世界経済の減速を反映する「ソフトバンクの3兆円赤字」

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経済アナリストのジョセフ・クラフトが8月9日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。4~6月期の連結決算で3兆円の赤字となったソフトバンクについて解説した。

世界経済の減速を反映する「ソフトバンクの3兆円赤字」

過去最大の赤字を記録した決算を発表するソフトバンクグループの孫正義会長兼社長=2022年8月8日、東京都港区 写真提供:産経新聞社

ソフトバンクグループが3兆円の赤字 ~実情は投資会社

飯田)ソフトバンクグループの今年(2022年)4~6月期の連結決算が、過去最悪となる3兆1627億円の最終赤字になったそうです。ここのところ、大手企業の決算発表が続いていますが、それにしても3兆円の赤字は大きいですね。

クラフト)中身を見ると、ほとんど本業の電話などではなく、株式投資です。スタートアップ企業にビジョンファンドが多く投資して、その評価額が大きく目減りして下がったところの損失が大きい。もう1つは、保有しているアリババ株の下落です。

飯田)中国の。

クラフト)ソフトバンクに投資されている個人投資家や一般投資家が考えなければいけないのは、本業に投資するというよりは、いわゆる投資会社に投資しているということです。利益の連動が激しい。それを承知の上で投資されるのであればいいと思います。

飯田)投資会社に投資していることになる。

クラフト)もう1つ、日経平均の比率が大きいのです。日経平均の比率が最も大きいのは、ファーストリテイリングですが、ソフトバンクも大きく、ソフトバンクが下落すると日経平均も引っ張られるという状況もありますので、そこも加味した方がいいかも知れません。

飯田)その辺りは時価総額で加重平均が決まってくるということですか?

クラフト)そうですね。

飯田)それが海外の株式などの変動によって決まってしまうとなると、日経平均は日本の相場を映しているのかどうかということになりますね。

クラフト)しかし、ソフトバンクだけなので、日経平均が大きく揺らぐことはありませんが、10年前のソフトバンクといまのソフトバンクでは体質が全然違うことを認識する必要があります。

世界の主要企業が約2年ぶりに減益 ~世界経済が減速

飯田)世界経済全体の流れとしてはどうですか?

クラフト)世界の主要企業が2020年の7~9月期ぶり、つまり2年弱ぶりに減益になったということです。明らかに世界経済が減速していて、それを最も反映しているのがソフトバンクと言えます。スタートアップ企業は景気減速に脆いですから。そういう1つのつながりがあります。

飯田)ソフトバンクがアリババ株を持っているという話がありましたが、経済安全保障というところで、米中が角を突き合わせているなか、アリババ株を持っていても大丈夫なものなのですか?

クラフト)中国が中国株を没収するというようなことになると、いよいよ世界中の投資家が中国株を売ってしまい、中国にとってもプラスではありませんので、おそらく大丈夫だと思います。しかし、中国のことですから、何が起きても不思議ではなく、懸念材料ではあります。

飯田)中国のことだから。

クラフト)しかし、そういうことをやってしまうと、市場原理が破綻してしまいます。さすがの中国政府もそこまで踏み込まないのではないでしょうか。そういうことをやると、中国にとっても痛手ですから。アリババ株がさらに下落すれば、中国の投資家も痛みを伴うので、過激なことはしないと思います。

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