キャスターの辛坊治郎が8月4日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。新型コロナウイルス感染症に向き合う各国の姿勢について言及し、「無症状でも感染者としてあぶり出そうとするのは、中国と日本くらいだ」と指摘した。
日本医師会の松本吉郎会長は3日の定例記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、学校や企業に対し療養証明書や陰性証明書の発行を求めないでほしいと呼びかけた。証明書発行で医療機関や保健所の負担がさらに増大するため。政府も既に陽性者が学校や職場に復帰する際の証明書提出は不要との見解を示している。
辛坊)ここへきて突出して明らかになりつつあるのが、世界の主要国の中で遅れたコロナ対策を取っているのが、「ゼロコロナ政策」の中国、そして日本だということです。症状が出ていなくても、とりあえず検をして感染者をあぶり出すなんて国は、中国と日本くらいですよ。逆に世界的には、オミクロン株になってからは、いわゆる通常の病気として扱おうという風潮になっています。通常の病気として扱うとは、症状が出て重症化するリスクが高ければ、それに応じた治療をするということです。
PCR検査などの技術がなかった時代には、症状が出ていなければ、病気にかかっていることは分からなかったんです。症状がなければ、診断もつかなかったんですよ。その意味では、新型コロナは人類史上初めて症状が出なくても病気扱いされた病気といえるのではないでしょうか。
オミクロン株になってからは、「症状の出ていない人も感染者として病人扱いするのはおかしいんじゃないのか」という風潮になり、全世界的に対策の見直しが進んでいます。その典型例が韓国です。私のイメージだと、韓国は日本や中国と並んで対策がかなり厳しい方向に偏っていると感じていました。ところが、その韓国が日本人のビザなし渡航を8月末まで認めました。発表は3日のことです。
夏休みを利用して韓国へ行きたいという日本人が在日韓国大使館に殺到したため、ビザの発行に何週間もかかってしまう事態となり、夏休み中にビザを取得できない可能性が出てきたという背景もあるようです。ただ、ここ最近、日本の陽性者数が全世界で最多になったというニュースがありますね。通常の思考なら、日本からの入国者を警戒するのが当然ですよ。にもかかわらず、韓国はこのタイミングで、日本からのビザなし渡航を認めたんです。一気にハードルを下げたわけです。
実は、韓国は日本以外にも既に100カ国くらいを対象にビザなし渡航を認め始めています。ビザには相互主義という慣例があり、免除するかしないかは両国同士で足並みをそろえるのが大原則です。日本はコロナ禍で韓国からの渡航にはビザを免除していませんが、韓国は日本からの渡航にビザを免除しました。夏の稼ぎ時に大きな経済効果を期待できる日本からの観光客を増やしたいという思惑もあるのでしょう。それでも、日本でこれだけ感染者が増える中でビザなし渡航を認めたというのは、世界の標準を表す典型例だと思います。
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番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)