、意味がわかりません。ただ、これだけ続いているので、何かのミスでそうなったということではなく、最初から狙ってそうしたのではないでしょうか。

1発は低い軌道で長距離を飛ぶ「極超音速滑空ミサイル」の可能性が高い

黒井)まだ完成していないと思われるので、何かしらの作動チェックなのかなと思います。

飯田)作動チェック。

黒井)そのあとに撃った2発目は失敗しています。3発目に関して言うと、今回撃ったミサイルは2種類あって、北朝鮮が極超音速ミサイルと呼んでいるもの、もしくはKN23というものです。25日に撃った高度と距離は、2022年1月5日に北朝鮮が撃った極超音速滑空ミサイルという、低い軌道で長距離を飛ぶものである可能性が高いと思います。

不可解な北朝鮮のICBMミサイルの「飛ばし方」 6000キロ飛ばせるものを500キロしか……

平壌で軍事パレードを観覧する北朝鮮の金正恩総書記=朝鮮中央通信が2022年4月26日に配信 AFP=時事 写真提供:時事通信

現場から上がってきた訓練のための発射か

飯田)いろいろな種類のミサイルを撃ってきているということですが、技術的な確認をするために現場から上がってきているということですか?

黒井)そうですね。おそらく「これをやりたい」ということで、現場から上がってきたのだと思います。もしくは、2発目と3発目に関しては、部隊に配備するための訓練という可能性もあります。

飯田)配備するための訓練。

黒井)ただ、どのようなものかということは、北朝鮮が発射の瞬間を写真や映像で発表しなければ、はっきりとはわかりません。

「アメリカに振り向いて欲しい」から撃つのではない ~さらなる制裁強化を恐れる北朝鮮

飯田)よくアメリカに振り向いて欲しいからだとか、バイデン大統領が日韓を出たあとに撃ったので、アメリカへのメッセージだというような意見もあります。そうではなく、技術的な確認のようなことが優先だったのでしょうか?

黒井)北朝鮮のミサイル発射は、今年(2022年)の1月から続いていますが、基本的には技術的な開発のためのものです。北朝鮮自体も発表しているのですが、実際の抜き打ち検査や訓練ということもあります。もう何年も撃っていないものに関しては、作動の検証という可能性もあります。

飯田)検査や訓練として。

黒井)よく韓国メディアや研究者が「アメリカへのメッセージ」というようなことを言いますが、実際にそのようなタイミングで行われたことは、過去にもほとんどありません。

アメリカを刺激しないようにミサイル実験するのが北朝鮮の基本戦略 ~バイデン大統領が帰国したあとに発射

黒井)核やミサイルの実験をやれば、さらに制裁が強化されることになるので、どちらかというと逆で、アメリカを刺激しないように実験するのが北朝鮮の基本戦略です。

飯田)アメリカを刺激しないように。

黒井)バイデンさんが日本や韓国にいる間は、むしろやりづらいのです。アメリカでの報道につながり、さらに制裁が強化されてしまいますので、バイデンさんが日本を離れた直後に行ったのだと思います。

核実験を行うことを発表している北朝鮮

飯田)クアッドの首脳会合のときに、中露の爆撃機が共同飛行しました。中露と北朝鮮の連携は有り得るのでしょうか?

黒井)北朝鮮は完全に中露側についていて、中露はロシアを中心にアメリカと敵対しています。ICBMの次に懸念されるのは、北朝鮮の核実験です。北朝鮮が核実験を行うということは、ウクライナ侵攻が起こる前の1月に発表しています。

飯田)今年の1月に。

黒井)核実験をすることは予定通りなのですが、ウクライナ侵攻が起きたため、北朝鮮が核実験をやっても、国連安保理で中国とロシアが反対して制裁決議が通らないので、いまがチャンスなのです。ロシアによるウクライナ侵攻は2月24日に始まりましたが、直後の3月上旬から北朝鮮北東部の豊渓里(プンゲリ)という核実験場で工事を始めています。

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