エリザベス女王「即位70年」にみるイギリスと日本の「特別な関係」
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外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が6月3日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。エリザベス女王の「即位70年」について解説した。
エリザベス女王の即位70年行事「プラチナ・ジュビリー」
イギリスのエリザベス女王の在位70年を祝う祝賀行事「プラチナ・ジュビリー」が6月2日に始まった。主要行事は6月5日まで続き、女王の歴史的な節目を国を挙げて祝う。
飯田)これに先立って1日、女王は国民に謝意を示し、「多くの幸せな思い出がつくられるでしょう」と喜びを伝えたということです。女王陛下はお元気ですね。
宮家)96歳でしょう。彼女の前に最も長い在位だったのが、ビクトリア女王だということです。1837年~1901年。このビクトリア女王の時代は、まさに大英帝国が世界を支配した時代です。
大英帝国が傾き始めた時期に女王に就く
宮家)そして20世紀に入り、ビクトリア女王は亡くなるわけですけれども、エリザベス女王が即位されたのは1952年です。つまり、大英帝国が傾き始めて「パクス・ブリタニカ」から「パクス・アメリカーナ」になる時期ですよ。
飯田)世界の盟主がイギリスからアメリカに交代する時期。
宮家)だから過去70年は、彼女にとって、またイギリスにとっても大変な時代だったと思います。世界最強の大帝国から衰退していく過程で、エリザベス女王はイギリスを支えたわけです。もしこの人がいなければ、イギリスの混乱はもっと大きかったかも知れません。それでも、イギリスではいろいろありましたが。
飯田)「英国病」などと言われたこともありました。
宮家)女王がああいう形で象徴として、君臨すれども統治せず、という、いい意味の民主主義、立憲君主制を支えた。これが機能したということは、いいことだと思います。日本も基本的には同じですが、彼女は随分苦労したのだろうなと思います。
立憲君主制の下での王室のあり方を体現したエリザベス女王
飯田)父君のジョージ6世の病死に伴って、即位されたのが25歳のときです。若くして王位に就かれた。
宮家)それからイギリスはEUに入って、出て、そしてアメリカに主導権を奪われて・・・。しかし、イギリスはそれなりの影響力を維持してきました。北アイルランドの事件もあり、いろいろと大変だったと思います。
飯田)ダイアナ妃の事件などもあり。
宮家)エリザベス女王は、立憲君主制の下での王室のあり方を体現したのです。私が言う立場にはないけれど、「お疲れさまです」と申し上げたいです。
同じ島国の立憲君主制の国同士であるイギリスと日本
飯田)日本の皇室とのつながりも、かつてから深いものがありました。
宮家)向こうの方が民主主義の歴史は長いかも知れませんが、「大陸の沖にある小さな島国」というのは私の好きな言葉ですけれども、同じ島国ですよね。イギリスと日本は戦略的な環境が似ているので、参考になることも多いです。また、日英同盟を結んでいた時期もあるでしょう。新たな日英同盟もできそうですし、イギリスは引き続き面白いと思います。偶然なのかも知れませんけれども、同じ島国の立憲君主制の国が、これだけお互いに学び合えるというのは、いいことだと思います。
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