キャスターの辛坊治郎が6月7日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。スポーツ賭博の解禁案について、「岸田政権下では無理」と持論を展開した。
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経済産業省
経済産業省がスポーツの試合結果やプレイ内容を賭けの対象とするスポーツベッティングの解禁に向けて取りまとめた素案が判明した。スポーツ賭博を通じて放映権料や広告収入の拡大につなげて、スポーツ産業の活性化につなげる狙いがあるが、八百長やギャンブル依存を招きかねないスポーツ賭博には反対論が強く、スポーツ界や各界の猛反発もあるとみられる。
辛坊)私自身はギャンブルで痛い目に何回も遭っていますし、街中のあちらこちらにパチンコ屋さんがあるような国は世界にそうそうないという状況にもありますから、「これ以上、その手のものを増やすのはどうなんだろう」っていう感覚は持っているつもりです。半面、「日本だけ何でもかんでも禁止っていうもどうなんだろう」という気持ちもあります。
世界の国々にスポーツ賭博は普通に存在しています。一方、日本でのギャンブルなどの解禁は役所による規制緩和で、必ず利権絡みなんですね。競馬は農林水産省、ボートレースは国土交通省、競輪・オートレースは経済産業省、サッカーくじは文部科学省、パチンコは警察庁、宝くじは総務省の管轄です。要するに、各省庁が天下りも含めた利権を確保し、お金を吸い上げたいわけです。ギャンブルはむちゃくちゃ儲かるから、法律で1つずつ合法化していって、それぞれ違う監督官庁が“カジノの胴元”になりたいといった感じですね。
今、公立中学で休日の運動部活動の指導を地域のスポーツクラブや民間事業者に委ねることが議論されています。地域社会に子供たちのスポーツ振興を任せるとなると、それなりにお金もかかります。その財源を見据えて、スポーツ賭博解禁案があるんじゃないかと。言い方は悪いですけれども、“テラ銭”を省庁が取り上げて財源をつくろうとしているという見方です。でも、「子供にスポーツをさせる財源をつくるために、プロスポーツをギャンブのネタにするのか」という批判も出てくるわけです。
私は自分の体験から、ギャンブルに関しては大きな声で勧める立場にないし、そういう気持ちにもなりません。でも同時に、世界の国々で当たり前にやっていることなのに日本では規制されていることって山ほどあって、それが日本の発展を阻害する原因になっているんじゃないかっていう思いもありますね。もう、ある程度、民間に任せてもいいんじゃないのかなあ、とも。
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辛坊治郎
ギャンブルについて世論調査を行うと、反対の人が多いですよね。だから、政治的にはギャンブルには反対したほうが得です。今の岸田政権下では多分、実現しないと思いますよ。岸田政権はとにかく自分の政権支持率が下がるようなことは一切やらないっていうスタンスですから。今回の報道はたぶん、スポーツ賭博解禁案を潰すために一部メディアにリークしたことによるものじゃないかっていう感覚が私にはあります。岸田政権下で実現することはおそらくないでしょう。万が一、法案が通って実現しちゃったら、忘れてください。