これまでに4万人が活用している神奈川県独自の新型コロナ対策「自主療養届出制度」 全国知事会でも大きな評価

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神奈川県の黒岩祐治知事が7月29日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。神奈川県の新型コロナ対策について語った。

これまでに4万人が活用している神奈川県独自の新型コロナ対策「自主療養届出制度」 全国知事会でも大きな評価

※画像はイメージです

新型コロナ対策「神奈川モデル」

夏の全国知事会が7月28日から2日間の日程で、奈良市で開催された。複数の知事が新型コロナウイルスについて感染症法上の分類を見直し、厳格な制限を伴う「2類相当」から引き下げるよう訴えた。

重症の病床確保フェーズ「4」へ ~1990床まで拡大

新行)新型コロナ感染症について、神奈川県ではどのような対策を行っているのでしょうか?

黒岩)神奈川県でも感染者数が1万人を超える日が9日間続いていて、2万人にも達しようという勢いです。そんななかで、まずはベッドを確保しなくてはいけない。我々は感染状況に応じたフェーズとして病床確保数を決めてきたのですけれども、ついこの間まではフェーズ「1」だったのです。しかし、7月13日に「3」へ引き上げ、26日にはさらに「4」の段階に引き上げました。それまで1000床用意していたものを、いまは1990床まで拡大しています。

神奈川県独自の「自主療養届出制度」 ~セルフチェックで陽性が出たら公式な「届出書」を発行し、自主的に療養する

黒岩)「自主療養届出制度」という神奈川独自の取り組みがあります。

新行)自主療養届出制度。

黒岩)ご自分で、ご自宅で抗原検査キットを使って調べ、セルフチェックしていただく。陽性が出た場合、これまでは医療機関に行って確定検査をしなくてはいけなかったのですが、医療機関がひっ迫していますから、もう医療機関には行かなくていいということです。セルフチェックで陽性になったのならば、「そのまま自主的に療養してください」ということです。

新行)医療機関に行かず、自主的に療養する。

黒岩)神奈川県のホームページから届け出てもらうと、「届出書」が発行されます。これは公式的な文書になっていて、保険も使えます。

これまでに4万人が「自主療養届出制度」を選択

黒岩)これによって、少しでも医療のひっ迫度を下げようということです。神奈川県では1月から実施しているのですけれども、これを全国知事会で発表したところ、皆さんから大変な感心をいただきました。

新行)全国知事会で。

黒岩)これまでに、だいたい4万人くらいの方が選択してくださっているのです。ということは、約4万人の方が医療機関に行かず、自主的に療養してくださっているということなので、何とか医療に対する負荷をギリギリ下げているのです。それと、ワクチン接種を受けていただくことをお願いしています。

自主療養届出制度の「届出書」は公式文書なので診断書は必要ない

新行)「証明書をもらってくるように」と企業や学校に言われて、改めて医療機関に行かなくてはならない状況をなくすということでしょうか?

黒岩)自主届出制度をやっていて、「病院に行かなくていい」と言っているのだけれども、届出書を持っていこうと思うと会社や学校から「確定診断をもらってきてください」と言われてしまうことがあるのです。神奈川県がこういう制度を取っていることを、もっと皆さんに知っていただいて、皆さんに自主届出制度を使っていただくようお願いしているところです。

「2類相当」から「5類」へ扱いを変更するべき ~オミクロン株の感染者はほとんどが軽症

黒岩)いまオミクロン株に感染している人は、ほとんどの方が無症状や軽症で、いわゆるインフルエンザのような病気になってきています。ところが未だに2類の分類が残っている。2類が残っているとどうなるかと言うと、行政や保健所などが感染者数を全部把握して、その人たちに外出自粛を要請する。そして入院調整から健康観察を行うという、大変なことをやらなくてはいけないのです。

新行)保健所などが。

黒岩)インフルエンザのときにそんなことをしますか? 例えば毎日、テレビで「きょうのインフルエンザの感染者は何人だ」とは言いませんよね。インフルエンザに罹ったら、まずは自分で医療機関に行きます。

新行)そうですね。

黒岩)病気そのものがインフルエンザのようになっているのだけれども、仕組みは2類のまま残っているのです。

これまでに4万人が活用している神奈川県独自の新型コロナ対策「自主療養届出制度」 全国知事会でも大きな評価

検査続くPCRセンター 「安心」を支える=2021年11月26日、千葉県市川市 写真提供:共同通信社

2類であるため、神奈川県で新型コロナを受け入れている医療機関は3分の1

黒岩)2類であるために、受診できる医療機関が限られています。いま神奈川県内で新型コロナを受け入れている医療機関は3分の1です。あとの3分の2は受け入れていないのです。インフルエンザはどうですか? インフルエンザを受け入れない医療機関はないでしょう。

新行)どこでも診察してくれます。

黒岩)これを変えなくてはいけない。インフルエンザと同じになるということは、要するに5類になるということなのだけれども、いきなり5類となると、自分で医療費も払わなければなりませんから、急に変更されるとショックがあるかも知れない。

新行)急に変更すると。

黒岩)であれば、「いつまでに5類に変える」というように、プロセスを踏んで「早くメッセージとして出してくれ」と繰り返し政府に求めているのですが、なぜか固いのです。

なぜ政府は「5類」変更に慎重なのか

黒岩)後藤厚労大臣は「まだ致死率がインフルエンザよりも高い」とか、「感染性が高い」などとおっしゃるのですが、「アメリカで流行している新型コロナ感染症と日本の新型コロナ感染症は違う病気なのですか?」ということです。同じ新型コロナ、同じオミクロン株であり、同じように闘っているのに、「なぜこんなに違うのか?」ということです。早くメッセージを出さないと、社会を守るための仕組みのはずなのに、逆に社会を殺してしまうことになりかねないと思います。

高齢者や基礎疾患を持っている人に医療資源を重点化する

新行)神奈川県の自主療養届出制度は、「軽症の方々は自宅で療養していただく」ということだと思うのですが、とにかく重症患者や中等症患者の方々を救う方向に軸足を置くということですよね。

黒岩)我々は特に、高齢者や基礎疾患をお持ちの方々に医療資源を重点化していきたいのです。若い人は感染してもあまり重症化しません。しかし、重症化しないといっても、かからない方がいいですよ。軽症でもかなり苦しいようですから、感染しないためにワクチンは打っていただきたいと思います。

「神奈川県コロナ119番」

新行)軽症で自宅療養しているときに、薬をどのようにもらうか、急変したときに救ってもらえるような体制ができているのかということも気になるのですが、いかがでしょうか?

黒岩)薬もいままでなかったようなものが出てきていますから、それも使えるようになっています。軽症の場合には、普通の風邪を治すような薬を飲んでいただくことで、時間が経てば元気になるというのが普通なのです。

新行)オミクロン株の場合。

黒岩)自主療養されていて不安がある、具合が悪くなるというときには、「神奈川県コロナ119番」があります。そこに電話していただくと相談も受けられますし、いざというときには医療機関にかかってください、ということにもなる。そういう体制は整っています。

新行)神奈川モデルとしての自主療養届出制度について、医療現場からはどのような声がありますか?

黒岩)これは医療現場と対話した上でつくった制度なのです。了解済みでやっています。皆さんが医療機関に押し寄せてくると、医療機関側も「ちょっと待ってくれ」となる。患者の方が来られたのならば、コロナ陽性患者として対応しなければいけないから、大変なのです。

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